舞台化される人気ファンタジー漫画『クジラの子らは砂上に歌う』 スオウ役を演じる崎山つばさインタビュー
舞台『クジラの子らは砂上に歌う』 崎山つばさ
砂がすべてを覆い尽くす世界で、砂の海を漂う巨大な漂泊船「泥クジラ」。その上で生きる人々を描く壮大なファンタジー漫画『クジラの子らは砂上に歌う』が初めて舞台化され、4月12日にAiiA2.5Theater Tokyoで初日の幕を開ける。
【ストーリー】
砂が全てを覆い尽くす世界。砂の上に浮かぶ巨大な漂泊船“泥クジラ”は、農園も⼯房も貯⽔池もあり、⾃給⾃⾜を⾏える浮き島のような場所。住⼈たちは感情を発動源とする情念動(サイミア)を使える「印(シルシ)」と呼ばれる短命の能⼒者と、能⼒を持たない⻑寿のリーダー的存在「無印(むいん)」がおり、513⼈が共に生活していた。何故、彼らが砂の海をさまよっているのか。「外界から閉ざされた“泥クジラ”で短い⼀生を終える」その運命を受け入れる主⼈公チャクロたちは、ある日流れてくる「島」で少⼥に出会い、時間が動き出す…。抜け出すことのできないクジラの上は果たして楽園なのか、地獄なのか。
舞台『クジラの子らは砂上に歌う』 c梅田阿比(月刊ミステリーボニータ)
主⼈公のチャクロ役に、ミュージカル『テニスの王子様』やミュージカル『リボンの騎士』、主演映画『羊をかぞえる。』などで活躍している赤澤燈、チャクロの運命を動かすリコス役に前島亜美(SUPER☆GiRLS)、オウニ役に山口大地、スオウ役に崎山つばさ、リョダリ役に碕理⼈、オルカ役に佐伯大地、サミ役に宮﨑理奈(SUPER☆GiRLS)、ネリ役に大野未来、チャクロらを率いるリーダーである団⻑役に五⼗嵐麻朝、次世代ファンタジー作品に相応しい注目の若⼿俳優陣のキャストが決定、原作世界の具現化を担う。その作品でスオウ役を演じる崎山つばさに、作品に賭ける思いを聞いた。
舞台『クジラの子らは砂上に歌う』 崎山つばさ
人間の奥底にある部分でつながっている
──作品に接した印象はいかがでしたか?
繊細な、見ていて美しいと思える作品だなという印象が強かったです。今まで見たことがなかった世界観ですし、原作の絵柄、ビジュアルから「あぁ美しいなぁ」と思いましたので、まずはそこを表現していきたいです。
──とても作りこまれたファンタジー世界ですね。
設定ですとか、登場人物の置かれている状況は、今の自分たちとはかけ離れているように一見して見えるのですが、その実、人間の奥底にある部分にはつながっているものを感じるので、心に響くものがありました。遠いようでいて、決して遠くない世界だと思います。
──演じるスオウ役についてはどのように?
まず美しい人なので、美意識を高めないといけないなと。スオウに近づく為には、キャラクターを理解することももちろんですが、内面から出る美しさ、清らかな部分も表現して行きたいです。
──女性と見紛うほどの美貌の持ち主という役柄ですから、崎山さんには打ってつけだと思いますが。
いえいえ(笑)、僕はどちらかと言うと男っぽい顔立ちですし、中性的な雰囲気はあまりないので。でもスオウは寂しさや悲しさに敏感なのではないかと思うんです。周りのことを一歩引いて見られる人。そういった面を自分に重ねていくことも出てくるかなと。スオウは情念動(サイミア)の能力を持たないが故に、長寿でやがて首長になっていきますが、能力者の短命を憂いているし、積極的に前に出てリーダーシップを取るというよりも、静かに背中を見せて率いて行く人なのではないかと思うので、作品の中で1つの世界、泥クジラの上で運命共同体である周りとの関係性を築いていきたいです。今回ご一緒させて頂く皆さんとは、個人的に知っている方もいらっしゃいますが、これまで共演経験があるのは佐伯大地君だけなんです。でもほとんど皆同世代なので、稽古場から、一緒に作り上げていきたいですね。原作のファンの方もとても楽しみにしてくださっていると思うし、皆それぞれの役作りをしてきてくれると思うので、自分もそれに負けないように頑張りたいです。
舞台『クジラの子らは砂上に歌う』 崎山つばさ
自分とキャラクターの融合を目指して
──原作の美しいビジュアルを具現化するにあたって、ポスター撮影にはどう臨みましたか?
衣装がまず作品の世界観を表現してくれていましたし、泥のメイクをした時に、自分が小さかった時に泥遊びをして顔を汚していた頃を思い出して、童心に返る思いもありました。その中で、衣装やメイクに触発されて胸が昂ぶる想いもあったので、スオウになれるようにもっと自分を高めていかなければいけないなと改めて感じました。
──今こうした「2.5次元」と呼ばれる作品が一大ムーブメントになっていますが、2.5次元作品ならではの面白さ、また難しさなどは?
観ている方に登場しただけで、原作のキャラクターが目の前に現れた!という感覚を持ってもらえることをまず大事にしたいですし、なおかつ崎山つばさにしか出せないキャラクターにすることも大切にしたいです。ですからビジュアルだけでなく、スオウだったらどうするか?どう接するか?を常に考えて、原作に描かれていない部分も想像して内面を作りつつ、自分の中に落とし込んでいくようにしています。自分とキャラクターを融合させて、観てくださるお客様が「また明日も頑張ろう」と思えるような舞台を作っていきたいですね。
舞台『クジラの子らは砂上に歌う』 崎山つばさ
さきやまつばさ○千葉県出身。土星人☆ドットとして舞台『CHaCK-UP』シリーズに出演。舞台『孤島の鬼』『ノラガミ』、テレビ『アルジャーノンに花束を』などに出演し、活躍の幅を広げている。ミュージカル『Dance with Devils』3/3~13◎AiiA2.5Theater Tokyoに出演中、ミュージカル『刀剣乱舞~阿津賀志山異聞』(5/27~6/26東京・大阪・京都公演)の出演も控えている。
【取材・文/橘涼香 撮影/大倉英揮】
〈公演情報〉
舞台『クジラの子らは砂上に歌う』
〈お問い合わせ〉サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(全日10:00~18:00)