ドミトリー・キタエンコ(指揮) 東京交響楽団 今こそ耳を傾けたいロシア音楽の正道

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クラシック
2016.3.12

 まわりに“豪放”や“熱狂”を指向する指揮者が多いなか、造型確かで丁寧な音楽を作り続ける…。かような指揮者は、歳を重ねて傾聴すべき名匠と化すことが多い。ドミトリー・キタエンコもその一人だ。1940年ロシア生まれの彼は、76〜90年モスクワ・フィルの首席指揮者として名声を得ながら、同国の指揮者には珍しく過剰な表現に走らず、流麗で目配りの利いた音楽を聴かせてきた。その後はフランクフルト放送響、ベルゲン・フィル、ベルン響の首席指揮者を歴任。2009年ケルン・ギュルツェニヒ管の名誉指揮者(過去ヴァントのみのポスト)、12年ベルリン・コンツェルトハウス管の首席客演指揮者に就任するなど、西欧の実力派オーケストラより厚い信頼を得ている。

 3月の東響定期には、そのキタエンコが登場する。06年に始まる共演は今回が4度目。前回13年には、ラフマニノフの交響曲第2番の壮大なロマンと多様な移ろいを見通しよく表現し、聴く者に無類の充足感をもたらした。やはり堅牢で誠実な東響との相性は抜群。今回もお国のロシアもので魅了する。演目は、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲、ショスタコーヴィチの交響曲第5番ほか、文句なしの名曲揃い。協奏曲では、ロン=ティボー、エリザベート王妃両国際コンクールで第2位を受賞後、内外で活躍を続ける成田達輝が、高度なテクニックと雄弁な語り口を披露。こちらも大いに期待したい。そしてショスタコの5番は、シリアスにも華麗にもなるこの曲を、真摯なロシア人指揮者がいかに表出するのか? が注目される。

 ここは、円熟のタクトが紡ぐ名作で、真の感銘を体感しよう。

文:柴田克彦
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年2月号から)


ドミトリー・キタエンコ(指揮) 東京交響楽団
第638回 定期演奏会 3/26(土)18:00 サントリーホール
第54回 川崎定期演奏会 3/27(日)14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール
問合せ:TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511
http://tokyosymphony.jp
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