つかこうへい作品『新・幕末純情伝』で沖田総司を演じる!松井玲奈インタビュー
2016.5.27
インタビュー
舞台
-
ポスト -
シェア - 送る
松井玲奈(撮影:岩田えり)
幕末の京都を舞台に、「新撰組の沖田総司は実は女だった」という、つかこうへいならではのユニークな発想が生んだ傑作『新・幕末純情伝』が、つかの七回忌を迎える今年、6月23日の天王洲 銀河劇場を皮切りに、紀伊國屋ホール、梅田芸術劇場という3会場で上演される。
【ものがたり】
徳川260年の泰平の世が、今まさに崩壊せんとしている文久3年。武士になりたい一身で、京都への道を急ぐ一群の男達がいる。近藤勇率いる、新撰組。その隊士の中に「女」がいた。沖田総司。
小さい頃から男として育てられ、ただひたすら剣の修行を強いられてきた孤独な女――。
風雲急を告げる、時は幕末。勤皇、佐幕が入り乱れる動乱の京の街で、総司は愛する土方歳三のため、
一人、また一人と勤皇の志士たちを斬り続ける。そして、そんな総司の前に、1人の男が立ちふさがった。その男こそ、日本に新しい時代をもたらす男。土佐の龍、坂本龍馬――。
裏切りと憎悪渦巻く暗黒の時代、総司と土方、そして龍馬の胸を焦がす、熱い恋の行方とは?
そして、勝海舟、桂小五郎……幕末の若き志士たちが夢見た、新しい時代の夜明けとは?
これまで藤谷美和子、広末涼子、石原さとみ、鈴木杏、桐谷美玲ら名だたる女優たちが演じて高い評価を受けてきた沖田総司を、今回演じるのは松井玲奈。昨年SKE48を卒業したばかりの彼女が、この人気作の主演で、女優としての1歩を踏み出す。その抱負を語った演劇ぶっく6月号のインタビューを、別バージョンの写真とともにご紹介する。
松井玲奈(撮影:岩田えり)
いつか男性の役に挑戦してみたかった
──この作品に出演すると決まった時の気持ちは?
私はお芝居が好きなので、つか(こうへい)さんのお名前は知っていましたが、『幕末純情伝』は観たことはなかったんです。調べてみたらそうそうたる方たちが出られている歴史のある作品で、そこに新しい一人として参加させていただけることは、とても嬉しいと思いました。
──脚本はもう読んだそうですね?
はい。もともとアニメや漫画が好きだったので、新撰組という題材は近くに感じていたし、主要な人たちへの知識もありました。ですから普通の歴史ものというイメージで脚本を読みはじめたのですが、笑えるところも沢山あるし、またそこからガラッと変わって、どう生きていくのか、時代をどう変えていくのかというドラマがあって、すごく緩急がある作品だなと。読んでいるだけでも楽しかったので、これを実際板の上に立ってやったらどんな化学反応が起きるのかと、今ワクワクしています。
──松井さんは沖田総司を演じるわけですが。
私には「いつか男性の役に挑戦してみたいな」という気持ちがあったので、この作品はそれに近いのが嬉しいです。「沖田は実は女だった」という設定ですから心は女なのですが、しぐさや見た目は男っぽくできるなと(笑)。それに歴史上では確かに沖田は男性なのですが、「実は女だった」と言われても「それってアリかもしれない」と思えてしまうところがあって。それは沖田が持っている人生の背景みたいなものからきていて、人を心配させるような、護ってあげたくなるような、そういうところがある人という気がします。そういう部分を女性らしさに重ねられるので、人物としてもすっと入っていけました。
──この舞台はアクションや殺陣もありましが、自信は?
運動神経はそんなによくないんですが、中学生の時に剣道をやっていました。でも殺陣をやってみたら剣道の所作とはまた違うことに気付きました。いかに斬っているように見えるか、そういう見せ方や剣さばきが、殺陣という表現なのだと。これから稽古を重ねて、身に着けていきたいです。
松井玲奈(撮影:岩田えり)
上演を楽しみにしている方の記憶に残るように
──松井さんはSKE48で色々なライブに出ていましたが、本格的な舞台は初めてなのですね?
一度、グループのメンバーでミュージカルをやりました。でも、ストレートプレイは初めてです。メンバー以外の方たちと共演するのは初めてで、色々初挑戦なのでドキドキしています。
一度、グループのメンバーでミュージカルをやりました。でも、ストレートプレイは初めてです。メンバー以外の方たちと共演するのは初めてで、色々初挑戦なのでドキドキしています。
──ライブの経験と役で板の上に立つ感覚は違いましたか?
全然違いました。凝縮された2時間の中で全部出しきるので、稽古の時から集中しすぎてそれ以外のことが手に付かなくなって、初日が終わって家に帰った時にからっぽになった気がしました。でも次の日にまた舞台に立つと、そこでしか経験できない時間や感覚があって、普通に生きているのとは違うその感覚が病みつきになる感じでした。
──非日常の世界にすっと入りやすい人なのでしょうね。
高校時代に演劇部にいて、そこでは裏で作る側だったんですけど、グループに入るためにやめたとき、先生に「一度スポットライトを浴びると気持ちよくなって舞台から降りられなくなる」と言われたんです。その時はそんな大げさなと思ったんですけど、グループの舞台に立った時、お客様やメンバーとの一体感が楽しくて、病みつきになりました。でも演劇の舞台はまたそれとも違う、体の内側から全部持っていかれるようなゾクゾクするような楽しさがあって。きっとこの『新・幕末純情伝』で、さらに舞台が好きになるんだろうなと思います。どれだけ大変でも辛くても(笑)。
──沖田総司を全身で生きてください! 最後に意気込みをぜひ。
つかさんの代表作の1つで、沢山の方に愛されている作品に出させていただくのですから、上演を楽しみにしている方の記憶に残るような舞台にしたいと思っています。全身全霊でぶつかって、沖田の想いを観ている方に伝えたいと思っていますので、全身で受け止めにきていただけたら嬉しいです。
松井玲奈(撮影:岩田えり)
まついれな○愛知県出身。2008年にSKE48の第一期生としてデビュー。看板メンバーとして人気を博し、14年には『gift』主演で映画デビューを果たした。15年8月に同グループを卒業。今後の活動が注目されている。この『新・幕末純情伝』が、卒業後の初舞台となる。
【文◇佐藤栄里子 撮影◇岩田えり】
〈公演情報〉
つかこうへい七回忌特別公演
『新・幕末純情伝』
作◇つかこうへい
演出◇岡村俊一
演出◇岡村俊一
出演◇松井玲奈、石田明
細貝圭、早乙女友貴、味方良介、荒井敦史、伊達暁、永田彬 ほか
細貝圭、早乙女友貴、味方良介、荒井敦史、伊達暁、永田彬 ほか
●6/23~7/3◎天王洲 銀河劇場
〈料金〉S席(1階・2階)¥6,800 A席(3階)¥5,800(全席指定・税込)
〈料金〉S席(1階・2階)¥6,800 A席(3階)¥5,800(全席指定・税込)
●7/6~17◎紀伊國屋ホール
〈料金〉¥6,800 (全席指定・税込)
〈料金〉¥6,800 (全席指定・税込)
●7/22~24◎梅田芸術劇場メインホール
〈料金〉S席(1階・2階)¥6,800 A席(3階)¥5,800(全席指定・税込)
〈料金〉S席(1階・2階)¥6,800 A席(3階)¥5,800(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉東京音協
03-5774-3030 (平日11:00~17:00)