ヤナーチェクの傑作オペラ『イェヌーファ』上演とイベントのお知らせ

2016.1.25
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映画『白いたてがみのライオン〉より 写真提供: National Film Archive

日本では村上春樹『1Q84』の重要な要素として「シンフォニエッタ」が登場し、話題を巻き起こした大作曲家レオシュ・ヤナーチェク。チェコ・モラヴィア地方の民族色豊かな作風で知られる彼の傑作オペラ『イェヌーファ』が、2月末から3月初旬に新国立劇場オペラパレスにで上演される。その公演に先がけて、彼の伝記映画『白いたてがみのライオン~大作曲家ヤナーチェクの激しい生涯~』の上映会と、『イェヌーファ』オペラトークという2つのイベントが催される。

オペラ『イェヌーファ』は、ヤナーチェクが50歳の時に初演された第3作目のオペラ。原作戯曲の散文風の会話をそのままオペラに仕立て、モラヴィア方言で書かれていることが特徴となっている。伝統的なオペラの語法と美しい旋律が随所に聴こえるだけでなく、ヤナーチェクが積み重ねてきた民族音楽への造詣を自らの肉として、独自の語法を確立した作品としても重要な位置を占めている。

【物語】
村一番の美人イェヌーファは、連れ子であるために家を継げないラツァの自分に対する愛情を知りながら、美男で跡継ぎのシュテヴァに身を委ね、未婚のままに子を宿す。嫉妬に駆られたラツァに頬を裂かれたイェヌーファを、シュテヴァは呆気なく捨て去ってしまう。イェヌーファの継母であるコステルニチカは、酒飲みの夫が死んだ後に村の教会番となり地位を築いた厳格な人物。イェヌーファを守ろうとするあまり、赤子を亡き者にするという悲劇を起こしてしまう……。

閉鎖的なモラヴィアの寒村を舞台に、実際に起こった2つの事件を元に書かれた戯曲で、養女、後妻、連れ子、義兄弟、父無し子など複雑な家族の繋がりを背景に持ち、現代に通じる男と女の苦悩と愛情、引き起こされる傷害事件と、嬰児殺害、跡継ぎ問題、相手を思うが故の罪、そして白日の下にさらされるエゴイズムを、リアルに赤裸々に描き出している。

今回の公演はベルリン・ドイツ・オペラで2012年に初演され、絶賛を博したプロダクションで、ベルリン公演初演時の主要キャストとほぼ同じ顔ぶれで上演する素晴らしき機会となる。主要キャストは国際的に活躍するトップクラスの歌手陣が揃った。イェヌーファ役は2010年の『アラベッラ』のタイトルロール以来、新国立劇場には待望の再登場となるミヒャエラ・カウネ。コステルニチカ役には、深く豊かな声と卓越した表現力を誇るアメリカの名歌手ジェニファー・ラーモア。ラツァ役には、他プロダクションでシュテヴァ役の経験もあるヴィル・ハルトマン。指揮は、2007年から2009年までブルノ国立歌劇場の音楽監督を務めた気鋭のトマーシュ・ハヌスが登場するという期待の公演だ。

【文/榊原和子 写真提供/新国立劇場】


<イベント情報>

■映画上映会
『白いたてがみのライオン~大作曲家ヤナーチェクの激しい生涯~』
(ヤロミル・イレッシュ監督 1986年 チェコ映画 136分)

映画『白いたてがみのライオン〉より写真提供: National Film Archive

事実とフィクションをミックスさせたヤナーチェクの伝記映画で、オペラ『イェヌーファ』完成から晩年までのドラマ。前半は『イェヌーファ』がプラハで上演されるまで、後半はカミラとのロマンスが描かれており、ストーリーに合わせた音楽も多く挿入されている。
日本では第2回東京国際映画祭(1987年)で上映され絶賛されたが、ロードショー未公開となっている。監督のヤロミル・イレッシュ(1931-2001)はチェコ・ヌーベルバーグを代表する映画監督の1人で、代表作に、クンデラの『冗談』を映画化した『受難のジョーク』等がある。
●2月2日◎新国立劇場 中劇場 
14:00/19:00の2回上映(※開場は上映開始の30分前)
入場料◇無料(入場自由) 申込不要。(当日、新国立劇場中劇場にお越しください)
主催◇チェコセンター/新国立劇場
〈お問い合わせ〉新国立劇場情報センター 03-5351-3011(代)(10:00-18:00)
 
■オペラトーク『イェヌーファ』
音楽・文芸批評家の小沼純一を招いてのオペラトーク。ヤナーチェクの音楽、そして『イェヌーファ』の魅力に迫りながら、併せてカヴァー歌手による豪華な演奏が行われる。
●2月13日◎新国立劇場 オペラパレス ホワイエ 11:30~13:00
講師◇小沼純一(早稲田大学教授、音楽・文芸批評家)
演奏◇カヴァー歌手による歌唱
入場料◇1,500円
◇新国立劇場ボックスオフィス 03-5352-9999(10:00-18:00) 


〈公演情報〉
 

新国立劇場2015/2016シーズン
レオシュ・ヤナーチェク
新制作『イェヌーファ』全3幕〈チェコ語上演/字幕付〉
指揮◇トマーシュ・ハヌス
演出◇クリストフ・ロイ
出演◇ハンナ・シュヴァルツ、ヴィル・ハルトマン、ジャンルカ・ザンピエーリ、ジェニファー・ラーモア、ミヒャエラ・カウネ ほか
合唱◇新国立劇場合唱団
演奏◇東京交響楽団
●2/28、3/2、3/5、3/8、3/11◎新国立劇場 オペラパレス
〈料金〉S席¥27,000  A席¥21,600  B席¥15,120  C席¥8,640  D席¥8,000  Z席¥1,620(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉新国立劇場ボックスオフィス 03-5352-9999(平日10:00-18:00)