After the Rain、アリーナツアー秋公演・広島サンプラザホール公演のオフィシャルレポートが到着

レポート
音楽
2026.10.25
After the Rain

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After the Rainが、『After the Rain 10th Anniversary Tour ~ 春夏秋冬 ~』の“秋”公演を、10月17日・18日に広島県・広島サンプラザホールにて開催。本記事では、18日公演のオフィシャルレポートをお届けする。


そらるとまふまふによるユニット・After the Rainの結成10周年を記念したアリーナツアー『After the Rain 10th Anniversary Tour ~ 春夏秋冬 ~』。その“秋”公演が10月17日と18日に広島県・広島サンプラザホールにて開催された。

このツアーは「アニバーサリーイヤーとなる1年間を、季節の移ろいに添いながらリスナーとともに過ごしたい」という思いが込められており、各季節各都市で四季折々の演出やパフォーマンスが予定されている。春の神奈川県・ぴあアリーナMM公演、夏の兵庫県・神戸ワールド記念ホール公演に続いて開催されたこの秋公演は、最新フルアルバム『春夏秋冬』の楽曲や過去のアルバム収録曲などを用いて秋に似合うセットリストを組み、春公演や夏公演とは異なる趣を作り出した。このレポートではまふまふの誕生日当日にあたる、10月18日公演の模様を記す。

ステージはこれまでのセットをベースに紅葉や太鼓橋などがあしらわれ、秋の香りを引き立てる。暗転するとモニターにオープニングムービーが流れ、会場一体が秋景色に染まると、「ユメクイ」のイントロに乗せて今ツアー衣装の黒ジャケットを羽織ったそらるとまふまふが登場した。

AtR流のハロウィンソングが会場を蠱惑的なムードに包むと、一転「1・2・3 - 2023 ver. -」では無邪気な空気感のなか華やかなハーモニーを展開する。そらるは観客にコールを促し、まふまふも「いくよ!」「みんなで!」など積極的に呼び掛け、冒頭2曲からユニットの持つ表現の振れ幅で会場を沸かした。

After the Rain

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AtRとまふまふにとって初の広島公演であることに触れたそらるは、ユニットを代表して「初めてライブに来てくれた人にも楽しんでもらえるように最後まで全力で歌っていきます」と意気込みを見せる。すると両者揃ってギターボーカルスタイルにチェンジして「負け犬ドライブ」を披露し、その後は再びハンドマイクスタイルに戻り「アンチクロックワイズ」「レッドスプライト」と引き続きロックナンバーをたたみかけた。エモーショナルな歌声には覇気が宿り、堂々としたパフォーマンスには余裕と鋭さがほとばしる。丸みを帯びたミステリアスなそらるの声、突破力と透明感を併せ持つまふまふの声、ドラマチックなメロディは楽曲の持つほのかな哀愁も際立たせ、観客一人ひとりの心を深く揺さぶった。

ライブの中盤はソロステージのブロックに入る。単身ステージに残ったそらるは、この日がまふまふの35歳の誕生日当日であることに触れ「先輩としてこの日に花を添えたい」と笑いながらも相棒に敬意を払う。そして秋公演であることを踏まえて最新アルバムからは秋の楽曲を披露する旨を語ると、「自分が11月に誕生日なので選んだ、ばっちりおしゃれでかっこいい曲」と告げ、同作に収録されたソロ曲「ブローアウトセレモニー」を披露した。スウィングロック調の演奏に、大人ならではの自然体の色気を纏ったボーカルが軽やかに響く。情念が綴られた歌詞でありながらも、それを艶やかに彩る彼の表情はとても柔らかく、楽曲へのリスペクトや歌うことへの喜びが素直に表れていた。

そらると入れ違いでステージに現れたまふまふは自身の口で誕生日を報告し、「昔はどこに行っても最年少だったのに……」と笑わせる。そして「せっかくひとつ年齢を重ねたから、声が枯れるくらい、終わった後に動けなくなるくらいやろうと思う。ついてこれるか!?」と気合いを見せ、自身のソロ名義曲「最終宣告」を歌唱した。彼の誕生日であることも影響してか、全身を震わせながら曲に命を吹き込む姿は、楽曲を制作した当時の彼自身と対峙するようにも見える。ラストのハイトーンまで、彼が人生で築き上げてきたボーカリストとしての、ソングライターとしてのアイデンティティが拮抗する、非常に凛々しいアクトだった。

そらる

そらる


まふまふ

まふまふ

その後はこのツアーの恒例であるソロのメドレーセクションへ。そらるは長きにわたり愛されている、秋と相性のいいセンチメンタルな要素を含んだボカロ曲カバーを届けた。みきとP「バレリーコ」、koyori/電ポルP「独りんぼエンヴィー」、ピノキオピー「腐れ外道とチョコレゐト」、ぬゆり「命ばっかり」と軽快でありながらも感傷性を併せ持つ楽曲は、そらるの声質や、歌うことを存分に楽しむという彼のボーカリストとしてのスタンスとの相性もいい。keenoのロックバラード「crack」では歌詞を噛み締めるように大きな優しさでメロディを辿り、その包容力のある歌声に会場もじっくりと身を委ねた。

まふまふは盟友・Neruの楽曲を5曲メドレーで披露する。そらるが夏公演で『カゲロウプロジェクト』の楽曲5曲でメドレーを構成したことに着想を得たものだ。「東京テディベア - 2026 Arrange ver. -」「脱獄 - Arrange ver. -」「脱法ロック」と途轍もない気魄で限界突破するようにハイトーンボイスを轟かせる。「延命治療」では歌詞に綴られた物語を生々しくその歌声で描き、「かなしみのなみにおぼれる」はタイトルどおりに観客一人ひとりの心臓に悲痛を埋め込むような激情的なボーカルで圧倒した。歌い終えた後に息を切らす様子からも、彼のNeruへの敬意が伝わってきた。

2020年のオンラインライブで着用した、羽織とジャケットをミックスした衣装で再びステージにそらるとまふまふが揃うと、そらるは初めてAtRで訪れた広島でアリーナ規模の会場が満席になったことについて「20年近く活動してこんな景色を見られると思っていなかった」と支えてくれるファンへの感謝を告げる。まふまふは初めての広島について「めちゃくちゃお客さんがあったかくて、前日もめちゃくちゃ楽しくてガラにもなく本気ではしゃいでしまった」「今日も誕生日だから思いっきり楽しみたい」と喜びをあらわにした。最新アルバムからミドルナンバー「流行り病」をライブ初披露し、続いての「この指とまれ」も含めて切なくも穏やかな歌声で会場を包み込む。「レム」ではオートチューンを用いて幻想的な音を作り出し、じっくりと楽曲の世界に身を沈めるように歌うふたりの声は、観客一人ひとりを記憶の旅へといざなうようだ。それはどこか肌寒さを感じる秋の空気と似ていた。

After the Rain

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そらるがまふまふに35歳の抱負を問うと、まふまふは個人活動休止に入る前の自身を振り返り、統率力があるタイプではないなりにも歌い手文化の発展に貢献するためにフェスの開催や番組の配信などを精力的に行ってきたこと、その活動が自分自身にとって有意義だったことを述懐する。そして「あの頃のような動きを欲してくれている人が仲間内にも視聴者さんにもいる」「ずっと足踏みをしてたけど、来年めっちゃ頑張ります! 楽しみにしててくれ!」と笑顔で呼び掛けた。その様子を見ながら、AtR の2023年に開催されたツアー「春音」の初日、さいたまスーパーアリーナ公演を思い出した。活動休止から表舞台に戻る第一歩となったあのライブから3年半の月日が経ち、彼はステージの上で未来への意欲を表明した。非常に感慨深く喜ばしい。

さらにそらるが「(普段東京近郊以外の土地であまりライブをしていない)まふまふを外に連れ出せた」と喜びをあらわにすると、まふまふも「元気なうちにみんなに会いに行こうと思った。俺がみんなに会いたいと思った」と目を輝かせる。15年以上もキャリアを積み重ねながら進化を続けるふたりの姿は、会場をさらなる充実感で満たした。

最新アルバム収録の秋曲「ハローアフターダーク」、ツインボーカルが緊迫感をもって交錯する「モア」、たくましさが漲る歌声に加え、曲の終盤でそらるがギターボーカルのまふまふの肩を抱きながら歌唱するなどして結束を見せた「生に縋りつく」とエネルギーを増幅させると、それらを一挙に放出するように「四季折々に揺蕩いて」へとなだれ込む。ふたりの歌声は純度の高い熱量と清涼感が宿り、新しい季節を運ぶ風のように会場を駆け巡った。

残すところあと2曲のタイミングで、そらるはまふまふについて言及する。普段MCでは親交の深さゆえにまふまふをからかいがちの彼であるが、「AtRはかなりでこぼこなコンビだと思っています。まふまふはとても能力が高くて、俺に足りないところをすごく持っていて。ここまでいろいろ助けられてきました」とまふまふへ10年間の賛辞を贈る。まふまふは照れ隠しからか立ち眩みのような仕草をし、「あまりに長いMCが始まったので眠りかけてしまった」とそらるをからかう。するとそらるは「頼れる部分もあるやつです。これからもふたりのことをよろしくお願いします」と丁寧に頭を下げた。その直後に披露した「桜花ニ月夜ト袖シグレ」の息の合ったツインボーカルには、お互いを導きながらもお互いを頼るような信頼関係が淀みなく表れる。そこには同じ時代を走り抜けたアーティストとしての畏敬の念はもちろん、同世代の男子同士の友情も滲んでいた。

After the Rain

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「テレストリアル」ですがすがしい本編ラストを飾り、「セカイシックに少年少女」でアンコールをスタートさせると、記念撮影に入るタイミングでそらるの熱唱に乗せてまふまふへのサプライズバースデーケーキが登場する。喜びながらも自分のために時間を割いてもらうことに対して恐縮するまふまふに、そらるは「祝う側は楽しいんだから、祝われる側は甘んじて受け入れたほうがいい」と返し、客席からも盛大な祝福が届いた。

まふまふは「活動を始めて15年くらいだから、ここからもう15年は活動していくくらい元気にやっていきたい」と向上心を見せ、「自分は死ぬまで音楽とともに在ります。今後ともよろしくお願いします」と生涯音楽家宣言をする。そらるもそんなまふまふに驚きと喜びの表情を浮かべ、観客に「また会いに来ます、会いに来てください!」と呼び掛けた。そんなふたりが秋公演の締めくくりに選んだのは「アイムユアヒーロー」。音楽への決意を歌った同曲は、10年以上もの歳月を共にし、未来を見据えて飛び立つふたりが歌うからこその説得力を放つ。ふたりは最後までナチュラルかつ晴れやかな笑顔を浮かべ、AtR初の広島公演は大盛況で幕を閉じた。

この秋公演は、この季節特有のセンチメンタルな気分を増幅させるセクションもあれば、現在のふたりの充実したモードを伝えるセクション、新曲から懐かしの楽曲、レア曲も披露するなど、これまでの春夏2公演と比較すると振れ幅の大きさを感じられるものとなった。とうとう次回はツアーファイナル、2027年2月6、7日に宮城県・ゼビオアリーナ仙台で開催される冬公演である。AtRの10周年の締めくくりであり、さらにはそらるの凱旋ライブ、AtR初の宮城公演ともあり、この日も特別な2日間となることは間違いない。1年かけてじっくりと四季折々を旅した後、ふたりはどんな空間を作り出すのだろうか。来年その真価が明らかになる。


文=沖 さやこ
撮影=加藤千絵[CAPS] / 後藤勝太[is]

セットリスト

After the Rain 10th Anniversary Tour ~ 春夏秋冬 ~
2026.10.18 広島サンプラザホール 秋公演
1.ユメクイ
2.1・2・3 - 2023 ver. -
3.負け犬ドライブ
4.アンチクロックワイズ
5.レッドスプライト
6.ブローアウトセレモニー(そらる)
7.最終宣告(まふまふ)
8.そらるメドレー
・バレリーコ
・独りんぼエンヴィー
・腐れ外道とチョコレゐト
・命ばっかり
・crack
9.まふまふメドレー
・東京テディベア - 2026 Arrange ver. -
・脱獄 - Arrange ver. -
・脱法ロック
・延命治療
・かなしみのなみにおぼれる
10.流行り病
11.この指とまれ
12.レム
13.ハローアフターダーク
14.モア
15.生に縋りつく
16.四季折々に揺蕩いて
17.桜花ニ月夜ト袖シグレ
18.テレストリアル
[ENCORE]
19.セカイシックに少年少女
20.アイムユアヒーロー

ツアー情報

After the Rain 10th Anniversary Tour ~ 春夏秋冬 ~
【冬公演】ゼビオアリーナ仙台(宮城)
2027年2月6日(土)開場17:00 / 開演18:00
2027年2月7日(日)開場15:00 / 開演16:00
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