SPICE音楽担当の超私的ディスクレビュー 1:MONOEYES『A Mirage In The Sun』
今までにないくらい、楽しそうな細美。
本日発売となったMONOEYESの1stアルバム『A Mirage In The Sun』を聴いた。
これは、やってくれた!
先行して発売となっていたシングル「My Instant Song」を聴いた瞬間にある程度予想は付いていたが、それをはるかに上回るレベルでストレートにロックしていることは1曲目「Cold Reaction」からビンビン伝わって来る。とはいえ決して単調になったり、ワンパターンに陥ることは全く無く、それでいて随所にELLEGARDENやHIATUSからの細美ファンには嬉しい「らしさ」が散りばめられており、あらためて細美武士(Vo、G)の引き出しの多さには舌を巻く。
もともとソロ活動をする予定だった細美の元に集まったメンバーで結成されたMONOEYES。細美が必要としていたであろう「HIATUSとは異なるアウトプットの方法としてのバンド」というだけの存在ではないことは、本作を聴けば一発で分かるだろう。
サウンドの面でもHIATUSでの実験的要素や、ある種の難解さ・敷居の高さは皆無で、かといってELLEGARDEN時代の楽曲を現メンバーで焼き直したような懐古的作品なわけでも全くない。
これまで両バンドで培った細美の技術や方法論を、あるいは迷いや葛藤を越えて得た経験を、極めて純粋に「ロックしよう」という意思のもと凝縮し、それに対しそれぞれのメンバーもまた高い次元で己のエッセンスを注ぎ込んだ故に生まれてきた作品。そんな風にすら感じられる。
結果としてアルバム『A Mirage In The Sun』は何かが吹っ切れたような、美しいほどシンプルなロックサウンドになり、今まで聴いたことがないくらい楽しそうな細美の歌声が聴こえてきて……
「Just A Little More Time」や「My Instant Song」なんて、とてもキラキラしているようで、なんだか嬉しくなる。
最近のロックを聴かなくなっている人にこそ聴いてほしい。
01. Cold Reaction
02. Like We've Never Lost
03. Just A Little More Time
04. My Instant Song
05. Run Run
06. グラニート
07. End Of The Story
08. Do I Have To Bleed Again
09. Get Me Down
10. 明日公園で
11. Wish It Was Snowing Out
12. Remember Me