紫吹淳「GEM CLUBの子は、みんな光ってもらいたい」

2016.3.4
インタビュー
舞台

「GEM CLUB」紫吹淳 撮影=こむらさき

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2016年3月19日(土)から日比谷シアタークリエで上演されるSHOW HOUSE「GEM CLUB」(ジェム クラブ)。9人の若い才能の原石(=GEM)たちがショーハウスで夢を追い求め、ぶつかり合いながらも切磋琢磨している。このショーハウスのオーナー役を演じる紫吹淳に話を伺ってきた。



――今回「GEM CLUB」の中でどのような役割を担っていくことになるのでしょうか?

オーナーというよりは「母」として、若い子たちを見守る役ですね。自分も昔GEMのような時代があったからこそ、彼らの気持ちがよくわかる。上を目指して頑張っている姿を叱咤激励しながら見守っている役です。玉野さんの役はもっと厳しいんですけれど、私は“厳しい”の中でも“あたたかい”母のような存在なのかなと思っています。もう、子どもですよ。みんな(笑)
 

――玉野(和紀)さんの演出を受けるのは3回目ということですが、どのような演出なんですか?

独特の玉野ワールドを確立されていらっしゃるんです。確固たる信念をおもちでいらっしゃる。私に関してはいつも「アテ書き」って言われていますが。「リカちゃん(=紫吹)がこれを言うと絶対おもしろいから!」その言葉を信じてこの前やってみたら百発百中、お客さんが笑ってましたね。私にはなんでお客さんが笑っているのか、まだわからないのですが(笑)「リカちゃんが言うからおもしろいんだよ」って言うんですよ。今回もまたそういうシーンがあるんです。でも前回も言われたとおりにやって、笑われなかった日は一度もなかったですね。
 

――玉野さんは客観的におもしろくなりそうなポイントがわかっているんでしょうね。

自分のことは自分がいちばんわかってないものですから(笑) そして、玉野さんはこの若い子たちに、次へのステップとして扉を開けてくださっているんだな、っていうことも作品作りを通して伝わってきますね。どの作品を観ても。
 

――この舞台で紫吹さんとして大変なところはどのあたりですか?

もう若くないので、若い人たちと一緒に踊ることがキツイですね。実年齢より若く見られますがやはりキツイです(笑) ビート感が昭和の人なので、ラップとかビート感はとっても大変です。
 

――昭和世代にとっては厳しいですよね。ラップとかヒップホップとか・・・

意味がわかんない(笑)だから若い子たちに教えてもらっています。いや、教えを乞うています(笑)
 

――教えるのが上手な子っていらっしゃいますか?

やっぱりマサくん(中河内雅貴)ですね。マサくんが「まずはこう」と教えてくれるのを「何?何!?」って聞きながらやっています。「しょうがないなあこの年寄りは」と思いながらやっているんだろうなあ。
 

――年寄りって(笑)それを言い出したら止まらなくなりますよ!

だって四捨五入したらもう50ですよ私。歳相応にいきたいなと思っています。
 

――さて、年齢の話もでましたところで…これからやってみたい役や出てみたい作品ってありますか?

それが、特別ないんです。やってみたい役というならば、普通の人よりは悪役、悪女をやりたいですね。面白そうですし、それこそ役者冥利につきるのかなって。

「GEM CLUB」紫吹淳 撮影=こむらさき

――悪女もいろいろありますしね。キュートな悪女から巨悪系まで。

悪さの中にかわいさがあるような役がいいですね。救いようのない悪より「そうなっちゃうのは仕方がないよね」って思えるタイプがいい。コミカルな悪女タイプは過去にもやっているので、そこにはさほど魅力を感じないんです。


――では、ドロンジョさまタイプではなく…

「奥さまは魔女」のサマンサのお母さんみたいな悪女がいいですね(笑)
 

――今回のタイトルにある「GEM」に“若い才能の原石”という意味が込められていますが、紫吹さんの「GEM」=原石の時代は、やはり宝塚音楽学校の頃でしょうか。

たぶん音楽学校に受かったときですね。誰がスターになると思って合格させてくれたのかな…と。
 

――その当時、抱いていた夢って何かありましたか?

私、宝塚を一度も観ないで入っちゃったから。だから周りの人と温度差があって、でも一応選ばれて入ったし、私が入ったことで多くの人が泣いているわけだから、在籍する以上は頑張ろうと思いました。確固たる目標はなかったのですが、それから10年くらいの月日が経って、トップになれるのかもという位置にいたときに、「なれるものならなってみたい」という意識に変わりましたね。あまり欲がないんです(笑)
 

――原石の時代から自然体だったんですね、来たものを受け入れるという。

そうなんです。とりあえずやるからには一生懸命にやろうかなというスタンスで。漂ってここまで生きています。
今思うとよくこのスタンスでトップになれたなぁって思いますね。みんな目をギラギラさせながら入学している中、ボーッとしている私のような人がいて。たぶんずうずうしいんだろうと思いますが、下級生のときからステージの端っこで踊っていても、センターで踊っている気分でした。決してセンターを狙うという意味ではなく、端っこで踊るのが楽しいなって思っていて。

 

――紫吹さんみたいな宝塚出身者って珍しい気がします。

私が変わり者なんです。何か他の人とスタンスが違うんだと思います。入った動機も違うし。何かと周りと違うので、よく叩かれましたよ。宝塚に入った以上は染まらなきゃと思った時期もあったんですが、そうしてしまうと私が私でなくなると思って。周りに染まろうとしたとき、周りのファンの方も「どうしたの?元気がないね」って心配してくださって。その時に「止めよう」、私は私らしくいようと思いました。ああいう集団の中で自分らしくいるとそりゃあ風も受けますが、それでも自分らしく生きていました。だって私の人生だから。
 

――子どもの頃から大人になるまで「自分らしさ」が人生の骨になっているんですね。

知らないで宝塚に入ったからなんですが「●●に似ているね」って言われるのがすごく嫌でした。私はその人を知らないし、私はその人ではないから。私は私だから。オンリーワンが好きなんですね。でも宝塚って先人から受け継がれて繰り返して、私自身も上級生にいろいろなことを教えていただいて育ったので、その中で「自分らしさ」を追求していました。宝塚ができて102年ですが、その歴史上変わったトップだった、かなりはみ出たトップだったと思います。もちろん感謝もしているんですがちょっと窮屈だったのも事実です(笑)
 

――そんな時代を踏まえての質問ですが、宝塚の後輩や今回の「GEM CLUB」の若手俳優さんたちを観て、「いずれこの子は光り出しそう」とか、わかるものですか?

わかりますね。宝塚でいうなら「この子はトップになるだろうな」って思った子は、やはりトップになっています。逆に、いくら頑張っていてもあなたはトップになれないだろう、という子も明らかにわかるのでつらいです。違うほうを目指したほうがいいんじゃないかな、とも思いますが、本人はこの道を頑張りたいというのなら応援するしかないなと。冷静に、客観視すればわかるんです。自分のことはさておきですが。
 

――なんとなく目が吸い寄せられる人とか。

そうですね。目がいく人は気が付いたらセンターに立ってますね。何かがすごくできる人という訳でもないのに、気が付いたらずっとその子を観ていたとか。もちろん実力があったらなおいいのですが。
あと、「磨きがいがある子」もわかりますね。磨けば磨くほど光るんじゃないかな、って子。私自身はどんな子だったのかはわかりませんが。
この「GEM CLUB」の子たちについては、もう親心でみんなに光ってもらいたいんです。それはみんなに期待することでもありますね。
 

「GEM CLUB」紫吹淳 撮影=こむらさき

――ちなみに稽古場の雰囲気はいかがですか?

若い子たちの中ではマサくんが最年長なのもあってみんなをまとめていますね。で私がそれを乱している、と(笑)
 

――紫吹さん、何をしているんですか(笑)

いや、速いテンポでうごいているときに、私だけボーッとしているというか、スローな感じで時が動いているみたいですよ。
 

――現状、どのくらいまで稽古が身体に入ってきましたか?

そんな、言えないくらいです。本当に(笑)私、のんきなんですかね。「愛・時を越えて~遥かなる時空の運命」(2010)は、1週間で舞台を作りましたし。あの時はさすがに倒れそうになりましたけど。でもそれに比べたらまだ大丈夫って(笑)これからかな、エンジンをかけるのは。本番には間に合わせますから。
 

――本番にはしっかりラップを刻める紫吹さんに期待しています。

いや~、刻めているんだろうか。若い子の歌とかも歌うんですけど、譜割りが…へんてこりん!?何だこれ!?って思いますよ。だからすごく難しいです。生まれながらにそういうリズムを聴いていたら不思議に思わないんでしょうが、昭和の人間にはキツイです。だから昭和の人間の方々にはそう思っていただきつつ舞台をご覧いただきたいと思います。私の苦労をぜひ体感いただきたいです。
 

――しかも、ラップを刻むだけでなく、踊ってもいたりするんですよね?

もう、ありえないでしょ?脳みそが腐りそうです(笑)でも、玉野さんはこういうことばかりやっているからこそいつまでもお若くいられるんじゃないかなって。だから公演終わる頃には一緒に踊れるくらいの域になっていれば、私もきっと若返ると思います。ファンの方も私の年齢を考えて「すごいね」って思ってくださるのと同時に、「じゃあ私も頑張ろう」っておうちに帰って同じ動きをしていただいたり…(笑)私も若返ることを信じてやっていますから!
 

撮影・文=こむらさき

公演情報
SHOW HOUSE「GEM CLUB」

■日時・会場:
2016年3月19日(土)~4月1日(金)日比谷シアタークリエ
2016年4月8日(金)~10日(日)サンケイホールブリーゼ
2016年4月11日(月)愛知県芸術劇場 大ホール

■作・演出・振付・出演:玉野和紀

■出演:玉野和紀
    中河内雅貴 相葉裕樹 植原卓也 矢田悠祐
    高橋龍輝 荒田至法 大久保祥太郎 渡辺崇人 石川新太
    原田優一 愛加あゆ 紫吹淳

■公式サイト:http://www.tohostage.com/gem_club/