ラモン・オルテガ・ケロ(オーボエ)
2016.2.14
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ラモン・オルテガ・ケロ ©Steven Haberland
ラテンとドイツの美点相もつホープを極上の空間で聴く
近年管楽器にも新世代の旗手が登場している。オーボエのラモン・オルテガ・ケロはその最有力株だ。1988年スペイン生まれの彼は、2007年に、なかなか優勝者が出ないことで知られる、難関ミュンヘン国際コンクールで第1位を獲得。19歳にしてホリガー、ブルグに次ぐ40年ぶり史上3人目の快挙を達成し、弱冠20歳で名門バイエルン放送響の首席に迎えられた。その魅力は鮮烈な技巧のみにあらず。情熱的な音色と表情の豊かさで聴く者を強く惹き付ける。
そして今回はトッパンホールでの公演というのがポイント。なぜなら、木に包まれた小空間がオーボエをことのほか美しく響かせるから。実際、同ホールではホリガーはじめ幾多の名手を招いて顕著な成果をあげてきた。さらに攻めの演目もトッパンならでは。前半はバイエルン放送響の十八番シューマンの作品で、有名小品のほかヴァイオリンの難曲たるソナタ第1番が興味を煽り、後半は予測不能のラヴェル「クープランの墓」にパスクッリの技巧曲が続く。ピアノはドイツ・ロマン派に強い島田彩乃。あらゆる点で管楽器の枠を超えた、注目すべき公演だ。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年2月号から)