9mm Parabellum Bullet アクシデントに見舞われながらも完走した野音の壮絶なステージ

レポート
2016.6.28
9mm Parabellum Bullet 撮影=橋本 塁(SOUND SHOOTER)

9mm Parabellum Bullet 撮影=橋本 塁(SOUND SHOOTER)

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LIVE 2016 "Waltz on Life Line" at 日比谷野外大音楽堂 2016.6.19 日比谷公園野外大音楽堂

9mm Parabellum Bullet史上最大収録曲数となった6thアルバム『Waltz on Life Line』を掲げて行なわれた『9mm Parabellum Bullet LIVE 2016 “Waltz on Life Line” at 日比谷野外大音楽堂』。残念ながら、この日の天気予報は雨。降水確率も夜からは90%ということもあり、間違いなく悪天候になるだろうと思われていた。開演前の日比谷の空は、今にも雨が降り出しそうなほどの曇天模様で、宙によく目を凝らせば、すでに雨が降っているような気がしなくもない。しかし、MCで菅原卓郎(Vo/G)が「みんなが帰るまで、俺が雨をもたせようと思うんで」と宣言したこともあってか、幸運なことに最後まで天候が崩れることはなかった。そんなちょっと奇跡的な出来事が起こったことを抜きにしても、彼らの8年振り2度目となる日比谷野音公演は、多くの人達にとって思い出深い一日になったと思う。

お馴染みのSEのATARI TEENAGE RIOT「Digital Hardcore」が爆音で鳴り響く中、『Waltz on Life Line』のアルバムジャケットが描かれた特大のバックドロップがゆっくりとあがっていき、4人がステージ登場。拍手と大歓声が巻き起こる客席に向けて菅原が一礼し、「9mm Parabellum Bulletです」と告げると、「生命のワルツ」の前奏が流れ始めた。アコーティックギターの切なげな旋律が空いっぱいに広がった直後、それを一気にかき消すような轟音をステージから放つ4人。強烈な音塊を疾駆させていき、「いけるか日比谷!」という菅原の絶叫から立て続けに突入した「Lost!!」では、特効の破裂音が轟いた。硝煙の甘い匂いがゆっくりと客席まで漂ってくる中、身体のみならず本能ごと揺さぶる激しいビートを叩き上げるかみじょうちひろ(Dr)に、モニターに足をかけて客席を見渡しながらどっしりとプレイする中村和彦(B)、ステージを歩き回りながらギターをかき鳴らす滝 善充(G)と、オーディエンスのテンションを瞬く間にピークまで高めていくメンバー達。そこからも「Discommunication」「Mad Pierrot」と繋げ、ハイボルテージで突き進んで行った。

9mm Parabellum Bullet 撮影=橋本 塁(SOUND SHOOTER)

9mm Parabellum Bullet 撮影=橋本 塁(SOUND SHOOTER)

そして、「今日はアルバムの世界観に浸ってもらおうと思っているんで」という菅原の発言を挟んだ後、力強く真っすぐに駆け抜けて行く中村作曲の「湖」「ロンリーボーイ」や、強烈なインパクトを与えるギターリフを提げた滝作曲の「モーニングベル」など、全メンバーが作曲を手掛けたアルバム曲を続々と披露していく。様々な音像でめくるめく景色を展開させていきながら、荒れ狂う変拍子が奇妙な世界の扉を開くようなかみじょう作曲の「Kaleidoscope」ではタイトルのごとく万華鏡のようなスポットライトが、感傷的な菅原作曲の「Lady Rainy」では雨に打たれた窓を彷彿とさせるような美しいライティングが、楽曲の世界観に華を添えていた。

しかし、ライブが中盤に差し掛かったところで、滝が腕の不調を訴え、一度ステージから離れることに。中村とかみじょうも様子を見るために持ち場を離れ、ステージには菅原だけが残る形になった。菅原は、8年前の野音でアコースティックギターを弾いたものの、音が少ししか出ていなかったというエピソードなどを話し、「もうちょっと時間がかかりそうなんで歌います!」と、「The Revolutionary」を、そして客席からリクエストに応えて「黒い森の旅人」を弾き語りで披露した。また、ストレイテナーの「シーグラス」を一節だけ弾き、「“今年最後の海”までに練習しとくんで」と、オーディエンスを盛り上げる場面も。「俺達はトラブルの神様に言い寄られている」と話していた菅原だったが、アクシデントを見事乗り切り、一度舞台裏に戻って行った彼に向けて、大きな拍手が送られていた。

9mm Parabellum Bullet 撮影=橋本 塁(SOUND SHOOTER)

9mm Parabellum Bullet 撮影=橋本 塁(SOUND SHOOTER)

5分間の中断を経て、菅原、中村、かみじょうの3人が戻り、そこから少し遅れてステージに現れた滝を、オーディエンス達は温かい拍手で迎えた。そこから7月20日にリリースされる、アニメ『ベルセルク』のオープニングナンバー「インフェルノ」へ。曲を披露する前に菅原の口から語られた同曲のエピソードによると、『ベルセルク』のオープニングテーマを担当することになり、滝が曲を作ってきたところ、なんとその曲尺はテレビで放映されるジャスト90秒!元々ある曲の長さをテレビサイズにあわせて縮めるという一般的な手法をとらずに、その90秒間にすべてを込めきったというわけだ。事実、「命を燃やし尽くせ」と綴られた歌詞のごとく、凄まじい熱量を放ちながら、瞬く間に駆け抜けて行くドラマチックなファストチューンになっていて、アニメはもちろんのこと、彼らのライブをさらに熱くさせる1曲になることは、一聴して歴然だった。

9mm Parabellum Bullet 撮影=橋本 塁(SOUND SHOOTER)

9mm Parabellum Bullet 撮影=橋本 塁(SOUND SHOOTER)

再び激走を始めた4人は、「インフェルノ」で燃えたぎらせた炎を、続く「火祭り」で灼熱状態にさせ、そこからかみじょうの猛りに猛りまくったドラムソロになだれ込めば、さらにダメ押しと言わんばかりに「Black Market Blues」へ! 中村はいつも以上に激しくベースを振り回し、滝は、いつもの激しいパフォーマンスこそなりを潜めていたものの、時折放たれる強烈なノイズは一切手加減なし。オーディエンスを激しい狂騒へと誘って行く。そして、9mm史上とりわけ壮大な景色を描いた「スタンドバイミー」を披露。入場時に配布されたサイリウムバンド(アルバム『Waltz on Life Line』の初回盤に封入されていたロゴフィルム同様に赤、青、緑、黄の4色で構成されていた)も、陽の暮れた野音で色とりどりに光り輝いていた。そんな景色を観て、菅原が「美しいね」と一言。そして「音楽は魂の栄養なんじゃないかと、俺は常々思っているんだけど」と、ゆっくり話し始めた。

9mm Parabellum Bullet 撮影=橋本 塁(SOUND SHOOTER)

9mm Parabellum Bullet 撮影=橋本 塁(SOUND SHOOTER)

菅原「たとえば、6億円当たっても、16億円当たっても、多分満たされないんですよ。どんなにラッキーなことがあっても、ブラックホールみたいに真っ暗な穴みたいなのが心に空いてて。その正体が何なのかはよくわかんないんだけど、でも、その正体を知りたいから、俺は音楽をやってるんだと思います。それに、そういうどんなことがあっても存在し続ける真っ暗なものの正体が分かれば、反対に、すげえつらいことがあったときも、希望を掴めるんじゃないかなって気がしてて。俺は、そういうときにみんなの希望になれるような曲を作っていきたいなって思ってます。俺は、今日が最高なんだけど、明日はもっと最高だって思えればいいなと思ってるから。大変なことが明日待ってるかもしれないけど、両手を広げてそれを受け止めることにしますか!いけるか日比谷!」

9mm Parabellum Bullet 撮影=橋本 塁(SOUND SHOOTER)

9mm Parabellum Bullet 撮影=橋本 塁(SOUND SHOOTER)

そして「太陽が欲しいだけ」へ。まさに太陽のごとくギラギラと輝く力強い音を全身で浴びながら、オーディエンス達は両手を空に高く掲げていた。そこから、各パートのアグレッシブなソロ回しも飛び出した「ハートに火をつけて」など、クライマックスへ向けて疾走して行き、ラストナンバーは「新しい光」。俯きながら黙々とギターを弾く滝の姿はかなり苦しそうに見えたが、それをカバーするように激しいパフォーマンスを繰り出す3人が印象的だった。決して本調子と言えるステージではなかったと思うし、そこに対しての悔しい気持ちもあったに違いない。しかし、「太陽が欲しいだけ」の歌詞にもある通り、逆境という名の壁がどれだけ立ち塞がろうとも、それをぶち壊して突き進んで行く4人の姿はとにかくエモーショナルで、そんな彼らに対して一際大きな声でシンガロングするオーディエンス達の姿は、彼らが長い年月を経て築き上げてきた強い絆を感じさせるものだった。

9mm Parabellum Bullet 撮影=橋本 塁(SOUND SHOOTER)

9mm Parabellum Bullet 撮影=橋本 塁(SOUND SHOOTER)

9mm Parabellum Bulletは、全国ツアー『9mm Parabellum Bullet TOUR 2016 “太陽が欲しいだけ”』をスタートさせることになっている。6thアルバム『Waltz on Life Line』の世界を、各地夏フェスへ出演しながら全国各地に届けにいくわけだが、まずはなによりも滝の完全復活を、そしてツアーを無事成功させてくれることを祈りたい。そして、もしいつの日か3度目の野音単独公演行なうことがあれば、この日を上回る最高のステージを見せつけてほしい。僕だけじゃなく、あそこにいた全オーディエンスが思っているだろうし、きっと誰よりもそう思っているのが、9mmの4人であるはずだ。


撮影=橋本 塁(SOUND SHOOTER) レポート・文=山口哲生

9mm Parabellum Bullet 撮影=橋本 塁(SOUND SHOOTER)

9mm Parabellum Bullet 撮影=橋本 塁(SOUND SHOOTER)

セットリスト
LIVE 2016 "Waltz on Life Line" at 日比谷野外大音楽堂 2016.6.19 日比谷公園野外大音楽堂

01. 生命のワルツ
02. Lost!!
03. Discommunication
04. Mad Pierrot
05. 湖
06. 誰も知らない
07. ロンリーボーイ
08. モーニングベル
09. Kaleidoscope
10. Lady Rainy
11. The Revolutionary(菅原卓郎弾き語り)
12. 黒い森の旅人(菅原卓郎弾き語り)
13. インフェルノ
14. 火祭り
~Drum Solo~
15. Black Market Blues
16. スタンドバイミー
17. 太陽が欲しいだけ
18. ハートに火をつけて
19. 反逆のマーチ
20. 新しい光

 

ライヴ情報
9mm Parabellum Bullet TOUR 2016 “太陽が欲しいだけ”

06.24(金) 酒田 MUSIC FACTORY [山形] open 18:30 / start 19:00 ※中止/アコースティックライブ実施
06.26(日) 青森 Quarter [青森] open 16:30 / start 17:00 ※中止/アコースティックライブ実施
07.09(土) 長野 CLUB JUNKBOX [長野] open 17:30 / start 18:00 ※中止/アコースティックライブ実施
07.10(日) 富山 MAIRO [富山] open 16:30 / start 17:00 ※中止/アコースティックライブ実施
07.12(火) 京都 磔磔 [京都] open/start 18:00/18:30 ※中止/アコースティックライブ実施
07.13(水) 松阪 M’AXA [三重] open 18:30 / start 19:00 ※中止/アコースティックライブ実施
09.18(日) 熊本 B.9V1 [熊本] open 16:00 / start 17:00
09.19(月・祝) 福岡 DRUM LOGOS [福岡] open 16:00 / start 17:00
09.21(水) 松山 W studio RED [愛媛] open 18:30 / start 19:00
09.22(木・祝) 高松 オリーブホール [香川] open 16:30 / start 17:00
09.30(金) 広島 CLUB QUATTRO [広島] open 18:00 / start 19:00
10.02(日) 米子 AZTiC laughs [鳥取] open 16:30 / start 17:00
10.08(土) Zepp Sapporo [北海道] open 17:00 / start 18:00
10.10(月・祝) Zepp Tokyo [東京] open 16:00 / start 17:00
10.16(日) Zepp Nagoya [愛知] open 16:00 / start 17:00
10.22(土) 仙台 PIT [宮城] open 17:00 / start 18:00
10.30(日) Zepp Namba [大阪] open 16:00 / start 17:00
 
■チケット
前売 ¥3,800(税込/Drink代別)
チケット一般発売日:
(熊本~難波):2016年7月17日(日)

 
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