早乙女友貴×柚香光が語る『髑髏城の七人 LAST STAND』――「一番強い極楽太夫になるんじゃないか」「とんでもないものがほとばしる」
早乙女友貴、柚香光 撮影=浜村晴奈
1990年に初演され、再演を重ねてきた『髑髏城の七人』が、劇団☆新感線として最後の公演をおこなう。2017年~2018年のIHIステージアラウンド東京(客席が360度回転する劇場)での公演も話題となった同作だが、劇団主宰・演出のいのうえひでのりが、「最後にプロセニアムの普通の劇場で、決定版として終わらせる」と熱い思いを込めて上演する。いのうえ歌舞伎『髑髏城の七人 LAST STAND』と銘打ったこの公演で、早乙女太一扮する捨之介と対峙する天魔王を演じるのは早乙女友貴、強さやあでやかさを備えた極楽太夫を演じるのは柚香光。ふたりとも『髑髏城の七人』には初出演となる。昨年、劇団☆新感線『紅鬼物語』で共演したふたりにお互いについて尋ねると、深いリスペクトを感じる言葉が飛び出した。新たな共演に期待が高まる、ホットな対談をお届けする。
互いの舞台への向き合い方をリスペクト
柚香光
――お二人は昨年、劇団☆新感線『紅鬼物語』で初共演されましたが、お互いについて驚いたことや感動したことはありますか?
早乙女:驚いたのは「身体能力がこんなに高いんだ!」ということと、ストイックさですね。内にあるエネルギーというか熱量というか、すごくハングリー精神を感じました。「もっともっとうまくなりたい」「もっともっとやりたい」というこれだけの向上心を持っている方は、これまで共演させていただいた女性のなかでも一番で、そこに純粋に驚かされました。
柚香:(笑顔を浮かべる)。
――どういった場面でそれを感じましたか?
早乙女:全部の場面で感じましたが、一番は殺陣の部分ですね。柚香さんが演じた紅子は鬼であり、一番強い役どころだったので、「強くあらねばならない」というところがすごかったです。新感線の立ち回りをやるのは初めてで、最初は苦戦されていたけれど、そのなかでさえ楽しみながらやっている部分もあったと思います。だからこそ、あそこまで熱を込めて向き合っていたんじゃないのかなと。
柚香:いやもう、新感線さんの立ち回りは大変だろうと思っていたんですが、やっぱり課題がすごくたくさんあって。稽古初期の頃は目も当てられないような状態だったと思います。「千穐楽まで向上したい!」という私のしつこいまでのつきまといにも付き合ってくださり(笑)、応えていただきました。
早乙女:(笑)。
――柚香さんが早乙女さんに驚いたことは?
柚香:私が衝撃を受けたのは、殺陣で言うなら稽古場で初めて“手”がつくときです。もちろんすごい方だと知っていましたが、アクションチームの方々が先に段取りを組まれるのを、こう(深く椅子にもたれて)座って、体を動かさないでじっと見てらっしゃるんですよ。なのにパパパッと頭に全部の手が入り、「じゃあ、やってみようか」となったらすぐにできる。その覚えの速さ、組み立ての速さがもう衝撃でした。
早乙女友貴
――柚香さんはミュージカルやレビューを届ける宝塚歌劇団、友貴さんは大衆演劇の「劇団朱雀」というジャンルが違う場所で育ってこられて、舞台人として刺激になる部分も多かったのでしょうか。
早乙女:刺激というか、あらためて柚香さんを見て思ったのは、舞台に立つときに嘘がないことです。“今の自分”というフィルターをいったん閉じて、ちゃんと役としてそこに立つというか……。役どころは架空の人物だし、ストーリー自体もフィクション。でもそのなかで、どうしてもリアルさというものが必要になってきます。全てを嘘だと割り切ってしまうと、本当に嘘になってしまうし、自分たちがどう信じてやるか、嘘なくその場にいられるかが大事になってくる。そういう役者として当たり前のことを、「ああ、そうだよな。やっぱり根本的なところは大事だよな」と、柚香さんの姿から気づかされました。
――柚香さんは舞台人として共通するものなど、早乙女さんから何か感じましたか?
柚香:私は宝塚歌劇団にいて、友貴さんは「劇団朱雀」にいらっしゃって、お互い劇団というところにずっと身を置いていたので、長い間板の上に立つことが生活のほとんどを占めているというか、そのために生きているというか……。そういう時間を過ごしてきた、という共通点はすごく感じました。「舞台の上は神聖なところ」とよく言いますけど、その舞台に向かうときの緊張感やエネルギーを友貴さんの姿からあらためて感じて、「ああ、そうだよな。大事だよな」と思いました。
二人が語る『髑髏城の七人』の胸アツポイントとは――
早乙女友貴、柚香光
――劇団☆新感線の代表作『髑髏城の七人』の最後の公演となる、『髑髏城の七人 LAST STAND』への出演が決まったときのお気持ちを教えてください。
早乙女:純粋に嬉しかったのと、「髑髏城が終わっちゃうんだ」という寂しい気持ちがありました。僕が初めて新感線さんの存在を知ったのが『髑髏城の七人』だったので、最後の公演で天魔王として関わらせてもらえるのは素直に嬉しいし、光栄に思います。
柚香:私も新感線さんの舞台を初めて観たのが、青山劇場での『髑髏城の七人』“ワカドクロ”(2011年)でした。なので、最後の公演と伺って本当に衝撃でしたが、『紅鬼物語』から1年という時間でまたご縁をいただけて、とても光栄に思いました。
――お二人にとって『髑髏城の七人』の胸アツポイントがあれば、ぜひ教えてください。
柚香:やっぱりタイトルロールが出た瞬間!
早乙女:捨之介の名乗りのところね。
柚香:はい。あと、それぞれのキャラクターの見得ですね。持ち台詞がくると、「待ってましたー!!」となります(笑)。
早乙女:僕は、兵庫と兵庫のお兄ちゃんのシーンが胸アツです。兄弟で協同して戦うシーンがあり、今回はそのお兄ちゃん(村平)を木村了くんが演じるんですけど、今までは結構劇団員の方がすごく汚い格好でやってらっしゃったので、今回は違った感じになるんじゃないかなと思っていて。
柚香:キタナイ……(笑)。
早乙女:ほんとにキタナイおじさんの役だったから(笑)。どういった武器でやるのかなとか楽しみです。そして一番個人的に楽しみなのが、やっぱり荒武者隊。
柚香:私も台本を読んでから、荒武者隊の方々がどういう衣装を着て、いのうえさんのどんな演出で出てくるのだろうかと気になり、ドキドキしています。
早乙女:劇団員の方々が演じる荒武者隊、すごく楽しみですね。
――やはり今回は劇団として最後の『髑髏城の七人』とのことですし。
早乙女:そうですね。これだけ劇団員の方が揃う『髑髏城の七人』は久々だと思うんですよ。もちろん古田(新太)さん、(高田)聖子さん、(橋本)じゅんさんたちはいらっしゃいませんが、その他の劇団員の方たちが総出演する『髑髏城――』は、“ワカドクロ”以来だと思います。IHIステージアラウンド東京のシリーズは、劇団員の皆さんはバラバラだったので。そういう意味でも感慨深いですし、その中でこの作品をやれるのが今回の見どころのひとつだと思います。
刀を手にする極楽太夫、狂気を深める天魔王
早乙女友貴、柚香光
――今回、早乙女さんは関東髑髏党を率いる天魔王、柚香さんは色里・無界の里で一番と評判の極楽太夫を演じられます。
早乙女:『髑髏城の七人』は何度も観ているのですが、天魔王だけにフォーカスして観ることがあまりなかったんです。今回初めて活字で読ませてもらったときに、一番人間らしいというか、人間の弱さみたいなものがあるからこそ、狂気じみたものになっていったのかなと思いました。表面的には支配者であり破壊者である彼が、なぜそうなったのか。すごく幅があり、深掘りしていけばいろんな可能性がある役どころだなと。彼の心の弱さも、天魔王という男の狂気に入れていけたらいいなと今は思っています。
柚香:極楽太夫は艶やかで華やかであでやかで、そして情が深い、とても芯の強い女性だと感じています。彼女には裏切られた過去があり、戦うこと、命を守ることが常に近くにある女性。なぜ彼女が強くなったのか、強くならざるを得なかったのかという、彼女の背負ってきたもの、歩んできたもの、何を守り、今は何を大事にしたいのかということを、彼女の華やかさのなかに丁寧に描いていきたいです。
――柚香さんが、早乙女さんの演じる天魔王に期待することは?
柚香:やっぱり天魔王の、「どこまでいってしまうんだろう?」というような狂気に近い、織田信長への執着というのでしょうか。太刀筋とか、台詞もそうですけど、刀の1本の太刀筋から感じる狂気というのがすごくあると思うので、そこからの表現力、エネルギーは、友貴さんからとんでもないものがほとばしるんじゃないかっていうことを、今から想像しています。しかもそれが捨之介や蘭兵衛と対峙したときに、どんどん濃くなっていくんだろうなと今から楽しみです。
柚香光
――確かに早乙女さんの殺陣からも、役の感情が溢れ出てきそうですね。
柚香:『紅鬼物語』のときも、千穐楽に近づけば近づくほど、友貴さんが演じた栃ノ木の思いや、ずっと抱えていたものが爆発する瞬間の凄まじさが強くなっていく感じだったので。今回天魔王という役で、公演期間がさらに長くて、立ち回りのシーンも多いとなったら、一体どういう風になっていくんだろうと、すごく思います。
――早乙女さんが、柚香さんの極楽太夫に期待することは?
早乙女:もう、めちゃくちゃカッコイイんだろうなって! 今までいろいろな方が極楽太夫を演じてこられて、それぞれの格好良さがあったと思いますが、柚香さんに関しては、男よりもカッコイイので。
柚香:アハハハ!
早乙女:男性よりも色気があって。これまで演じてこられた方は、カッコイイ方はもちろん、かわいらしい方もいらっしゃった。色が全然違ったと思うのですが、柚香さんは一番強い極楽太夫になるんじゃないかな。それは柚香さんが演じることでそうなるし、立ち回りの部分でもそう思います。太夫は本来あまり戦わないけど、今回は銃を持ち、刀も持つというふうに聞いているので。そこはまた、太夫の強さを表現するシーンになると思うし、ものすごく期待しています。
――お二人の絡みもあるんですよね!?
早乙女・柚香:それが!!
早乙女:天魔王と太夫って、あんまり絡まないんですよ。
柚香:そうなんです!
早乙女友貴
――確かにシーンとしては短かったですよね。
早乙女:本当にワンシーン、ふたシーンぐらいで。本来、天魔王は捨之介と蘭兵衛としかあまり絡まない。蘭兵衛が仕切っている無界屋に乗り込んで、そこで極楽太夫とも会うのですが。でも今回、(極楽太夫は)刀を持っていらっしゃるので!
柚香:フフフ。
――極楽太夫は銃、鉄砲を持っているイメージですが、刀も持っているのですね(笑)。
早乙女:銃も刀も持っています。
柚香:そうです!
――これまでとはまた違う天魔王と極楽太夫の絡みを楽しみにしています! 最後に劇団☆新感線の舞台に立つうえで心掛けていることも含めて、意気込みをお願いします。
早乙女:心掛けていることと言えば、とにかく公演期間が長いので、体力面はもちろん、やっぱり気力が一番大事になってきます。これだけ長期間の舞台に立つにあたって、日に日に新しいことにチャレンジしていくのが大切。毎公演新しい発見があるので、そこにきちんと目を向けて、新鮮な気持ちでやっていくという……。口で言うのは簡単なんですけど。
柚香:長いですよね(笑)。
――1回の公演自体も長いですし、どこかで心が折れそうになることはないですか?
早乙女:基本折れてるんですけど……(苦笑)。
柚香:(笑)。
早乙女:でもやっぱり、いざメイクをして衣装を着るとスイッチが入りますし、その日だからこそ生まれるものがあります。だからすごく楽しみながらやりたいですし、あとは地方のご飯を楽しみに頑張りたいです。
柚香:今、体力のお話を聞いて、本当にそうだなと思いました。それに冬の公演ということで、乾燥と流行り病には長期間の公演だけに気をつけないといけないなと思います。誰ひとり欠けても立ち回りの手とか、成立しなくなっちゃいますよね。
早乙女:そうですね。
柚香:立ち回りが多いと唸ったり、がなったりして、ただ台詞を言う、歌を歌う、というのとは違い、喉を通過する息が多いため喉が痛みやすいんです。そういう意味でも体調管理を心掛けたいです。
取材・文=小野寺亜紀 撮影=浜村晴奈
公演情報
いのうえ歌舞伎 『髑髏城の七人 LAST STAND』
作 中島かずき
演出 いのうえひでのり
出演 早乙女太一 塩野瑛久・藤岡真威人(Wキャスト) 早乙女友貴 /
柚香 光 / 片岡千之助 桜井日奈子 近藤頌利 河野まさと /
木村 了 浜中文一 粟根まこと / 山口馬木也
右近健一 逆木圭一郎 村木よし子 インディ高橋 山本カナコ
礒野慎吾 吉田メタル 中谷さとみ 保坂エマ
川原正嗣 武田浩二 横山一敏
藤家 剛 川島弘之 菊地雄人 あきつ来野良 藤田修平
北川裕貴 寺田遥平 竹之内景樹 石倉和樹 永易大空 古見時夢
山崎朱菜 おくつようこ 乾 ライム 大内美里沙 岡山玲奈 高野 渚 日比野愛柚
企画・製作 ヴィレッヂ 劇団☆新感線
公式サイト https://www.vi-shinkansen.co.jp/dokuro2026/
【東京公演】
日程 2026年11月14日(土)~12月25日(金)
会場 新橋演舞場
11月公演:2026年9月25日(金)午前10時
12月公演:2026年10月25日(日)午前10時
料金 桟敷席 17,000円/1等席 16,000円/2等席 12,800円
3階A席 9,800円/3階B席 3,500円(全席指定・税込・未就学児入場不可)
製作 松竹 ヴィレッヂ
お問合せ 新橋演舞場 03-3541-2600(10:00〜18:00)
【長野公演】
日程 2027年1月21日(木)~24日(日)
会場 ホクト文化ホール
料金 S席15,800円/A席12,800円(全席指定・税込・未就学児入場不可)
主催 信濃毎日新聞社/NBS長野放送/サンライズプロモーション北陸
共催 (一財)長野県文化振興事業団
お問い合わせ サンライズプロモーション北陸 025-246-3939(火~金12:00〜16:00/土 10:00〜15:00)
【金沢公演】
日程 2027年2月8日(月)~14日(日)
会場 金沢歌劇座
料金 S席15,800円/A席12,800円(全席指定・税込・未就学児入場不可)
主催 HAB北陸朝日放送/北國新聞社/サンライズプロモーション北陸
お問い合わせ サンライズプロモーション北陸025-246-3939(火~金12:00〜16:00/土 10:00〜15:00)
【大阪公演】
日程 2027年2月25日(木)~3月11日(木)
会場 フェスティバルホール
料金 S席17,000円/A席12,800円/ヤング
※ヤング
開演1時間前から、整理番号順に「当日券受付」にて、年齢明記の身分証提示の上、座席指定券と交換。1人2枚まで。
主催 ABCテレビ/サンライズプロモーション大阪
後援 FM802/FM COCOLO
お問い合わせ キョードーインフォメーション 0570-200-888(12:00~17:00/土日祝休)