葛河思潮社『浮標(ぶい)』が三度目の上演。この夏、全国を巡る!
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長塚圭史・田中哲司・原田夏希
長塚圭史がロンドン留学中に号泣しながら読み、帰国して立ち上げた葛河思潮社の旗揚げ公演として2011年に初演された『浮標(ぶい)』が、2012年の再演に続いて、本年8月~9月に全国で上演されることになった。
この作品は三好十郎の戯曲で1940年に初演。泥沼化する日中戦争の影が忍び寄る時代に生きる市井の人々の言葉が綴られている。芸術、思想、生命とあらゆる支えが奪われんとする中で、精神の葛藤を超えてたどり着く主人公・五郎の再生の境地と、最愛の妻・美緒の生命力と愛情を讃える絶唱が響き渡る、三好十郎が魂を込めた傑作戯曲だ。
そして2016年夏。わが国では安保法制改正に連なる憲法改正が政治日程の俎上に上がり始め、方やアメリカでは大統領選挙で在日米軍の費用問題などが物議を醸す等、戦後70年以上を経てこの日本をとりまく環境も大きく変わろうしている。驚くべきことに三好十郎が75年前、 久我五郎に託した言葉の数々が、いまを生きる我々にいかに鮮烈に響くことか。ぜひ多くの人に体感してもらいたい作品だ。
【あらすじ】
夏も終わりの千葉市郊外海岸。洋画家久我五郎は自己の芸術を信じ、肺を病む妻の美緒を看護しながら貧困と闘っている。彼を排する低俗な画壇、財産の譲渡を迫る家族など、苦境のうちに妻の病気は悪化していく。戦地へ赴く親友が五郎を訪ねた数日後、その献身的な努力もむなしく美緒の病状が急変。 その枕元で、五郎は万葉の歌を必死に詠み上げる
初演から主人公の久我五郎を演じている田中哲司が今回も出演、そのほか原田夏希、佐藤直子、谷田 歩、木下あかり、池谷のぶえ、山崎 薫、柳下 大、長塚圭史、中別府 葵、菅原永二、深貝大輔と、これまでの出演者、新たな出演者ともに、実力派が顔を揃えての上演となる。
公演情報