『家畜人ヤプー』出版45周年に康芳夫プロデューサーが「家畜人ヤプー倶楽部」を復活

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主人公・麟一郎とドイツ人の婚約者がUFO(実はタイムマシン)の事故に巻き込まれ、未来の人種差別世界に連れてゆかれる。そこで主人公は家畜人=ヤプーにされ、数奇な経験を重ねてゆく…。

奇天烈過ぎる性的倒錯と壮大な神話世界が濃厚に絡み合ったSF長編小説として、稀代の奇書と呼ばれ続けてきた『家畜人ヤプー』。作者・沼正三は正体不明の覆面作家。その初版が1970年に出版されてから今年で45年となる。これを記念して同書の出版仕掛け人だった康芳夫氏が「家畜人ヤプー倶楽部運営委員会」を発足、8月8日に下北沢で『「家畜人ヤプー倶楽部」復活』というイベントを開催する。

イベントの構成を手掛けるのは、劇作家・演出家の高取英氏。演出・主演は女王様『柊 一華』。さらに、高取氏の脚本・演出で、氏の主宰する月蝕歌劇団が『家畜人ヤプー』を10月30日~11月1日、ザムザ阿佐ヶ谷で上演することも明らかとなった。この舞台は劇団人気作品で三度目の上演となる。音楽はJ・A・シーザー。

かつて『奇譚クラブ』というSM雑誌があった。耽美文学の最高峰、団鬼六の『花と蛇』も連載されていた由緒正しきこの雑誌に、1956年から連載が始まったのが『家畜人ヤプー』であった。この小説に惚れ込んだのが晩年の三島由紀夫で、康氏に「戦後最大の傑作だ」と出版を強く勧めたという。同書は三島と親しかった澁澤龍彦や寺山修司らからも絶賛され、一大旋風を巻き起こした。その一方で、右翼が内容を問題視してトラブルを起こすなど、スキャンダラスな話題にも事欠かなかった。戸川純が参加した「ヤプーズ」のバンド名もこの小説に由来する。

ちなみに同書を出版した康氏は、「オリバー君招聘」や「アントニオ猪木対モハメド・アリ戦」、「国際ネッシー探検隊」(隊長=石原慎太郎)など破天荒なプロジェクトを次々と仕掛けた自称「虚業家」、世間では“伝説の国際暗黒プロデューサー”としてつとに知られる一種の怪人である。現在は「家畜人ヤプー全権代理人」として齢78にしてなお意気軒高。「家畜人ヤプー倶楽部」は同書出版当時に興した会員制高級SMサロンで、野坂昭如、遠藤周作、吉行淳之介なども足繁く通ったとのこと。それを45年ぶりに復活させるという。もしあなたが今、「昭和元禄」(by 福田赳夫)という時代の徒花とも言うべき一大奇書の世界に触れたいと興味を覚えたなら、これほどお誂え向きのチャンスはないのではないか。


◆『「家畜人ヤプー倶楽部」復活』
日時:8月8日(土)18:30、20:30
会場:家畜人ヤプー倶楽部@下北沢(※下北沢 Blue Monday)

月蝕歌劇団『家畜人ヤプー』
期間:10月30日~11月1日
会場:ザムザ阿佐ヶ谷

いずれも詳細は月蝕歌劇団サイトにて
http://page.freett.com/gessyoku/

 

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