『VIVA LA ROCK 2016』オフィシャル・クイックレポート フレデリック
フレデリック
『VIVA LA ROCK 2016』2016.5.28 さいたまスーパーアリーナ
VIVA!STAGE フレデリック
初回のビバラではGARDEN STAGEに登場、昨年はCAVE STAGEのトリを飾り、今年はVIVA! STAGEのトップバッターへ――と着実にステップアップしてきたフレデリック。その気合いを表すようにまずはドンと一発巨大な音を合わせ、そのまま雪崩れ込んだオープニングナンバーは「オワラセナイト」! 太いボトムが左右上下に動き回り、こちらの体幹を突き動かすようなグルーヴとなって自然光の差し込むVIVA! STAGEを大きく揺さぶっていく。「歌えますか!」「踊れますか!」と観客をアジテートしながら、「俺はビバラが大好きなんです!」と歌詞を変えた「愛の迷惑」でさらなる着火に成功し、満員の会場は熱狂のダンスアリーナへ。自らの放つ音に誰よりも跳ね、誰よりも体全体を使って踊っているフレデリックの姿が、そこから繰り出されるしなやかにして強靭な音とグルーヴが、オーディエンスの熱をさらに煽っていく。踊ることはその体と心に大きな開放感と喜びをもたらすと共に、日々を闘い生き抜くための武器なんだという、彼らの核にある想いがグイグイとアグレッシヴに伝わってくる。
フレデリック
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歌うようなベースと重心の低い四つ打ちがセクシーに絡み合う「ディスコプール」、小気味いいギターフレーズのリフレインと縦に切り込み続けるビートが妙なトランス感を生む「プロレスごっこのフラフープ」の流れでは艶かしさすら感じさせる音の深さを見せつけると同時に、健司のハイトーンなヴォーカルがどこまでも真っ直ぐに伸びていく。アンサンブルのタフさと共に、健司のヴォーカルがその芯を強靭なものにしたことも、彼らのこの1年の成果だろう。その歌と言葉をグッと前面に押し出した新曲「オンリーワンダー」に込められた「誰もがオンリーワンだ」というメッセージを切実ささえ感じさせる歌声で突き刺した瞬間が間違いなくハイライトだった。
フレデリック
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ラストの 「オドループ」では「踊ってない昼が気に入らないよ」と再び歌詞を変更し、メンバー同士たびたび顔を見合わせながらエネルギッシュにクライマックスへと向かっていった。その顔は満面の笑顔。もちろん応えるオーディエンスにも大きな笑顔が浮かんでいた。踊るということの中にある開放的な楽しさと切実な願いにも似たメッセージ、その両方をビルドアップさせた今のフレデリックが見事に体現された、強烈過ぎるほどのオープニングライヴだった。
撮影=古渓一道 レポート・文=矢島大地
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