高関 健(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 異なる世界観の2大シンフォニストが呼応する
         2016.5.6
    
                        ニュース
        
                
                        
                        クラシック
        
            - 
            ポスト 
- 
            シェア 
- 送る
 現在、東京シティ・フィル常任指揮者を務める高関健が、5月定期にロマン派の最後を飾る2人のシンフォニスト、マーラー(大地の歌)、シベリウス(交響曲第7番)の後期交響作品を組み合わせたプログラムを聴かせてくれる。これらの作品の独自な姿は、彼らが多くの作曲経験を重ねた末にたどりついた究極の形である。
  まず、シベリウス。1865年に生まれ、フィンランドの独立運動の盛り上がりと軌を一にして自国民話などに基づく交響詩を数多く作り、国民的作曲家となった。しかし60歳のときに発表した「タピオラ」を最後に沈黙する。単一楽章からなる交響曲第7番は、この擱筆の前年に発表されている。交響曲としての音楽的実質をそのままに、各楽章の要素が混然一体となり、20分ほどの持続の中で、爽やかだが密度の濃い想念の流れが紡がれていく。
  シベリウスより5歳年上のマーラーはボヘミアで生まれ、ウィーンの爛熟した世紀末文化を生きた。交響曲とも歌曲ともいえる「大地の歌」は中国の翻訳詩集に基づき、当時流行した東洋趣味やユーゲントシュティル美術のような装飾性を聴きとることができる。歌詞を生かすために繊細なオーケストレーションが施されており、その空間性が生み出す諸行無常の味わいは格別だ。
  徹底的なスコアの読みに定評がある高関と東京シティ・フィルが、誠実に向かい合う。メゾソプラノには独シュトゥットガルト在住のベテラン小山由美が、テノールには先日、二期会の《トロヴァトーレ》で難役マンリーコを歌った小原啓楼が登場する。佳演に巡り合えるはずだ。
 文:江藤光紀
 (ぶらあぼ + Danza inside 2016年4月号から)
高関 健(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団第297回 定期演奏会
5/14(土)14:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:東京シティ・フィル
http://www.cityphil.jp
                                                                                                                                                5/14(土)14:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:東京シティ・フィル
http://www.cityphil.jp