第36回 草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァル

2015.8.3
ニュース
クラシック

シューベルトとドビュッシーの魅惑

 国内外から招聘される一流音楽家による講習と演奏会から成る草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァル(音楽監督・西村朗)。36年目を迎える、日本の夏の音楽祭の老舗だ。豪華講師陣のレッスンも、実は私たち聴く側のファンにとっても示唆に富む内容だが、やはり気になるのは連日の演奏会。今年は「1815年ウィーン、ビーダーマイヤー時代、1915年ドビュッシーと20世紀の音楽」をテーマに、シューベルトとドビュッシーを中心に据えつつ、広範なレパートリーのプログラムが組まれている。

 シューベルトでは、最晩年の傑作「ミサ曲第6番」(8/23)が楽しみ。毎年音楽祭の中日に置かれる、特別編成の合唱とオーケストラによる大規模コンサートだ。ウィーン・フィル勢が名を連ねるウィーン音楽プログラム(8/27)も見逃せない。ここでは昨年逝去した前音楽監督・遠山一行氏に捧げる西村朗の新曲も初演される(故人が愛したフォーレの「レクイエム」が引用される八重奏曲とのこと)。8/24にも遠山氏追悼コンサートと「偲ぶ会」がある。

 ドビュッシーでは、名手ブルーノ・カニーノと高橋アキによる2台ピアノ「白と黒で」を含む8/19公演や、ウェルナー・ヒンク、タマーシュ・ヴァルガ、遠山慶子が出演し、晩年のヴァイオリン・ソナタとチェロ・ソナタの両方が聴ける8/22公演が注目。

 コンサートは毎日夕方16〜18時なので、車はもちろん鉄道とバス利用でも日帰りが可能だが、そこは天下に名高い草津の湯。ぜひ一泊して、情緒豊かな温泉街の名湯もあわせて楽しみたい。

文:宮本 明
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年8月号から)

8/16(日)〜8/30(日) 草津音楽の森国際コンサートホール 他
問:草津アカデミー・サービス0120-949-932/0279-82-5663
http://kusa2.jp