「我々は互いに自転する惑星である」注目の劇団・ぷろじぇくと☆ぷらねっとへインタビュー

2016.3.10
インタビュー
舞台

ぷろじぇくと☆ぷらねっと第9回公演『庭』

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それは、他の何にも似ていない、まだ誰も見ていない風景、けれどもいつかどこかで誰もが見たことのある風景・・・。演劇・映像・音楽・文学など多岐に渡る芸術の発信基地となることを目指す『ぷろじぇくと☆ぷらねっとに今回の公演について伺った。

--ぷろじぇくと☆ぷらねっとさん結成までの経緯を教えてください。

2004年3月に、演劇プロデュース集団として旗揚げしました。直前、多忙が原因の病気がきっかけで会社員を辞めていて、自分がほんとうにやりたいことはなんだ、と考えた末、学生時代からやっていた演劇に出戻ってきました。

あちこちの公開ワークショップに出まくってメンバーやキャストを集めました。当時、ワークショップで名刺を配りまくって浮いた存在でした。…あいつ何しに来たんだという…

スタッフだけがメンバーだった時期、少数の役者で運営していた時期を経て、昨年3月から、僕こと、劇作・演出・役者の日疋士郎一人で活動を続けています。昨年夏は「文芸思潮」現代詩賞最優秀賞受賞がきっかけで、雑誌「文芸思潮」との共同企画『核の信託』(企画・原作:五十嵐勉)の演出・プロデュースをさせていただきましたが、一人での外部プロデュースはなかなかに荷が重く、今後どのような形で公演活動を維持していくかは模索中です。


 

--ぷろじぇくと☆ぷらねっとさんの作品の特徴や雰囲気、作風を教えてください。

作品を観た方からは、台詞が詩的なこと、ビジュアルが絵画的なことをよく特徴として指摘されます。台詞に関しては僕自身が詩作でも活動していることと関係あるかもしれません。作品のジャンルとしてはファンタジーに分類されると思いますが、イメージの展開やメタファーが多く、似た雰囲気の劇団をあまり見ません。遺伝・進化・生命・宇宙など、理系的なモチーフがよく出てくるのも特徴のひとつかもしれません。

信頼するスタッフ陣と創りあげる世界観を、「非日常」とか、「ぷろ☆ぷらマジック」と名付けてくれたお客さんがいます…。僕自身は、まだ誰も見たことのない風景をつくりたい、といつも思っています。テーマ性とか、カッコ悪くて大っ嫌いだったんですが、数年前に身近なひとの死に遭いまして考えが変わりました。近年は、いじめとか、病気とか、ジェンダーとか、苦しみを抱えている人のたすけになる作品をつくりたいと思っています。特に小中学生と接することが多いんで、若い人の助けになるものを。ただ、これはどう舞台で実現するか、すごくむずかしいので試行錯誤です。

 

(撮影:松本和幸)

 

--次回公演『第9回公演「庭」』について、作品のあらすじを教えてください。

(チラシより抜粋)

近未来。荒れ果てた大地には植物がほとんど育たず、水や空気は汚れ、わずかに残って小さな集団をつくってひっそりと生きているのは、やたら元気な老人ばかり。…家族は、とりわけ子供たちはいったいどこへ行ってしまったのか???「コドモの大半はやられて、残りはどうしようもないノラになっちまった」と老人達は嘆くが…
いっぽう、旅を続ける「ノラではない」少女アリスは、「最後の司書」が守るいにしえの書物にのこる『庭』の記述に心をひかれる。「…庭、それは環境復元のためでもなく、食糧生産のためでもない、まったくあなたのためだけの小宇宙」???
アリスは狂暴だというノラのリーダーを制し、死にかけた大地の力を取り戻すカギを見いだすことができるのか?……世界が、いや、シアター・ミラクルの舞台が、廃墟から緑あふれる「庭」に変貌する??!!!

 

--次回公演『第9回公演「庭」』の見どころを教えてください。

見どころ…いっぱいありますが、まずは30代~70代の役者が演じる老人たちの、パワフルさと繊細さ。…もう、良い意味でヘンなひとたちばっかりで、稽古場が収拾つかないです!!あと、「ヌイグル族」「アサイ族」っていう名前のヘンな一族。それから、劇中に出てくる生歌を、ずっと一緒したかった、非常に歌唱力のある女優さんが歌います。そしてヒロイン、少女アリスの力強さ。
…登場人物がほぼ、子供たちと老人たちだけ、という偏った世界の物語です。SF的な枠組みを持ってはいますが、「生命」「老い」「死」「永遠」という普遍的なテーマの作品です。家族のアルツハイマー発病や、自分の闘病時代の経験が、ヒントになっているところもあります。老いとか病気とか、マイナスは隠してなかったことにするのは違うだろう、って考え続けていたら、スーパー老人たちと、いろいろいびつな子供たちの物語になりました。

(撮影:松本和幸)

 

 

--ぷろじぇくと☆ぷらねっとさんの今後の展望・野望があれば教えてください。

人の命は短いですが、例えば自分の肉体が消えた後もなお、会ったことのない誰かの心に生き続けるような、誰かをちょっとだけ勇気づけるような作品をつくりたいと思っています。第一目標は、死後も100年以上生き続ける作品をつくること。…そのためにいまは、幅広い年齢層や、ふだん演劇を見ないひとにも観ていただきたいです。

(撮影:松本和幸)

 

--ぷろじぇくと☆ぷらねっとさんに関心を持たれた方に、メッセージをお願いいたします!

…おかしく悲しく、ソザツで美しい芝居になりそうです。ぜひ、観にきてください、できれば、たいせつなひとと。
「食」もテーマのひとつなので、芝居を観終わったあと、「たいせつなひとと、あったかいご飯を食べよう!!」と、思ってくれたら、最高に嬉しいです。


<代表・劇作・演出・役者 日疋士郎>



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公演情報

第9回公演『庭』

 日時:2016年3月16日(水)~21日(祝・月)

     16日(水)19:00
     17日(木)19:00
     18日(金)14:00/19:00
     19日(土)14:00/19:00
     20日(日)14:00/19:00

     21日(月/祝)13:00/17:00

 会場:新宿シアター・ミラクル

 出演者:みむらえいこ(リガメント)
      古都絢(プロダクション薫風)
      松原未知
      齊藤寮(劇団リベラトリックス)
      井上貴代(Team Media Factory)
      坂井マサユキ
      たかくえみ
      久我まみ(劇団リベラトリックス)
      山内真((株)マック・ミック)
      月桃さちこ(WIZ)
      日疋士郎(ぷろじぇくと☆ぷらねっと)

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