『グレイト・ギャツビー』に出演する相葉裕樹、愛原実花、大湖せしるにインタビュー
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(左から)大湖せしる、相葉裕樹、愛原実花
舞台は1920年代のアメリカ。ニューヨーク・ロングアイランドの豪邸で開かれる絢爛たるパーティー。 そこに住む謎の若き大富豪、ジェイ・ギャツビー。果たして彼は何者なのか?彼に隠された謎とは…。米国文学史上、最高傑作のひとつと呼ばれる名作『グレイト・ギャツビー』がミュージカル化され、7月2日(土)からサンシャイン劇場にて上演される。主人公ジェイ・ギャツビー(内博貴)の周囲を彩るキャラクター、ニック・キャラウェイ役の相葉裕樹、デイジー・ブキャナン役の愛原実花、ジョーダン・ベイカー役の大湖せしるに話を伺ってきた。
――今回この顔ぶれで上演されることとなりました。宝塚退団後初の舞台となる大湖さん、同じ雪組出身の愛原さんと一緒ですがお気持ちは?
大湖:キャストの中にみなこ(愛原)の名前を見つけて本当にホッとしました。雪組時代では7年間一緒に歌ってきましたから。初めてなので助かるというか、とても頼りにしています。
愛原:(うんうん、とうなづく)
――宝塚時代に男役から女役に転向された、とても貴重な経験していると思うのですが、男性と女性、両方の気持ちがわかるものですか?
大湖:そうですね、11年間男役をやってからの変更だったので。宝塚時代に組んで踊るのも男としてのやり方だったり、女役に変わった時にはこうやると男役さんはやりやすい、あるいはやりにくいとか気が付くことが多かったです。
――退団して、本当の男性と演じるのってどういう気持ちになるんですか?
愛原:リフトをしてもらったときに、「やっぱり男性だな!」って。「本物だっ!!」って思いました。片手でひょい、みたいな感じでリフトしてくださって「全然大丈夫だよ!」みたいなリアクションですし。
相葉:(『ラ・カージュ・オ・フォール』のときは、)そうでしたっけ?(笑)
愛原:片手で! 身長も本当に高いから。リフトされるとものすごく高いの。
相葉:僕、180㎝ありますしね。
ニック・キャラウェイ役:相葉裕樹
――すでに本作の台本は読まれているそう(注:取材は会見が行われた5月20日)ですが、本番に向けて今から準備しておきたいと思っていることって何かありますか?
相葉:1920年代のアメリカの時代背景もそうですが、『グレイトギャツビー』そのものの歴史も知ったほうがいいかなと。いろいろ見て参考になるものは取り入れたいなと思います。
愛原:歌も踊りもありますので、今通っているレッスンの先生にも「出演舞台が決まったね!」と喜んでいただき、さらにレッスンを積もうと。ちゃんとやらなきゃなという気持ちで頑張らないとなって思います。
大湖:その時代が分かる資料などから、こういう人物にしたいというイメージをしっかりと持って、プラス、演出の錦織(一清)さんからいろいろアドバイスや演出のやり方をお聞きして、それを取り入れて作っていければ、と思います。やっぱりイメージが大事ですかね。
デイジー・ブキャナン役:愛原実花
――相葉さん、大湖さんは、錦織さんと今回初めてお仕事をすることになると思いますが、以前ご一緒したことのある愛原さん、錦織さんのお仕事の印象はどのような感じでしたか?
愛原:本当に少年のような、本当に純粋な、本当に優しくて愛情深い部分と、私にとって本当にお兄さんのような、お父さんのような……まだお若いのでお兄さんですね(笑)。愛情に包まれている感覚がすごくありました。いらっしゃるだけで安心するくらい大好きなんです。純粋な気持ちで「君はどんな人なの?」ってパッと入ってきてくださる。「じゃこういう役にしよう」ってすごく柔軟なんです。相手の出方を見て、こうしなさい、という感じではなく、遊び心を入れながら作ってくださる方ですね。
――そして、内さんですが。大阪人の気質なんですかね。場を盛り上げるのが上手ですね!
大湖:お話しされると場の空気がワッて華やぐし、変わるし。私は皆さんとお話するのも初めてだったんですけど、時々、今もそうなんですが、変な緊張をして喋れなくなることもなく。さっきみなこちゃんも言っていたけど、みんなに気を遣っている内さんの姿を見て、稽古場の様子がちょっと浮かんだりもしました。私も安心して入れるな、って。そういう空気を作ってくださる方なんだなと。
ジョーダン・ベイカー役:大湖せしる
――そんな大湖さんも関西の方ですし、内さんに近いところがあるんでしょうか?
愛原:そんなに関西人っていう感じではないですね。「え、大阪人だよね?」ってよく言われるみたいです。
相葉:ほんわかした感じですよね。
大湖:いろいろ遅いんです……ゆっくり喋らないと言葉が出てこない……みたいな(笑)。
――相葉さんは、自分のニックの役と共にストーリーテラーとしての役割もあります。どういう風に演じていこうと思っていますか?
相葉:基本的にストーリーテラーではあるんですが、ニック目線で感じたことや思い、見たものを伝えているので、人物としては“ニック”なんです。ストーリーからもはみ出していない、(ストーリーテラーのときに)別空間にいるような感じではないようです。
――ちらっと小耳に挟んだんですが、ニックはどうやら日替わりの「何か」があるとのことですが!
相葉:大湖さんが僕(ニック)に対して「面白いことやってよ!」みたいなフリをして、何かものまねみたいな事をするそうです。……何するんだろう!?
相葉裕樹、愛原実花
――そもそもものまねのレパートリーってお持ちですか?
愛原:(横からカットインして)相葉さん、持っていますよ!(笑)
相葉:ちょっとちょっと!
――相葉さんのものまね、見たことありますか?
愛原:……やってくれる?
相葉:やりません!!
愛原:本番楽しみねー!
相葉:ちょっと!
愛原:絶対やってくれるので!
相葉:愛原さんの前でものまねとかやったことないです(笑)。
愛原:だって絶対面白いはずです! すごく楽しみです。
――そんな愛原さんが演じるデイジーですが、このような役は人生初ですか?
愛原:そうですね。
相葉:デイジーがこの作品の肝ですから。本当にデイジーありきみたいなところもあるし……。
ニック・キャラウェイ役:相葉裕樹
――相葉さんと愛原さんは『ラ・カージュ・オ・フォール』で共演されてるせいか、なんだか息ぴったり、分かり合えてる感が伝わってきますね。ちなみに相葉さんからみた愛原さんってどんな方なんですか?
相葉:女優さんとしてステージに立たれる時は凛としているし、役に入り込む力もすごくある方だと思うんですけど……裏では非常に明るくて、天真爛漫で。すごく引っ張られましたね、その明るさに。
愛原:あの時の相葉さんはすごくプレッシャーを感じていて。本当に稽古場でもこんな感じで(顔の両側を手で覆うマネ)、ずっと曲を聞いていて。すごい大変そうだったよね。どんどんやせ細っていくっていう感じで。ご飯も食べられない、休憩中も食べない、みたいな感じだったもんね。
相葉:どうしてもそうなってしまいます。自分でもよくないなーと思っているところに、愛原さんが明るい感じで近づいてきてくれたので、ちょっと楽になりましたね。
愛原:私がすごく余裕ある人みたいに伝わったらそれはそれで困るわ。
相葉:兄貴的なお姉さん(笑)。
愛原:やめて~! 私が偉そうみたいじゃない!
相葉:偉そうとかではないよ。気にかけて声をかけてくれたと思うので、有難かったです。あ、でもちょっと仲良くなったら調子に乗るタイプかも(笑)。
愛原:そんなことないよ!
相葉:地元の友達みたいな感じ。
愛原:あ、それはそうかも。地元の友達っぽい!
相葉:すごく、間口が広くて。
愛原:たぶん相葉さんもそういう風な感じでいてくれたから。最初はすごい黙っていたけど。
デイジー・ブキャナン役:愛原実花
――愛原さんから見た相葉さんはどんな人ですか?
愛原:舞台に対して物凄く真剣でまっすぐな方です。集中して殻に閉じこもってしまう事もある位 真面目な方だと思います。
相葉:たぶん今回もプレッシャーを感じてしまいそうですが、バランスの取り方とかは前よりコントロールできるようになったかなと思っています。ひとつのことしかできないんですよ。そういう点は大湖さんと似ているかもしれない。
大湖:お互い稽古場でそれぞれが殻に閉じこもっている(笑)。
相葉:ぜんぜん目が合わない、みたいなことがあるかもしれないですね(笑)。
――愛原さん自身は殻にこもることってありますか?
愛原:私もありますね。
大湖:感覚人間なんですよ。いい意味で動物的な勘で動いてて。感覚的に何かしてあげたいとか自然にお友達としてそこにいる。気がついたらいる、みたいな。明るくて、温かくて。たぶんそういう存在なんだと思います。
ジョーダン・ベイカー役:大湖せしる
――今回の舞台で挑戦してみたいことはありますか?
相葉:キスシーンがありますしね。
大湖:そこがね。たぶんファンの皆さんは驚くかな?
相葉:こういうとき、どういう反応がくるんですか?
愛原:宝塚のファンの方ですか?
大湖:男役さんで卒業した方が急にそういう場面になると、ファンの方はびっくりするのかなっていうのはあります。
相葉:女役でしたもんね、最終的には。
大湖:ファンの方の中でもいろいろ気になるところかと思いますね。
大湖せしる、相葉裕樹
――喜んでくださるのか、ドキドキしてくださるのか。
大湖:期待に応えられるよう、しっかりと演じたいです。
相葉:僕はもうされるがままに。
大湖:そうなんですか!?
相葉:強引に引っ張られていく感じです。僕は時代に流される男なので(笑)。