金属恵比須が2/17新作発表&“密着ドキュメンタリー動画”!
-
ポスト -
シェア - 送る
金属恵比須@2016.1.30 タワーレコード川崎店 (撮影:飯盛大)
ロック・ミュージックの中の一つのカテゴリーとして「プログレッシヴ・ロック」というものがある。日本では通称「プログレ」(西欧では通称「プログロック」)。それは1970年代初頭のほんの数年間だけヨーロッパを中心に興隆を誇った、先進的で知的なロックミュージック群を指す。最も代表的なバンドは、キング・クリムゾン、ピンク・フロイド、イエス、EL&P、ジェネシス(ピーター・ゲイブリエル在籍時代)。曲が長い、壮大、複雑、変拍子、超絶テクニック、文学的…等々の特徴を持つが、やがて一般大衆の支持を失い、パンクやニューウェイヴなどの台頭により、1970年代中盤には絶滅した…と思われた。しかし、である。
しかし、21世紀も16年余経った今、どっこい「プログレ」は生きている。近頃では「夢コンサート((C)株式会社夢グループ)」よろしく、高年齢リスナー向け“懐メロ”としての「プログレ」市場が、特に日本において成熟してきた。そのうえ、人気コミック「ジョジョの奇妙な冒険」で作者の荒木飛呂彦がプログレ専門用語を随所に散りばめてくれたおかげで、若い世代にも「プログレ」に対する関心が少しづつ高まってきたようだ。
かくして、(偏向的なマスコミはあまり報じないけれど)ロングテール的な「プログレ」ニーズは徐々に増え、それに対応するマーケットもどんどん活況を呈しつつある。すると今まで息を殺すようにしてどこかに身を潜めていた連中が次々に蘇ってきては、あちこちでライヴを開催するようになった。悦ばしいことである。ただし大きな問題がある。往年のアーティスト達がどんどん高齢化し体力が衰え、亡くなってしまう人さえ少なくないことだ。
金属恵比須@2016.1.30 タワーレコード川崎店 (撮影:飯盛大)
そんな問題のソリューションとして(?)、2015年に彗星の如く現れ、「プログレ」リスナー達の注目と期待を一手に集めている日本の若手「プログレ」バンドがいる。金属恵比須である。…いや、この言い方はウソである。まず金属恵比須は、見た目こそ高校生バンドのような風情を漂わすものの(アカ抜けないだけだが)、実は必ずしも若手とはいえない。今年2016年に結成20周年を迎えたのだ。かといって、ベテラン勢に比べれば、恐ろしく年寄というほどでもない(例えばクリムゾンは結成48年、イエスは結成47年)。金属恵比須リーダーの高木大地がバンドを始めたのは東京都立西高校在学中の時で、彼の現年齢は30代半ば。昨年2015年にベテラン名ドラマー後藤マスヒロ(50歳)が正式加入となったが、それにしたって、まだまだ充分元気にヤッてゆける年齢だ。
「彗星の如く現れた」という表現も厳密にはウソである。正しくは、3rdアルバム「ハリガネムシ」が初めてメジャー流通に乗った、それによってようやく陽の目を見るようになったのだ。ただ、何はともあれ、そこから快進撃が始まったことは事実である。「ハリガネムシ」は表題曲が超名曲だったこともあり、2015年の春に、ディスクユニオン「日本のロック」週間チャートを1位まで駈け上る快挙を果たした。そして秋にはNHK-FMの名物企画「今日は一日プログレ三昧」で山田五郎や高嶋政宏らから激賞され、その影響によりamazonでアルバムが忽ち品切れとなった。そしてこのたび、この勢いにのる形で、記念すべき結成20周年の今年(2016年)、ミニアルバム「阿修羅のごとく」が、2月17日にリリースの運びとなった。
金属恵比須@2016.1.30 タワーレコード川崎店 (撮影:飯盛大)
このミニアルバムは、表題曲「阿修羅のごとく」をはじめ、「みつしり」(2016年改訂版)、「真珠郎」(Live 2015)、「ハリガネムシ」(Live 2015)、「『箱男』からの抜粋~a)破壊、b)みつしり」(Live 2015)という全6曲入り。独特の世界観、艶のあるヴォーカル、攻撃的な演奏テクニック、一度聴いたら耳奥にこびりついて離れないメロディ、切れ味の鋭いリズム。さらに、プログレマニアがほくそ笑む引用の織物ぶりも愉しい。非常に素晴らしい出来栄えのCDであるが、その詳細については、近日改めて、当SPICEにおいて金属恵比須のメンバー達から直接語って貰う予定だ。
アルバム発売に合わせた販促イベントも勢力的におこなうという。
2月19日(金)には、横浜関内にあるプログレ居酒屋の「Roundabout」で19:00よりメンバーの稲益宏美と多良洋祐が、そして新宿歌舞伎町のプログレバー「Hammond Orgasm」では19:30から高木大地と宮嶋健一が、CD即売会をおこなう。もちろん、サインも貰える。前者ではアルバム視聴会、そして後者ではトークショー 「パクリの大暴露! 高木・宮嶋の懺悔会」も行うそうだ。そう聞くと、なんだか横浜が若干不利だが、その分、リクエストすれば何でもやってくれるのではないだろうか。
横浜Roundabout即売会のフライヤー
ディスクユニオンでは2月17日(水)から、当該アルバムを買うと「オリジナル帯」が特典で付いてくるという情報も入ってきた。ディスクユニオンの得意技である。また、ガーデンシェッドでの購入特典は「阿修羅のごとく」リハーサル音源CD-R。ワールドディスクでの購入特典は「みつしり」リハーサル音源CD-R。おいおい、いったい何枚同じCDを買わせるつもりなのかと、AKB商法まがいのやりくちが些か気になるところではある(笑)。
ディスクユニオン特典の帯のついた「阿修羅のごとく」
そしてイベントといえば、インストアライヴである。1月30日(土)タワーレコード川崎店を皮切りに、2月21日(日)HMV record shop 渋谷、3月5日(土)タワーレコード川崎店で発売記念ミニライヴが行われる。おっと、1月30日は2月17日時点において既に過去ではないか! 安心してください(←死語)。実はSPICEが、1月30日のインストアライヴ初日に密着したドキュメンタリー動画「キンゾク20年の蠢動」を作ってみた。こちら、いささか長いけれど(プログレだから仕方ない)、そのハイテクニックで凄絶な演奏はもとより、ライヴの裏側の素顔までをも徹底して映し出した面白番組なので、何をおいてもチェックしていただきたい。金属恵比須「入門編」としても最適。これを見ると、実際の生ライヴに足を運びたくなるはずだ。
上記インストアライブに加えて、3月19日(土)には吉祥寺CLUB SETAで「新世代への啓示/21st Century Prog Rock Stars FEST Vol.1」というプログレフェスに出演。そして、4月16 日(土)には、吉祥寺シルバーエレファントで「20周年記念ワンマンLIVE・ツアーファイナル」という集大成的なものが開催される。
ロックの生ライヴなるもの、若い連中が特権的に楽しむものだと敬遠する高年齢層の方がいるかもしれないが、安心してください(←死語)。先に紹介した密着ドキュメンタリー動画を見ていただけると、遠方より会場に駆け付けたリスナーの年齢層の高さたるや一目瞭然である。中高年男性、そして妙齢のご婦人客の姿もチラホラ。いずれもファンとしての成熟した態度が素晴らしい。これは川崎クラブチッタでのプログレ・ライヴに集まる客層ともほぼ一緒だ。もちろん若者の肩身が狭くなるということは全くないので、そこも、安心してください(←死語)。
SPICE密着取材を受ける金属恵比須 (撮影:飯盛大)
これらのライヴ全体のシリーズを「キンゾク20年の大躍進」と彼らは称している。かつて毛沢東が中国において農業・工業の大増産政策を急速に進めて失敗、経済的大混乱と数千万人もの餓死者をもたらした稀代の失政、それが「大躍進政策」だった。毛沢東研究家でもある高木は、それを承知で、今回自分たちの活動にその不吉な名称を冠した。急に陽の目を見たからといっても調子づいてはいけない、という自分たちへの戒めの意もそこに込められているのだろう。でも、大丈夫だ。どんなに頑張っても彼らはシルバーエレファントの「ワンマンLIVE」止まりに決まってる。いくらなんでも、日本の「プログレ」市場は、それほど大きいわけではない。その意味で、むしろ遠慮なく、どんどん大躍進を進めて欲しい。
※金属恵比須公式サイト:http://yebis-jp.com
■日時:2016/4/16(土)18:30
■会場:吉祥寺シルバーエレファント
■一般発売:2月20日(土)12時~
■問合せ:吉祥寺シルバーエレファント
TEL.0422-22-3331
http://www.silver-elephant.com/
■日時:2016/3/19(土)17:00
■会場:吉祥寺CLUB SEATA
■発売中
■出演:Fantasy Rock Orchestra/金属恵比須/Yuka & Chronoship
■問合せ:吉祥寺CLUB SEATA
TEL.0422-29-0061
http://seata.jp/