LiSA ライヴで完全燃焼できる最新作『LUCKY Hi FiVE!』に詰まったたくさんの「好き」
LiSA 撮影=菊池貴裕
――『LUCKY Hi FiVE!』は、デビューアルバム『Letters to U』以来のミニアルバムになります。デビュー5周年を迎えた今、なぜミニアルバムという形態で新作をリリースしようと思ったんですか?
前のオリジナルアルバム『Launcher』(2015年)をリリースしてから出したシングル曲を3~4曲入れたらフルアルバムにすることもできたんでしょうけど、まっさらな状態から楽曲を作ってみたかったんです。デビューミニアルバム『Letters to U』は、自分が詞を書いた新曲が7曲入っていて、私にとってその時の自分にできるものをすべて詰め込んだ作品だったんですね。それ以降は、たとえばアニメのタイアップがついたシングル曲を作ったり、そのシングル曲を入れる次のアルバムには他にどんな楽曲を入れるべきかを考えながら、まずシングルありきで楽曲を作るような作業が続いていたので、今の自分が1から作りたいものを作るとしたらどんな曲、どんな作品ができるんだろう、と。
――デビューから5年経ったからこそ、そういう括りをすべて取っ払うことができた。
ええ。まっさらな状態で自分はどんな詞を書くんだろう、どんな歌を歌うんだろうってすごく興味が沸きました。デビューした時からずっと私の中のテーマは“ライヴでみんなと一緒に疲れきるまで遊ぶ”なので、みんなも私もライヴでエネルギーを全部出し切れちゃうようなアルバムにしようと思いました。
――制作がスタートしたのはいつ頃ですか?
曲集めは去年の秋冬からやっていたけど、私が詞を書き始めたのは年明けからです。
――一気に7曲分の詞を書くのは大変だったでしょう?
大変でした!(笑) 絶対に自分が書かなくちゃ!っていう決め事は作ってないけど、この5年間でいろんな経験をしたからこそ試してみたかったんです。今だから伝えたいことがあったし、自分にしか伝えられないことを書きたくて。
――たとえば、この5年の間には3.11がありましたし、音楽の聴かれ方も変わってきました。世の中の流れや状況は「LiSAの歌詞」に影響を与えましたか?
世の中で起きている出来事が何か直接的に私の音楽に関係しているかどうかということは、普段はあまり意識してないです。ただ、生きている中で、たとえば災害を経験された方や大きな出来事に遭遇された方たちから、LiSAの音楽が自分にとって応援歌になりましたとか、どんな時でも応援していますとか、そんなたくさんの反応があった。私はみなさんの気持ちを受け取ることでそこから音楽を作っているので、全く関係ないわけではないと思います。歌や音楽は自分がやりたいことだけど、みんなに楽しんでもらえるもの、みんなのために自分ができることは何だろうと思いながらずっとやってきているので、この『LUCKY Hi FiVE!』もLiSAという人を必要としてくれる人がいなかったらできなかったし、私は5年間続けられなかったと思います。
――歌詞を書きながら、LiSAだから歌えること、選べる言葉があるんだとあらためて感じたのでは?
私はLiSAの明るい曲を“PiNK”、暗い曲を“BLACK”と呼んでいるんですけど、どちらも私には必要で。両方の感情があるからこそ今日が楽しいし、大変なことがあるから嬉しいと思える。ただ、デビューの頃は“希望があったらいいな”というどこか曖昧な思いを明日や未来に抱いていたけれど、今は明日や未来をもっと信じてみたいと強く思える希望が増えました。
LiSA 撮影=菊池貴裕
――去年は年初めの武道館2DAYSを皮切りに、年間を通してより積極的にライヴを行いました。『LUCKY Hi FiVE!』を聴くと、そのライヴの影響が大いに反映されているんだろうなって思いました。
間違いなくライヴの影響はあると思います。私はライヴがとても好きで、何よりもそこでみんなと遊んでいる時間が大好きだし、そこに来てくれたみんなが楽しんでくれていることがすごく嬉しくて。ライヴが終わって、家に帰って一人になった時も、今日のライヴの景色が浮かんじゃうくらい楽しい曲になってくれたらと思いながらレコーディングしました。
――“ハイファイブ”ってハイタッチのことなんですってね。
そうなんです。まず自分の中で“LUCKY Hi FiVE”というタイトルが先に決まっていて。この曲を聴けてラッキー! こんなアルバムを見つけてラッキー!ってみんなが思うような作品にしたかった。この5年間でハイタッチできる、一緒に遊べる仲間が増えたからこそ、どんな曲だったらみんながそんな気持ちになれるか、喜んでいる顔を思い浮かべることができるのかを考えながら作ったら、こんなに激しいアルバムになっちゃいました(笑)。
――確かに「ラブリーデイ」(1曲目)なんて、とてもかわいらしいタイトルなのにサウンドはハードなロック! そのギャップが凄いです(笑)。
ラブリーデイという言葉だけを聞いたり見たりすると、ハートやピンク色を思い浮かべる人が多いと思うけど、そのイメージを覆して全部LiSA色に染めたかったし、無敵感を目指しました(笑)。
――無敵感。いいですねぇ~。
私のファンには中高生の方もたくさんいらっしゃるので、これからいっぱいいいことがあるよ、君たちの未来は果てしないんだからね!ってことをこのアルバムで伝えたくて。私が高校生の時を振り返ると、もっと楽しめる方法がたくさんあったなって思ったし、その時の私が楽しめたり乗り越えることができたのは、大好きなアヴリル・ラヴィーンやグリーンデイがいたからだし、好きな曲がいっぱいあったからで、私も彼らのようになれるかもしれないって希望を持てた。みんなの未来はもっともっと果てしない。何も制限がないんです。やりたいことが出来なかったからもう自分の人生は終わりだなんて頑なに思わなくていい。もちろん不安に思う日もあるし、すべてを信じられる日々ではないけれど、私とみんなの未来は明るいんだよ!って言いたいです。
――今作でライヴ感のあるサウンドを作ってくれたのは?
大体いつもレコーディングするミュージシャンが決まっているので、その方たちに委ねる信頼感の中で作っています。ソロをめっちゃエロく弾くのが得意な人とか、その人の個性や色をイメージしてお願いすると、“やった~来た~! これこれ!この音が欲しかったの!”って、それぞれの濃い色が混ざり合って生まれたものに、私自身もワクワクしました。どの楽曲も自分色にできたと思います。みんなにLiSAとして楽しんでもらえるいろんなロックが集まりました。
――「Psychedelic Drive」は、まさにドライブ感が命!の曲ですね。
音楽って楽しいでしょ!って感じを伝えたかったんです。聴いていて耳が気持ちいい感じを目指したので、言葉遊びしてみました。あとで歌詞を見てみたら、こんなことを言ってたんだ~っていうような歌詞だと思います。「Psychedelic Drive」は感覚ピエロの横山直弘さんが曲を書いて下さったんですけど、横山さんとLiSAがやると新しいことができそうだっていう予感があったし、そこに堀江晶太さん(編曲)が入ったら、もっとスピード感のある切れ味の良いヤバイものができると信じてました。まるで実験しながら新しい飲み物を開発しているような感じでしたね。
――「She」は完全にメタルですよね?
LiSA流のメタルですね(笑)。ギターを弾く人は絶対にコピーして弾きたくなっちゃうと思うけど、いざ弾こうとするとどれだけ大変かわかるんじゃないかな(笑)。でもきっと楽しいと思います。
LiSA 撮影=菊池貴裕
――「halo-halo」の始まりには、LiSAさんは“愛されたいかー!”と叫んでます。
「She」でカッコよくキメたあとに、愛されたいかー!って来ると ズコッとなっちゃうでしょ?(笑)。キメたっ!と思った次の瞬間、エヘッってなるのがLiSAっぽいなって自分でも思います(笑)。
――歌詞の<おかえりのキス~>の部分が、すごくかわいいですし。
あはははは。そこだけピックアップすると、ふ~ん、よく言うよ~、言っちゃったよ~って感じになっちゃうんですけど、ね(笑)。この歌詞には物語の主人公がいます。私は無意識でやっていたんですけど、紐解いていくと、自分の本音を書く時、他の何者にもならずLiSAっていう人自身で歌詞を書こうとしているときは“僕”と書いていることが多いですね。「halo-halo」のように誰かになっているときは“あたし”“私”が多いです。私、好きなものがたくさんあるんですけど、松浦亜弥さんが大好きなんですね。元気に彼女が歌っていると私も元気になれたし、彼女の歌を何回も何回も聴いて楽しい気持ちになった。彼女自身がどんな人柄なのかわからなくても、彼女がそういう人になって楽しく歌っている姿に私は影響を受けているんですよ。
――好きなものがたくさんあるから、LiSAさんの楽曲や歌詞からは、おっ、こういう面があるんだ、こういう曲だとこんな歌い方をするんだっていう発見がある。
だって女の子はいっぱい顔がありますもんね(笑)。
――「Get Free」の歌詞を見て思ったんですけど、LiSAさんって上を見ません? 視線がいつも上を見てますよね。
確かにそうですね。小さい頃、上を向いて「上を向いて歩こう」を歌って歩いていたらドブに落ちたことがあります(笑)。
――(笑)。悲しくて泣きそうな時も悔しい時も、頭にきたときも LiSAさんは下じゃなく上を見ているんじゃないかなって。
確かに上を向いている歌詞が多いと思います。でも、自分では無意識でした。歌詞に出ちゃうんですねぇ。言われて初めて気づきました。そんなところに気づいていただけるなんて嬉しいです!
――ラストに収録した「終わらない冒険」はLiSAさんの決意が刻まれています。
希望は5年前に比べて増えているけれど、自分が不安に思うことや信じられない部分がすべて無くなっているわけではなくて。でも、やっぱり信じたいんです。もっと明日や未来を信じてみたい。実はこの曲の最後の“続け GLORY”の部分は最初入ってなかったんです。でも、私は願い続けていたいし、心の中で唱えている感じを届けたくて“続け GLORY”を入れました。今日はダメでも明日があるし、ダメな自分も許してあげられるようになったから書けることなんだなって思います。
――LiSAさんの声はとてもパワフル。いったいこの細い身体のどこにパワーが隠れているんでしょう。エネルギーの源は何ですか?
エネルギーの源は、みんなです。みんながいるからです。そのみんなの中には過去の自分も含まれていて。みんなのためにできることをやりたいし、みんなと遊ぶのがとても楽しみだから動き続けていられる。あとはお肉です! ひとり焼肉にも行っちゃうくらいお肉が大好きなんです。ステーキも好きだし、焼肉屋さんに行くとハラミだけ延々と食べてますね。
――どれくらいの量を食べちゃうんですか?
白ごはんがなくなるまで食べてます(笑)。ライヴが終わったあとは体重が3キロくらい落ちちゃうので、特にツアー中お肉ばっかり食べてますね。
――MVにも目を向けると、「Hi FiVE!」では倉庫のような場所と青空の下で撮影されています。
このMVのテーマは“みんなが好きなことをやって思いっきり遊んでいる”だったので、BMXやスケボーの方にいろんな技を自由勝手にやってもらったり、自転車のハンドルやダンサーさんの胸元にカメラ(Action Cam)を付けて、普段はなかなか見られないようないろんな視点からも撮りました。当初は屋外で撮影する予定はなかったんですけど、奇跡的にいいお天気になって綺麗な青空が広がっていたので、急遽ビルの屋上に行って撮ってみようかってなって。外で撮影する準備をしてなかったから、(屋上シーンは)カメラを付けたラジコンが私の周りをグルグル廻ってるんですよ。
――ふわふわのミニドレスを着ているLiSAさんが暴れまくってます。
5周年なのでドレスは一応着てみたけど、いつもと変わんないよっていう(笑)。あのMVも今まで積み重ねてきたからできたことだと思います。私、ライヴでかわいいふわふわしたスカートを履いても、いつも3曲目くらいで髪がぐちゃぐちゃになっちゃうんですよねぇ(笑)。
――そんなLiSAというアーティストがその存在を知られるようになった最初のきっかけはアニメでしたが、アニメファンのみならず多くの人たちにLiSAの存在、LiSAの歌や音楽が届くようになりました。
もともと私自身はアニメに関わっていたわけではなくて、アヴリルみたいになりたい! バンドをやりたい!と思ってバンドで歌い始めたけれど、そこではチャンスをつかめなかった。でも、アニメの作品で私を必要としてくれて、私がそこでできることは何だろう、その人たちのために何ができるだろう、と。そこで私は自分がやりたいことをやらせてもらってきたので、LiSAはすごく幸せだなって思いますね。私を必要としてくれたその場所には素晴らしい人たちがたくさんいて、ココってとても素敵なのに、みんな知らないなんてもったいないんじゃないの!?って思ったから、私ができることで伝えられること、逆に教えてもらったことを、これからもLiSAとして伝えたい。橋渡しと言うと大袈裟ですけど、そういう役割、みんなが好きなものが広がる入り口になれたらなって思います。
――4月からはホール&Zeppツアーがスタートします。
5周年というスペシャルな意味を込めてステージを作っていくけれど、LiSAのこの5年間を知らない人も、みんなと一緒に音楽やその時間を楽しめるライブにしたくて。実は「Hi FiVE!」のMVにはデビューミニアルバムのレコードが置いてあったり、そのミニアルバムの最初の曲の「Belive in myself」のイントロが鳴っているので、5年前から知っている方はニヤリとしちゃうようなことが入り込んでいるんです。でも、5年前の私を知らない人も、なんだかみんな楽しそう!ってスッと入っていけるMVだと思っていて。今回のライヴも誰もがスッと入ることができるんじゃないかな。
――今回のミニアルバム収録曲が一気にメニューに並ぶとなると、かなり体力勝負のライヴになりそうですね。
みんなも酸欠になるかもしれない(笑)。ライヴ参戦前にがっつり体力作りをして遊びにきてくださいね! たくさんみんなと遊びたいです!
インタビュー・文=松浦靖恵
LiSA 撮影=菊池貴裕
LiSA 『LUCKY Hi FiVE!』
LiSA 『LUCKY Hi FiVE!』
M-1:「ラブリーデイ」(作詞:LiSA、古屋 真 作曲:野間康介(agehasprings) 編曲:堀江晶太)
M-2:「Hi FiVE!」(作詞:LiSA、田淵智也 作曲:田淵智也 編曲:akkin)
M-3:「Psychedelic Drive」(作詞:LiSA 作曲:横山直弘(from 感覚ピエロ) 編曲:堀江晶太)
M-4:「She」(作詞:LiSA 作曲:PABLO a.k.a. WTF!? 編曲:PABLO a.k.a. WTF!?)
M-5:「halo-halo」(作詞:LiSA 作曲:小南泰葉 編曲:江口 亮)※NHK ワールド TV「J-MELO」2016 年 4 月~エンディングテーマ
M-6:「Get free」(作詞:LiSA、古屋 真 作曲:Ryota Kawamura、Rebecca Hollcraft 編曲:akkin、RIO)
M-7:「終わらない冒険」(作詞:LiSA 作曲:高橋浩一郎 編曲:akkin)
【初回生産限定盤(CD+BD+DVD)】
※BDとDVDの収録内容は同じです。
・リードトラック「Hi FiVE!」ミュージッククリップ(日本を代表する映像クリエイター・関 和亮監督による作品)
+「Believe in myself, Believe in the dream」(2015 年のアジアツアーにて撮りおろした影像作品)収録 Blu-ray&DVD 付
・撮りおろし 48P ブックレット
・三方背スリーブケース仕様
・5th ANNiVERSARY『Hi! FiVE』記念ステッカー封入
・「LiSA DiSCOGRAPHY HiSTORY」ブックレット付
・5th ANNiVERSARY『Hi! FiVE』記念ステッカー封入
※初回生産分のみ
アナログ盤・LiSA 1st ミニアルバム『Letters to U』
LiSA 『Letters to U』
商品形態:完全数量生産限定盤(LP)※30cm アナログレコード 5,000 セット限定発売!
品番 / 価格:SVWJ-7760 / 2,800 円 +税
特典:LiSA セルフライナーノーツ /
復刻 B3 サイズ販促ポスター同梱 / シリアルナンバー付番
『LiVE is Smile Always~Hi! FiVE~』
4/21(木)NHK ホール(東京)
5/1(日)神奈川県民ホール(神奈川)
5/7(土)大阪オリックス劇場(大阪)
5/8(日)名古屋センチュリーホール(愛知)
6/4(土)福岡市民会館(福岡)
6/10(金)Zepp Tokyo(東京)
6/11(土)Zepp Tokyo(東京)
6/19(日)金沢市文化ホール(石川)
6/25(土)仙台市民会館(宮城)
7/9(土)広島上野学園ホール(広島)
7/10(日)三木町文化交流プラザ(香川)
7/16(土)新潟テルサ(新潟)
7/23(土)Zepp Nagoya(愛知)
7/24(日)Zepp Namba(大阪)
7/30(土)Zepp Sapporo(北海道)
http://www.lxixsxa.com/live/