ストレイテナー 過去最高に「歌う」新作とともに迎えた充実のツアー開幕戦
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ストレイテナー 撮影=橋本塁(SOUND SHOOTER)
Step Into My World TOUR 2016.6.9 恵比寿LIQUIDROOM
ストレイテナーの全国ツアー『Step Into My World TOUR』がスタートした。5月にリリースされた最新アルバム『COLD DISC』を引っ提げて行われるツアーの一本目。『COLD DISC』が”邦楽を鳴らそう”という意識のもとに生まれた、過去最高に歌が際立った作品だけに、そこからの楽曲がどのように表現され、また過去の楽曲たちとどのような交わりを見せるのだろうか。
会場となったのは恵比寿LIQUIDROOM。期待感と満員のオーディエンスで場内はパンパンに膨れ上がっている。この会場でライヴを行うのはストレイテナーのワンマンとしてはかなり久しぶりだそうで、もしかしたら4人になってから初ではないか?という話もあった。ライヴ初披露の楽曲たちも多いツアーの緒戦であるから、バンドとファンとが互いにその音とリアクションをダイレクトに交換できるキャパシティの会場であったことは、とても良かったように思う。
ストレイテナー・ホリエアツシ 撮影=橋本塁(SOUND SHOOTER)
まだ半年近くツアーは続くので詳細な曲目は伏せるが、冒頭のブロックから初っ端からガンガン拳が上がり、床が揺れる。フェスやイベントの舞台での限られた曲数ではなかなか聴くことのできない楽曲たちも含まれていたのだが、オーディエンスの反応は抜群。それに呼応するようにバンドの、さらには会場全体のボルテージが急上昇していく。当然だろう。これはワンマンツアーである。曲間には客席からメンバーへの呼びかけとともに「最高!!」という興奮交じりの声も上がった。
演奏面、アンサンブルの面に目を向けると、さすがは百戦錬磨の4人組。緒戦の段階から相当な完成度だ。先月末の『VIVA LA ROCK』で観たときにも新曲のオンパレードで仕上げてきた彼らだが、そこからさらに数段ギアが上がっていた。このあたり、ホリエアツシ(Vo/G/Key)は、「前日に04 Limited Sazabysのライヴに出演したのでウォーミングアップは十分」と口にしていたが、実際その通りなんだろう。『COLD DISC』収録の楽曲も以前からある楽曲となんら変わらずスムーズに、しかも絶妙にライヴアレンジの効いた姿で提示される。
ストレイテナー・ナカヤマシンペイ 撮影=橋本塁(SOUND SHOOTER)
カラフルな照明がタイトル通り目まぐるしく色を変えて楽曲を引き立たせた「原色」や、キラキラとしたサウンド、切なさと情感を帯びながらポップに疾走する「シーグラス」といった新しいナンバーが心地良い開放感と少しの余韻を生んだかと思えば、「Melodic Storm」など彼らのライヴで長らく鉄板となっている楽曲、加えてイントロでちょっとした驚きの歓声が上がるような曲まで用意されていたこの日。歌を意識した結果より普遍的なメロディを持って生まれた新曲たちを核に、周囲に配された既存曲もまた新たな表情を見せた。バンドのコンディションも良さそうで、ナカヤマシンペイ(Dr)は斬れ味鋭くよく通るビートでフロアを射抜きながら、合間に立ち上がったりスティックを掲げたりと華のあるプレイを展開し、日向秀和(Ba)は多彩なエフェクトを効かせながら、エゲツなくなる一歩手前といった絶妙な塩梅に歪みまくった重低音を生み出して、会場そのものを物理的に震わせる。ホリエはエレキギター、アコースティックギター、キーボードと弾き分けながらまっすぐに歌声を響かせ、新作でより露わとなった美しいメロディラインを描き出していき、そして大山純(G)が非常にキレキレだった。
ストレイテナー・大山純 撮影=橋本塁(SOUND SHOOTER)
僕はストレイテナーが持っている楽曲ごとの振り幅――メロウにもヘヴィにもサイケにも瞬時に色を変える自在性のスイッチを担っているのは大山だと思っているのだが、この日は一歩下がった定位置で繊細なアルペジオを淡々と弾いていたかと思えば、シューゲイザーばりのノイズを炸裂させたり、日向のファンキーなベースソロにお洒落なカッティングで色を添えたりと、とにかくハイテンションに大活躍。「純ちゃんがこんなに戯けるの珍しいよね」(日向)、「アルコール度数が12°超えて、深夜2時を過ぎないと見れないね」(ナカヤマ)、「まさかの今日一発目のMCが俺イジりでした!」(大山)というMCのやりとりでも大いに湧かせていた。
MCでは他にも、ストレイテナーのライヴは好きに楽しんでくれれば良い、という趣旨のホリエの良い感じなMCが、日向とナカヤマの手によって「シンバル持った猿のおもちゃの3・3・7拍子はDNAに訴えかけてくるよね」という意味不明な着地点に辿り着いたりと迷走しまくっていたが(大ウケでした)、それも含めてとにかく楽しそうな4人が印象的な1日でもあった。それは演奏中も同様で、元々表情とアクションも込みでプレイしている日向はもちろん、ほかのメンバー同士もそれぞれ視線を交わしたり、決めるところが決まったら頷いたり。ホリエも幾度となく歌いながら笑顔を見せたり。MCの話にしても、数年前にはMC自体ほとんど無いようなバンドだったわけで(実際ナカヤマは「MCとかするバンド、クソじゃねぇかと思ってた」と発言)、それはチャラくなったとか受けを狙い出したとかではなくて、年月を重ねることでどんどん余計な肩の力が抜けて、このバンドでライヴをすることを自然体で楽しめているということなんじゃないかな。今のストレイテナー、すごく良い状況に見える。
ストレイテナー・日向秀和 撮影=橋本塁(SOUND SHOOTER)
アンコールまで含めると2時間を超える充実のライヴ。最後はいつものように4人で肩を組んでお辞儀してからストレイテナーはステージを後にした。客電がついてもしばらく続いたダブルアンコールを促す手拍子が、このツアーが最高のスタートを切ったことの何よりの証明だろう。
ホリエは最後にオフマイクで「また会いましょう!」と叫んだ。まだツアーは始まったばかり。地方公演はこれからだし、東京もあと2公演残っている。演奏もまた一層チューニングされていくはずで、これから観る方には大いに期待して欲しいし、今日観た人でもまた体感したくなる、そんな開幕戦であった。
撮影=橋本塁(SOUND SHOOTER) レポート・文=風間大洋
ストレイテナー 撮影=橋本塁(SOUND SHOOTER)
6月11日(土)長崎DRUM Be-7
6月12日(日)大分DRUM Be-0
6月14日(火)大阪BIG CAT
6月16日(木)松山W Studio RED
6月23日(木)松本Sound Hall a.C
6月25日(土)郡山CLUB#9
6月29日(水)松江canova
6月30日(木)岡山CRAZYMAMA KINGDOM
7月2日(土) 浜松 Live House窓枠
7月9日(土) 旭川CASINO DRIVE
7月10日(日)函館club COCOA
7月13日(水)高崎club FLEEZ
7月15日(金)秋田Club SWINDLE
9月23日(金)Zepp Nagoya
9月24日(土)広島クラブクアトロ
9月29日(木)品川ステラボール
10月1日(土)新潟LOTS
10月2日(日)金沢EIGHT HALL
10月8日(土)仙台Rensa
10月10日(月祝)札幌ペニーレーン24
10月15日(土)熊本B.9 V1
10月16日(日)福岡DRUM LOGOS
10月22日(土)桜坂セントラル
11月4日(金)NHK大阪ホール
11月10日(木)昭和女子大学人見記念講堂
発売中
『COLD DISC』
・通常盤【CDのみ】:TYCT- 60080 ¥2,800(税抜)
1.原色(2016年夏公開 映画「U-31」主題歌)
2.シーグラス(2016.4.20発売シングル)
3.Curtain Falls(2015.7.15発売シングルカップリング)
4.Alternative Dancer
5.Dark City
6.DAY TO DAY(2015.11.11発売シングル)
7.NO ~命の跡に咲いた花~(2015.7.15発売シングル)
8.The Place Has No Name(2015.4.22発売シングル)
9.Goodnight, Liar Bird
10.Force
11.覚星(2015.4.22発売シングルカップリング)
【DVD】(初回限定盤のみ付属)
『EMOTION PICTURE SOUNDTRACK 4』
・ミュージックビデオ 全7曲収録
「Super Magical Illusion」(2014/6/25 Single)
「冬の太陽」(2014/9/17 Single)
「The World Record」(2014/9/17 Single)
「The Place Has No Name」(2015/4/22 Single)
「NO ~命の跡に咲いた花~」(2015/7/15 Single)
「DAY TO DAY」(2015/11/11 Single)
「シーグラス」(2016/4/20 Single)
初回封入特典(初回限定盤、通常盤共通):全国ツアー「Step Into My World TOUR」9月23日(金)Zepp Nagoya ~ 11月10日(木)昭和女子大学人見記念講堂の後半12公演 ”
iTunes「COLD DISC」:http://po.st/itstalcd