東京芸術大学の改革

2015.7.24
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クラシック

東京藝術大学音楽学部 第1回オープンキャンパス 告知物より

東京芸術大学の改革

日本で唯一の芸術系の国立大学である東京芸術大学が大改革を始めた。きっかけは文部科学省による国立大学の機能強化プロジェクトとスーパーグローバル大学創成支援事業に採択されたことである。スーパーグローバル大学創成支援事業には2つのタイプがあり、タイプAは世界大学ランキングトップ100を目指すトップ大学(選ばれた大学は東京大学や京都大学など)。タイプBは日本のグローバル化を牽引する大学という定義のもと、文科省に認められた大学が数年間にわたり予算をもらえる制度だ。今回、東京芸術大学はタイプBの大学として認められた。

すでに芸大の改革は始まっている。芸大の教授陣が地方に出かけ、小学生を対象にレッスンをする「早期教育プロジェクト」は昨年から始まり、今年度は8カ所程度予定されているそうだ。また、来年度から高校2年生が終わった時点で芸大に入学できる「飛び入学」制度を始める。

この制度は、すでに国際コンクールでの入賞歴をもつなどといった優秀な生徒が対象となり、普通より1年早く入学することができる。さらに、3年間で芸大を卒業することも可能という特別なカリキュラムで勉強をする。こうすることでパリ国立高等音楽院など、入学時に年齢制限がある学校にも芸大を卒業してから行くことができるようになるのである。(現在の制度でパリ国立音楽院に行くには、芸大を中退して行くという人がほとんどである。)

さて、芸大に入学した学生にはどのような教育をしていくのか…。

パリ国立高等音楽院やロンドンの王立音楽院といった海外の一流の音楽大学から教授をお招きしたり、海外で勉強や研究をした経験をもった日本人の教員を積極的に採用し、世界で活躍してきた指導者のレッスンを受けることで、国際コンクール等で活躍できる学生の育成を目指していく。

また、海外で活躍するためには語学力にも必要になる。その分野の対策もしっかりとしていくようだ。芸大は海外からの留学生を10年後には今の4倍にしたいと考えている。それにともない、シラバスを来年度から英語化する。さらに3年後にはドイツ語、フランス語、イタリア語、中国語、韓国語版も作成する。そのほか、授業時間内は一切日本語を使わない授業の数を増やしたり、留学生を大学院生などの上級生が生活支援などをしていく「シニアチューター制度」を導入。この制度によって留学生は安心して日本で暮らせる。日本人学生にとっては英語等の実践的な語学学習の場になると考えている。このように、日本にいながら英語を使わなければならない環境を作り学生の語学力を高めていこうとしている。

こうした取り組みによって今まで以上に、すばらしい若い日本人の演奏家がたくさん出てくることに期待したい。

なお、東京芸大では初めてとなるオープンキャンパスを来週行う。各科の説明会のほか、公開レッスンや学生たちの演奏会などをイベントを多数開催。小学生から参加可能なので是非この機会に芸大に行ってみてはいかがでしょうか。

イベント情報
東京藝術大学音楽学部 第1回オープンキャンパス

 日時:7/27(月)、7/28(火)
 会場:東京藝術大学音楽学部(上野キャンパス)
 出演者:東京藝術大学教員、学生