松田理奈、中野公揮とデュオでサンデー・ブランチ・クラシック3回目の登場!
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中野公揮(ピアノ)、松田理奈(ヴァイオリン) (撮影=原地達浩)
ヴァイオリニスト・松田理奈&作曲家、ピアニスト・中野公揮の初共演!
第22回“サンデー・ブランチ・クラシック”4.17ライヴレポート
あいにくの荒天となったこの日曜日だったが、カフェには春の嵐を少し遠くに置いてきたような穏やかな時間が流れる。この日の“サンデー・ブランチ・クラシック”には、ヴァイオリニストの松田理奈と、作曲家・ピアニストとして活躍する中野公揮の二人が登場してくれた。松田の“サンデー・ブランチ・クラシック”の出演は、これで3回目となり最多タイ。
登場するなり、ふと、何かがいつもと違うことに気づく。よーく見てみると・・・、松田が、靴を履いている?!ヴァイオリンを演奏する際、“振動数が増す”という理由から裸足で演奏することで知られる松田。松田をよく知る方は、見慣れない光景に驚いた方も多かったのではないだろうか。
中野公揮(ピアノ)、松田理奈(ヴァイオリン) (撮影=原地達浩)
というのも、本日は“デュオ”演奏。のちのインタビューで、松田は「今日は、ピアノと同じくらいの目線、同じくらいの高さから音が聞こえてくるという環境で、音を作り、お届けする(ライヴの)作り方をしたかった」とその理由を明かしてくれた。松田にとっても、貴重な機会となったようだ。
「皆さん、こんにちは。本日は、ピアニストの中野公揮さんと一緒にお届けしていきたいと思います」と、この日1曲目に演奏されたのは、シュヴァ―プ作曲『スコットランドの子守唄』。優しい旋律を奏でるヴァイオリンとピアノの音色が絡み合って、会場を包んでいく。
中野公揮(ピアノ) (撮影=原地達浩)
松田は、この曲との出会いについて「この曲の作曲家は、いくら調べてもあまり情報が出てこない方なんですけど(笑)。前に、ラジオで流れていたのを聞いて“なんの曲だろう?”と探し回って、やっと出会えた曲です」と語り、弾いていてとっても楽しい!と顔をほころばせた。
中野公揮(ピアノ)、松田理奈(ヴァイオリン) (撮影=原地達浩)
続いては、イザイ作曲の『子供の夢(Rêve d'Enfant)』を演奏。ここで、松田から中野に「曲名を発音してみてほしい」とお願いが!現在、パリ在住の中野。リハーサルで中野が原題を口にしているのを聞いて、松田は「やっぱり本場仕込は違うな」と思ったそうで、「もう一回聞きたい!」という松田のお願いに、中野は照れ笑い。「この中にネイティブの方がいらしたらすみません」と言いつつ、さすがの発音に会場からはおお~と感嘆の声が上がった。
中野公揮(ピアノ)、松田理奈(ヴァイオリン) (撮影=原地達浩)
十年来の友人である松田と中野。しかし、一緒に人前で演奏するのはこれが初めてだという。「私、今まであまりコンテンポラリーには果敢に挑戦してこなかったんです」と口にした松田。「でも、ここ数年中野くんの曲をチェックして聞いていて・・・」と、中野の曲を弾いてみたいと自ら持ちかけたそう。さらに、中野がタイミング良くピアノトリオの曲を書き終えていたこともあり、それをアレンジすることで初共演が叶った。
「ぜひ、中野くんの作品を演奏したい」という松田の願いが実現し、ここからは完成したての作品の世界初披露を含む中野作品のコーナーとなった。
松田理奈(ヴァイオリン) (撮影=原地達浩)
中野公揮(ピアノ) (撮影=原地達浩)
一曲一曲、その曲の生まれた背景を丁寧に説明して聴かせてくれる中野。最初に披露してくれた曲は、ドイツの首都ベルリンの中心部にある広大な公園の名前を冠した『ティアガルテン』。中野がその公園を訪れた際に浮かんだ「すごくいいメロディ」を曲にしたためたものだという。「なかなか展開が決められなくて、完成までに約1年かかりました」と語り、思い入れの深さを感じさせた。
その曲は、壊れそうなぐらい繊細で、抒情的。ベルリンの冷たい空気の震えをそのまま閉じ込めたような純度の高さと、耳の奥に長く残る印象的な美しいメロディだった。
続いて演奏されたのは『ダンクグリーンズ』。“ダンク(Dank)”とは、湿った感じを表現する意味を持つ。「この曲は、湿地帯の中をゆっくりと、おそるおそる進んでいくようなイメージで書いた曲です」と紹介。(ショスタコーヴィチの影響を受けているそう)。このほか、出来立てだというピアノトリオの組曲から、『エアー』、『サラバンド』、『ガボット』の3曲を披露。
すべての演奏を終え、松田が「演奏していて、ステージでこんなに手に汗をかいたことはないかもしれない・・・(笑)」と呟くほど白熱したこの日のライヴ。緊張と喜び入り混じり、二人にとってよい形の初共演となったようだ。
インタビューの模様 (撮影=原地達浩)
公演後、二人にお話を伺うと、松田は「サンデー・ブランチ・クラシックは、空間やお客様が助けてくださるということもあって、新しい挑戦をしてみたかったんです」と改めてこの日の取り組みへの想いを語ってくれた。
普段はプロジェクトを組み、作り込んでいくタイプだという中野は「こういったコラボレーションは、これまであまり取り組んでこなかったんですが、演奏者としても友人としても尊敬するりなっち(中野は松田をこう呼んでいるそう!)と、ぜひ一緒にやりたいという気持ちがありまして」と、声をかけられた時の心境を語る。
演奏中にも「ヴァイオリンがこんなにも歌うものだと改めて驚いた」と口にしていた中野だが、「ヴァイオリンは、やはり凄まじい音色と表現力、そして機敏さを持っている楽器ですよね。それを“活かす”ことを、今回初めて試みたんです。ピアノトリオを経験していなかったら難しかったと思うんですけど、今回すごくおもしろいものができた」と、新しい気づきがあったようだ。
松田も「小品は、弾いていて、チェロの曲なんだなっていうのがよくわかって。だから、『ヴァイオリンで弾くんだったら、ここのテンポは少しアップ目の方がかっこいいんじゃない?』とか相談しながら、オリジナルの曲とはまた違ったイメージで、今日はパフォーマンスできたんじゃないかなと思っています」と、笑顔を浮かべていた。
中野公揮(ピアノ)、松田理奈(ヴァイオリン) (撮影=原地達浩)
中野は、6月2日(木)に自身初となるCD『Lift』の発売を控える。同CDは、9月のフランス・パリでのリリースに先駆けての発表される(リリース元は、チリー・ゴンザレス『ソロ・ピアノ』などで知られるフランスの優良レーベル<NØ FØRMAT!>)。このアルバムでは、世界的チェロ奏者であるヴァンサン・セガールとのデュオ演奏が収められている。
「アルバムを1枚作るって作曲家にとってすごく大事なことで、僕にとって理想的な形で作ることができました。制作過程において多くのパリ的なエッセンスを含んだものになったと思いますので、それを感じてもらえたら」とその想いを明かす中野。この日、演奏された曲からも感じられた、中野の感性が迸る作品を、ぜひCDでもお楽しみいただきたい。
また、松田はデビュー10周年を記念した無伴奏ヴァイオリン・リサイタルツアーを行う。「結構緊張してます・・・(笑)。毎日取り組んでいて、曲と作曲家の偉大さに圧倒されるんですね。だからこそ、弾いているだけですごく刺激を受けるというか。それをもっと極めて、コンサートとして楽しんで頂けるようにしたいと思います」と意気込みつつ、「またこういったモダンコンテンポラリーの音楽も発信していきたいなと、今日改めて、演奏して感じました」と語ってくれた。またぜひ、サンデー・ブランチ・クラシックで松田の演奏が聴けることを楽しみにしたい。
中野公揮(ピアノ)、松田理奈(ヴァイオリン) (撮影=原地達浩)
いつものクラシック・コンサートとはちょっと雰囲気の違った、モダンクラシカルなライヴとなったこの日のサンデー・ブランチ・クラシック。次回は、どんな新しい出会いが生まれるだろうか。
神奈川県横浜市出身。 3歳よりスズキ・メソードにてヴァイオリンを始める。1989年、桐朋子供のための音楽教室入室。
東京芸術大学音楽学部附属音楽高等学校卒業後、桐朋学園大学ソリスト・ディプロマコースにて研鑽を積み、2006年ドイツ・ニュルンベルク音楽大学に編入。2007年、同大学を首席にて卒業。2010年、同大学院を首席にて卒業。
日本とドイツでコンサート活動する傍ら、ニュルンベルク音楽大学にて教授アシスタントを勤めた。
これまでに、小林庸男、田中みちる、田中裕、村上直子、小栗まち絵、堀正文、元ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団コンサートマスターのダニエル・ゲーデの各氏に師事する。
1988年福岡市生まれ。3歳よりピアノを始める。 桐朋女子高等学校音楽科(共学)ピアノ専攻を卒業後、東京芸術大学作曲科を経て渡仏。現在パリを拠点に活動している。これまでに舞台音楽、ファッションショーの作曲を手がけ、2013年に自身のバンドGas Lawを結成。2014年、東京FMジングル制作。パリ日本文化会館にてピアノソロリサイタル開催。フランス/バルビゾン市主催"Festival international de Barbizon"のオープニング曲作曲。ブタペスト/ステフファニアパロタ城、パリ/ルーブル美術館にてソロ演奏。2015年にはオランダ/フローニンゲンにて3度に渡り自作によるリサイタルが開催されるなどヨーロッパ各地で広く活動を展開している。2016年9月にはChilly Gonzales「Solo Piano」やBallake Sissoko&Vincent Sagal「Chamber Music」などのリリースにより、フランス国内で高い評価を確立しているパリのレーベルNo FormatからVincent Segalとの共演によるファーストアルバムをヨーロッパ及び日本で発表する。(日本盤/P-vine Records 6月先行発売予定)
日時:5月28日(土)
会場:ティアラこうとう 大ホール (東京都)
指揮:高関 健
ヴァイオリン:松田理奈
管弦楽:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
モーツァルト:交響曲第1番 変ホ長調 KV16
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第5番 イ長調 KV219「トルコ風」
モーツァルト:交響曲第41番 ハ長調 KV551「ジュピター」
日時:7月24日(日)
会場:ザ・シンフォニーホール (大阪府)
<出演>
指揮:小林研一郎
ヴァイオリン:松田理奈
管弦楽:関西フィルハーモニー管弦楽団
<プログラム>
【オープニング!オーストリア第2の国歌!】
J.シュトラウスII:ワルツ 「美しく青きドナウ」
チャイコフスキー:弦楽セレナード より“第2楽章”「ワルツ」
レハール:ワルツ 「金と銀」
スメタナ:交響詩 「モルダウ」
マスネ:タイスの瞑想曲
サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン
ラヴェル:ボレロ
日時:8月13日(土)~8月14日(日)
会場:兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール (兵庫県)
企画・指揮・おはなし:茂木大輔(『のだめカンタービレ』ドラマ・アニメのクラシック監修)
管弦楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団
ソリスト:13日 福川伸陽(Hr.) 、14日 岡田奏(Pf.)、松田理奈(Vn.)
「ベートーヴェン交響曲ワンダーランド」
ベートーヴェン:交響曲第1番~第9番より 抜粋
ベートーヴェン:交響曲第7番
「二ノ宮知子セレクション」
ラヴェル:「亡き王女のためのパヴァーヌ」
ラヴェル:子どものための組曲「マ・メール・ロワ」
ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調 ソリスト:岡田 奏(Pf.)
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 ソリスト:松田理奈(Vn.)
R.シュトラウス:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」
発売日:2016年6月2日(木) ※日本先行発売
価格:2,500円(税抜)
ジャンル:JAZZ/NEW AGE
林そよか(ピアノ)
第1部 13:00~13:30 / 第2部 15:00~15:30
会場:LIVING ROOM CAFE(リビングルームカフェ)by eplus
MUSIC CHARGE:500円
6月5日(日)
曽根麻矢子(チェンバロ)
第1部 13:00~13:30 / 第2部 15:00~15:30
会場:LIVING ROOM CAFE(リビングルームカフェ)by eplus
MUSIC CHARGE:500円
公式サイト:http://eplus.jp/sys/web/s/sbc/index.html