最新鋭の現代アートが、国やジャンルを越えて大集結 『Tokyo Gendai』レポート
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『Tokyo Gendai』
2026年9月11日(金)から13日(日)まで、神奈川県・パシフィコ横浜にて国際アートフェア『Tokyo Gendai』が開催された。
2023年にスタートした『Tokyo Gendai』は、現代アートに特化した国際アートフェア。世界各国のアートギャラリーが一堂に会して作品の展示・販売を行う大規模イベントで、今年2026年が4回目となる。会場では作品の展示だけでなく、特設の展覧会やアートトーク、インスタレーションといったパブリックプログラムや、キュレーターらによるシンポジウムのほか、日本各地の美術館と連携したオープニングイベント、アーティストスタジオ訪問など、招待客向けプログラムもあわせて開催。ギャラリー、美術館、財団との連携などにより、ここでしか味わえないアート体験が提供された。
会場風景
5つのセクターからなる会場 代表的なギャラリーが勢揃い
約70ものギャラリーが参加した今年の展示空間は、5つのセクターに分割。メインとなるセクター「Galleries」「Hana 'Flower'」「Eda 'Branch'」に加え、写真を含む紙などに焦点を当てた「Miki 'Trunk'」が新設され、最先端のデジタルメディアに着目した「Tane 'Seed'」が2年ぶりに設置されるなど、新たな展開を見せた。
各地を代表するギャラリーが集まる「Galleries」セクターでは、洗練を極めたキュレーションが披露された。「KOTARO NUKAGA」で目を引く、今にもバランスが崩れてしまいそうな色鮮やかな球体は、国際的に活動しているアニー・モリスの作品だ。ほか、「TARO NASU」で紹介されていたライアン・ガンダーによる巨大な黒いボールの作品のように、力強くコンセプチュアルな作品が集結していた。
「KOTARO NUKAGA」のブース
「TARO NASU」のブース
「KOSAKU KANECHIKA」では、花魁の高下駄をモチーフとする舘鼻則孝の代表作であるヒールレスシューズを展示し、「セイソン&ベネティエール」(フランス)では、身近な題材を卓越した職人技によってアートへ昇華させるヴィム・デルボアによる創作などを紹介。現代アートと工芸が融合した作品は、時間をかけて築き上げられた技巧と新鮮なコンセプトが際立つ。
「KOSAKU KANECHIKA」のブース
「セイソン&ベネティエール」のブース
「Galleries」には、ほかにもソウルを中心に展開する「Gana Art」や世界有数のメガギャラリーである「Pace Gallery」(アメリカ)、国内からは「NANZUKA」、「Kaikai Kiki Gallery」、「ミヅマアートギャラリー」といった名だたるギャラリーが集結し、本フェアの存在感と重要性を示していた。
「Kaikai Kiki Gallery」のブース
若手アーティストの作品のほか、紙や映像など彩り豊かなアートを紹介
「Hana 'Flower'」は本フェアで最もブース数が多いセクターで、若手や注目のアーティストに焦点を当て、彼らを世界のオーディエンスに紹介しながら、今後の活動を後押しすることを目的とする。「CON_」はアートシーンで注目を集めている山中雪乃の絵画を、「Kamakura Gallery」では気鋭のアーティストである川内理香子や手塚愛子らの作品を展示しており、素材やジャンルを横断して新しい表現の力強さを伝えていた。
「CON_」のブース
「Kamakura Gallery」のブース
「Eda 'Branch'」では、アジアで評価を得ている作家や、美術史の中で重要な位置を占める作品・作家を掘り下げて紹介する。「一穂堂ギャラリー」は、中野大輔の動的で繊細な画題の屏風や、池田晃将による微細な螺鈿の工芸品といった緻密で美しい作品を披露し、古典的な日本文化と現代アートの交点を提示した。
「一穂堂ギャラリー」のブース
日本には、深く文化に根付いた紙の文化がある。今回新設された「Miki 'Trunk'」では、写真やプリント、ドローイングや版画など、紙の作品を幅広く展開している。ここには価格が比較的手頃な作品が多いが、巨匠の手による絵画も紹介しており、紙による表現とバリエーションの豊かさを示す。
また本セクターは、日本ではエディション作品やプリント作品などが幅広く受け入れられていることから設けられたという経緯もあり、多くの来場者で賑わっていた。
「Miki 'Trunk'」
「Tane 'Seed'」には、映像表現を用いた作品が集まっている。紙という伝統的な素材の作品がメインの「Miki 'Trunk'」と、新しいアートが集う「Tane 'Seed'」は対極にあるようだが、映像作家が紙の作品をつくっていることも多く、思いがけないつながりが見受けられるのも現代アートの面白さといえよう。
「Chi-Wen Gallery」(台湾)は、他のギャラリーと共同で、ドリアン農家の子孫にして起業家であり、インフルエンサー、デザイナー、シンガーでもあるFAMEMEによる、歌舞伎町のナイトライフを取り込んだ《Fancy Fantasy!》や、Tsui Kuang-Yuによる都市空間を扱った《Exercise Living》などを発表。最先端の映像作品は、現代に生きる人々の行動や街の変化をユニークに描き出す。
「Chi-Wen Gallery」の映像作品
「Double Square Gallery」の映像作品
大型のインスタレーションやコラボレーション、各種イベントも充実
『Tokyo Gendai』には、5つのセクター以外にも豊かなコンテンツがある。国内で多様な活動を行っている芸術文化財団が集うセクター「Ne 'Root'」には、国内外のアーティストの活動および作品を展示する「清春芸術村 公益財団法人吉井財団」などが参加。清春芸術村 公益財団法人吉井財団は、藤森照信の設計による「茶室 徹」や、安藤忠雄が創設した「光の美術館」といった施設を有するほか、展覧会なども随時実施している。今回は新設の建築作品である伊東豊雄の「こどもの遊び場」などを紹介し、展開の広さを見せた。
「清春芸術村 公益財団法人吉井財団」のブース
大型のサイトスペシフィック・インスタレーションやパフォーマンスを展開するセクター「Sato 'Meadow'」では、ロンドンのプラットフォームである「TAEX」がマリーナ・アブラモヴィッチの《Slow Walking》を公開している。「TAEX」はセクター「Tane 'Seed'」でも人間とテクノロジーの関係性を示す展示を扱っており、さまざまな領域を横断する本フェアの特性を示していた。
「Sato 'Meadow' 」
会場には随所に大型のアートが展示されているほか、Tokyo Gendaiのオフィシャルシャンパーニュパートナーを務める「ペリエ ジュエ」が、クチュールデザイナーであるイリス・ヴァン・ヘルペンとのアートコラボレーションで制作したシャンパーニュボトルなども幅広く紹介。作品も企画も交流も充実した場となっていた。
Sato 'Meadow' ローレンス・ウィナー《形を成すまで叩かれた》TARO NASU
「ペリエ ジュエ」のブースで展示されたイリス・ヴァン・ヘルペンの作品
最新のアートをじっくりと見ることができ、作品を取り巻く状況や考え方に触れ、現代アートの今を実感できる国際アートフェア『Tokyo Gendai』。東京の有明GYM-EXでの開催となる次回も、是非お見逃しなく。
文・撮影=中野昭子
イベント情報
時間:一般公開日 9月11日(金)12:00~20:00、9月12日(土)11:00~18:00、9月13日(日)11:00~17:00
会場:横浜国際平和会議場(パシフィコ横浜)展示ホールC/D
主催:The Art Assembly (ジ・アート・アッセンブリー)