今年も若獅子が躍動！SPICE史上過去最大の写真量で綴る「ヤングライオン祭り'16＠5/21 大阪城音楽堂」ライブレポート

9月3日（土）に大阪・泉大津フェニックスで開催される夏の名物野外イベント｢OTODAMA'16～音泉魂～｣。その前哨戦となる｢ヤングライオン祭り'16｣が大阪城野外音楽堂で5月21日（土）に開催された。1126（いい風呂）円というユーモアを感じる上にお得な値段設定もあり、今年も多くの若い観客が集まった。

 

まずは、壱番風呂。舞台後方にはモニターも設置された中、魔法少女になり隊が登場する。

弐番風呂はthe quiet room。

菊池遼（Vo.Gt）が開口一番、｢今日出るバンドの中で晴天の野音が似合うバンドです！｣と声高らかに宣言する。爽やかな曲調の｢Happy End｣から始まり、2曲目｢Humming Life｣では客席から自然にハンドクラップが起きる。来月リリースのアルバム｢Jubilee｣から立て続けに｢Instant Girl｣、｢Number｣と披露。ギターロックバンドらしいストレートなナンバーが確実に響いてくる。ラストの｢Hello Hello Hello｣では、菊地と観客のコーラスが美しいハーモニーを作り上げた。

参番風呂には、愛媛発のアイドル、ひめキュンフルーツ缶が登場。

バックバンドのハードなサウンドに合わせて、のっけからロックチューンを見舞っていく。『例えばのモンスター』では、岡本真依がステージを飛び出して、フロアで歌うアグレッシブな一面も。「熱湯風呂になってますね！ 倒れるギリギリまで熱くして、私たちの音楽を伝えていきたい！」の言葉通り、岡本が力強い歌声でリードしながら、谷尾桜子がガンガン煽って観客の心を掴んでいった。共演者はバンドばかりのロックイベントで、最後まで笑顔を絶やさず、アイドルとして戦って会場を飲み込んでいく光景は痛快だった。

大阪発のピアノロックバンド、SHE'Sが四番風呂で登場。

伍番風呂は、Bentham。

六番風呂は打首獄門同好会。

事前にスタッフから観客にうまい棒が配られる。1曲目｢デリシャススティック｣が歌われると、なぜ配られたかの謎が解ける。サウンドはゴリゴリのラウドロックだが、歌われるのは全て生活に密着した内容。モニターにはうまい棒にまつわる歌詞と共に、うまい棒の写真も写され、何が歌われているかが適切に説明される。｢Newgingeration｣では岩下の新生姜について歌われ、大澤敦史（Vo.Gt）始め、メンバー全員が新生姜の被り物を装着！ 最後は｢日本の米は世界一｣で激しくも楽しく〆られた。

 

モノトーンで統一された衣装を身にまとい、七番風呂で登場したのは男女混成5人組バンドのLILI LIMIT。

ライブは、多好感溢れる「Festa」でスタート。「seta gaya」では、野音にぴったりのご機嫌なサウンドが響き渡り、身を委ねて踊る観客の気分を更に高揚させる。MCでは、牧野純平（Vo）が「潔癖症で温泉に入ったことがなかったので、念願だった人生初の“音泉”になります。ありがとうございます！」と告白して、笑いを誘う場面も。7月13日（水）にリリースされるメジャーデビューEPから「Living room」も披露され、開放的なアンサンブルが高らかに打ち鳴らされた。

 

八番風呂は去年と同様、シナリオアート。

1曲目｢スペイシー｣、紅一点のメンバーであるハットリクミコ（Vo.Dr）の野性味溢れるカウントによって始まる。スタイリッシュな衣装の3人だが、音を鳴らすと一気にエモーショナルに変化するのが何とも言えない魅力である。｢いつまでも若い奴らに噛みつきたい！ 『OTODAMA』スケジュール空けています！｣とハットリは、清水音泉のスタッフを探しながら叫ぶ。少しでもランクアップしたいという気概が伝わる。ギター、ベース、ドラムというシンプルな構成の良さが際立つ｢ナナヒツジ｣でトリ前という大役を2年連続で果たした。

 

トリの九番風呂は、ネットで｢MUSIC VIDEO｣のMV試聴回数が約300万回と話題になっている岡崎体育。

それまでの8組が全てバンド編成だった中、広いステージには岡崎とマック1台だけ。1曲目｢Open｣（未発表新曲）から、まるでクラブのフロアの様に観客が沸き立つ。すぐ近くの大阪城方向を見据えての｢豊臣秀吉、お前は天下獲れへんかったけど、俺は天下を獲るぞ！｣という雄叫びには、茶目っ気だけなく本気度も感じ、胸にグッとくるものがあった。ユーモアたっぷりの歌詞とライブパフォーマンスも最高に楽しいが、｢BASIN TECHNO｣と名乗るだけあって、本格的なテクノサウンドも心地よい。子供から大人までもが踊っていた｢FRIENDS｣など、まさに最後にふさわしいステージング。アンコール後には｢OTODAMA'16～音泉魂～｣への出場も告げられ、お祭り騒ぎで幕を閉じた。

約8時間に及ぶヤングライオンたちの競演は、今年も幕を閉じた。この熱は、9月3日（土）の｢OTODAMA'16～音泉魂～｣へと確かに繋げられた。

 

文＝鈴木淳史／大西健斗