どんな人の中にも幽霊はいる~うらめしや~、冥途のみやげ展
東京藝術大学大学美術館にて本日より
本日7月22日より、東京上野の東京藝術大学大学美術館にて開催の
「うらめしや~、冥途のみやげ展」、その内覧会が行われた。
元々は2011年に開催予定だった
2011年に開催予定だった本展示、東日本大震災やそれに伴う電力不足などの
諸々の事情で4年越しの開催と鳴った今回。
怪談噺を得意とし、「怪談牡丹燈籠」などで有名な明治の名噺家
三遊亭圓朝、谷中の全生庵には圓朝ゆかりの幽霊画が50幅所蔵されており
その「圓朝コレクション」を中心として、日本美術史における「うらみ」の表現をたどるというのが
展示の内容である。
会場に入ると通常の展示とは違い、幽霊画の雰囲気を見せるために上からの照明なし。
それぞれの絵にはフットライトで薄ぼんやりと明かりが当てられ、場内には風の音も流れている。
外のうだるような暑さと打って変わっての冷房の聞き心地ですら少しだけ怖く感じる、そういう雰囲気作りがなされている。
圓朝コレクションにはガラスケースも無く、会場の真ん中には大きく蚊帳が吊られ
(あくまでも雰囲気作り、とのこと)
遮るものもなく円山応挙や月岡芳年らの肉筆の息遣いをそのまま感じることが出来る。
後半の展示は打って変わって美術館らしく、明るく近代的な雰囲気。
葛飾北斎や歌川国芳の浮世絵から河鍋暁斎、伊藤晴雨などの幽霊図で
江戸から近代における、うらみの表現、その美を堪能することが出来る。
東京藝術大学 大学美術館准教授の古田亮先生は
「驚かすのではなく、じわじわとにじみ出る怖さを楽しんで貰いたい、ただ怖い、恐ろしいというだけではなく
どんな人の心のなかにも幽霊みたいな物はあると思います」と語ってくれた。
「人間である以上恨みを買わずに生きる、誰も恨まず生きるというのは
難しい、明治以降の近代において科学が発達し、幽霊なんて存在しないと言われたのに
こうやって未だに幽霊に人が惹かれるのは他人ごとではないとどこかで思っているからではないでしょうか、
江戸の昔から人はそんなに変わっていない、怖いのは人の思いなのです、それを表現したものを美術として楽しんで頂けたら」
とコメント。
内覧会の最後には導師による安全祈願の祈祷も行われた。
この夏休み、少しひんやりしながら「うらみが美に変わる瞬間」を体験しに行ってはいかがでしょうか?
入口と出口にひょっとしたら「幽霊」が現れるかも…?