桂文枝がオペラ『夏の夜の夢』舞台で落語会。「オペラのセットの上に合う落語もきっとある」
桂文枝
―この会を企画したきっかけを教えてください。
以前から佐渡さんとはカウントダウンのジルヴェスターコンサートで何度もご一緒させていただいていておりました。今回、佐渡さんのオペラの期間中に、セットをそのままに落語会をするというお話を伺った時、非常におもしろい試みだと感じました。私自身も今まで様々な事に挑戦してきましたし、上方落語界においても、四天王と呼ばれた4人ともが亡くなり、次の段階へ踏み出さないといけない時期だと思います。昨年末、南淡路で人形浄瑠璃と競演する会を開催致し、これからは、オペラの他にも、クラシックや文楽など、お互いの芸能を刺激し合い様々な事をやれたらいいなと思っていました。今回、オペラ『夏の夜の夢』のセットを使わせていただけるのは非常にありがたいですし、このような形で落語の可能性を探っていけるのは楽しい趣向だと思います。従来の高座ではなく、こういったオペラのセットの上に合う落語というのもきっとあるのではないかと思っています。
―今年はシェイクスピアの没後400周年にあたります。シェイクスピアのエッセンスが加わるような内容になるのでしょうか?
タイトルを「シェイクスピアも笑い出す」とつけさせていただいたのですが、これがうまくはまるような仕掛けを今打ち合わせています。実際に観られたらほんとうに面白いと思いますので、ぜひ楽しみにしていただきたいですね。今まで東西のどの落語家もやったことがないような、おもしろいオペラとのコラボレーションになると思います。
桂文枝
―特別ゲストとして、東京を中心にご活躍されている春風亭小朝師匠がいらっしゃいます。
小朝師匠は歌舞伎のほかオペラやクラシックに非常に造詣が深く、今回共演をお願いしたところ、快くお引き受けくださいました。小朝師匠に来ていただいたらほんとうに素晴らしい会になると思います。先日もご一緒させていただきましたが、ほんとうに巧く、魅力的に噺をされます。今回のような新たな試みにも積極的にご理解いただいて、参加してくださることが非常に嬉しいですね。他にも私の弟子の桂三度は、あまり他にないおもしろい落語をやっていますし、東京で非常に人気がある柳亭小痴楽さんは、きちんとした古典落語を話される方です。みんなで楽しい舞台を作りたいですね。
―オペラのセットを使ってということですが、どのような会にしたいとお考えですか?
この会もぜひとも『夏の夜の夢』の中の存在となり、シェイクスピアがもともと考えていた世界の一部になれれば嬉しいです。『夏の夜の夢』の世界観をうまく生かした落語会にしたいと考えていますね。ジルヴェスターコンサートの時は、色々と趣向を凝らして、オペラのセットの一部を使わせていただいたり、佐渡さんにオーケストラで出囃子を演奏していただいたり、とても面白くすることができました。今回、もし小道具や衣裳を使わせていただけるならば、オペラの世界をコラージュしたような形で面白いことがいろいろとできるなと考えています。小朝師匠とのトークも是非やりたいですね。きっと面白いお話が飛び出すのではないでしょうか。実は弟子の桂三度にはあっと驚くような登場をさせたいと考えています(笑)
落語の内容については、小朝師匠はもちろん様々な工夫をされるでしょうし、非常に楽しみにしています。私もこのオペラの世界にあった話をしたいなと考えています。日本で「夏の夜」というとやはり怪談噺なんかが定番ですが、今回はこの『夏の夜の夢』にふさわしく、“不思議な体験”ができそうな、森の中に入ってくと面白いことが起きそうだというネタを演りたいと考えています。
桂文枝
―KOBELCO大ホールは、非常に大きな会場ですね。
本当に大きなホールでね、ジルヴェスターコンサートで落語をさせていただいた時も、ウケた時は笑いがガーンと来ますけれども、その分上手くいかなかったときも伝わるのが早いですね(笑)
しかし、いつも聴いていただいていたのがとてもいいお客さんで、よく笑っていただきました。ありがたいですね。今回もぜひたくさん笑っていただければと思います。