カンヌ国際映画祭 出品作品『海よりもまだ深く』初日舞台挨拶に阿部寛、真木よう子、樹木希林が参加

第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に正式出品され、阿部寛、樹木希林、真木よう子、是枝裕和監督が現地入りし、5月19日（日本時間）に行われた公式上映にて、約7分間にもわたるスタンディングオベーションを受けた映画『海よりもまだ深く』（ギャガ配給）の初日舞台挨拶が実施された。

​​今回、是枝監督が​送りだすのは、“なりたかった大人”になれなかった大人たちの物語。阿部寛を主演に、真木よう子、小林聡美、リリー・フランキー、池松壮亮、吉澤太陽、橋爪功、樹木希林と豪華キャストが揃い、“海よりもまだ深い”人生の愛し方を教えてくれる、心に沁みる感動作だ。

​​​カンヌ国際映画祭から帰国したばかりの阿部、真木、樹木の3名が会場に現れ挨拶を行う中、カンヌに残った是枝監督は等身大パネルで登場し、音声でメッセージを寄せた。

阿部寛：ようやく皆さんのお目にかかることができます。フランスでは良い評価をいただき、充実した日々を過ごせました。

真木よう子：この作品が大好きで、早く観てもらいたいと思っていったので、この日を迎えられたことを嬉しく思っています。

樹木希林：なんとかカンヌへ行って、ヨレヨレになりながら戻ってきました。

是枝裕和監督：僕はまだカンヌに残っております。一足早く、阿部さん、真木さん、希林さんは帰られてしまいまして、ちょっと寂しい気持ちもいっぱいですけれども、皆さん帰られた後もたくさんの取材を受けたり、この映画を買ってくれた各国の配給会社の方にご挨拶をしたり、セールスマンとしての活動を続けております。日本でも本当にたくさんの人にこの映画を届けたいと思って、スタッフ・キャスト一丸となって、いろんなキャンペーンを続けてきましたが今日無事に公開を迎え、ここからがまた新たなスタートです。本当に気に入っていただけたら2度3度劇場で見ていただければ本望です。僕も日本に戻って、また公開後のキャンペーンに奔走するつもりですので、応援宜しくお願いします。是枝でした。いい天気です、今日も。
 

――カンヌはいかがでしたか？

阿部：街中が活気に溢れていました。天気も良く、3日間だけでしたが夢のような日々を過ごせました。たぶん一生忘れないと思います。

真木：前回『そして父になる』のときに行ったときは連日ドシャ降りだったので観光ができなかったんですが、今回は晴天に恵まれ、歴史ある街々を見られたので嬉しかったです。

樹木：バアさん​よりも若いひとが経験しておくべき場所よね。
 

樹木がカンヌにて着用していた着物（海と鶴の柄をあしらった​振袖​に、真っ赤な鯉がデザインされた帯）が印象的だったという話では、あの着物は自身の娘が結婚式のお色直しで着ていた着物をリメイクしたものだというエピソードも語られ、カンヌでの阿部の様子を尋ねられると「この風体がカンヌにピッタリなんですよ！団地よりもよく馴染んでいました。」と笑いを誘う場面も。

――レッドカーペットはどうでしたか

阿部：レッドカーペットは距離的にはあまりなかったんですけど、忘れられない経験をさせていただきました。あと、観客の方たちと一緒に上映を観れて、笑いどころが日本と変わらなかったりと、反応を直に知れて、とても面白かったです。スタンディングオベーションは本当に嬉しくて、僕はもっといたかったんですけど、樹木さんが早く行こうというので、仕方なく帰りました（笑）。

真木：レッドカーペットは前回歩いたときはまた違う雰囲気で楽しめました。スタンディングオベーションは、自分の予想をはるかに超えていた反応だったので、とても嬉しかったです。

樹木：私の知り合いの作品は、去年ブーイングが起きたらしくて、もし今日この場でブーイングが起きたら気絶しちゃうって思ってたの！だから舞台挨拶したときに、上映が終わったらすぐに逃げられるようにするって言っていたんだけど、ああやってたくさん拍手がいただけて本当によかったと思います。カンヌは、出品したからって評価されているとは限らないと思ったわね。

――それぞれの役作りやキャラクターについて

阿部：是枝監督作品で、こんなダメ男を演じてもいいものかと思ったけど、楽しんで演じられました。自分もダメなときありましたから​共感するところもありましたよ。

真木：息子役の太陽くんと本当の親子にみえるよう遊んだりしました。

樹木：初号で観て、カンヌでもう一度観ましたけど、別れても夫やその母親も気にかけたりと、良い夫婦だと思ったわね。うちのケースに比べたら、全然大丈夫なのに！と思いましたけど。
 

――是枝監督についての印象は

阿部：本当に優しいです。カンヌで驚いたのはカンヌでとても人気があることです。歩いているとたくさんの人に握手を求められていました。

真木：これだけの映画をつくる方なので、人が好きで人のことをよくみいている方なんだと思います。いつも温かな目を向けてくださるので心地よいです。

樹木：カンヌで私たちの名前が呼ばれた後に、監督の名前が呼ばれると、わーっと歓声があがってすごいんです。監督が取材を受けているとき、海外の記者にいわれていたのが、毎回カンヌに来ているから間をあけて来た方がもっと盛り上がるんじゃないの？と言われていて面白かったですね。

イベントの最後には阿部から「是枝監督の描く作品は、家族の何気ない会話のやりとりとささやかな日常を切り取った繊細作品なかりで他の映画にはないものがあります。多くの方に観ていただきたいと思っていますので、応援どうぞ宜しくお願いいたします。」と挨拶がなされ、初日舞台挨拶は終了した。

映画『海よりもまだ深く』　全国公開中