なぜ10年以上続く?プリキュアの“勝ちパターン”を考察

気づけばシリーズ誕生から12年を迎え、もはや説明不要の定番アニメとなった「プリキュア」シリーズ。メインターゲットの女児だけでなく、一部の“大きなお友だち”からも支持されているらしい…と聞くが、なぜここまで支持されているのか?今回は、とどまることを知らない「プリキュア」人気の秘密を、本シリーズを見続けているアニメライターの岡本大介氏に聞き、その“勝ちパターン”を考察する。

■ 女児向けアニメよりも戦隊ヒーローテイスト

60年代の「魔法使いサリー」から連綿と続く“魔法少女もの”にジャンル分けしがちだが、そこが大きな間違いだった!「『プリキュア』は女児向けの戦隊ものなんです」と同シリーズのコンセプトについて語ってくれた岡本氏。その意味では90年代にヒットした「美少女戦士セーラームーン」の後継作とも言えるが、「違うのは戦い方です。女の子が傷だらけになってパンチやキックで敵を倒すというアクションが画期的だった」と、いままでになかったタイプの作品だったことが、「プリキュア」人気に大きく関係している。子ども向けだからといって手を抜かず、アクション作画も丁寧に作られているのが「プリキュア」の大きな特徴だ。

■ 保護者の支持獲得のため、色恋沙汰排除!?

少女が蹴ったり殴ったりなんて、本来なら子どもに見せられないような内容ではないかと思うのだが…。「バトルシーンはもちろん、少女がいろんな悩みにぶつかって諦めそうになるんですけど、自分や友だち、絆を信じて立ち上がって勇気をもって前に進む姿が共感を呼ぶんです」というように、「プリキュア」のベースには少女の成長を描いた普遍的なドラマがある。「(基本的に)恋愛要素を排除しているから安心して見せられるし、ドラマもしっかりしているから親御さんも一緒に見られるんです」とチャンネル権を持っている親たちの心を掴んだことも人気に大きく貢献している。

■ “新学期”の話題作りのため、毎年2月スタートに!

「プリキュア」シリーズは毎年2月に新番組をスタートさせるが、これにも大きな理由があった。「子どもたちが小学校入学だったり、新学年になるときにすでに放送が始まっていることで話題作りにも役立っているんです」とのこと。しかも、一年毎に新しいシリーズへと変わることで、同一の世界観・設定が何年も続くシリーズものと違って、先入観なく見られるのだという。また、前回の「Go!プリンセスプリキュア」が主要キャラが4人でチーム感を打ち出していたのに対し、現在放送中の「魔法つかいプリキュア!」は主要キャラが2人のバディもの。メンバー構成を変えるなど、マンネリにならないように考えられている。

■ プリキュア役は声優にとってのゴール!?

アニメ作品では人気の声優を起用することで話題を集めるケースもあるが、「プリキュア」に関しては別物。「キャスティングは知名度を重要視しない完全なオーディション制。だから、今回の『魔法つかいプリキュア!』でキュアミラクルを演じる高橋李依さんのようにキャリアの浅い方もいたりします」と岡本氏は語るが、対象がまだアニメへの知識のない女児が相手なので納得もいく。また、誰もが演じられる役ではないため、“プリキュアを演じることがキャリアのゴール”だと考えている声優たちもいるほど、ステイタスの高い仕事なのだそう。

■ あくまでターゲットは小学校低学年

「プリキュア」で逃せないのが大きなお友だちと言われる層からの支持。「たしかに、小学校高学年を意識した大人びたキャラクターデザインが、意に反して大人の男性から支持されたケースもあります。ですが、そうならないように翌年はシフトチェンジしたり、マーケティングもしっかりしてます」。本シリーズはあくまで未就学児~小学校低学年に向けての作品であるというコンセプトはぶれていないのだ。

2004年からテレビシリーズの放送、2005年から劇場版の公開を重ねてきた「プリキュア」。当時、8歳だった女児も成人式を迎えるなど、すでに母親となっていてもおかしくない。彼女らが娘と一緒に見るようになったとき、「プリキュア」は真の“国民的アニメ”になるのかもしれない。【トライワークス】
 

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