長野市芸術館発!初! 夏の音楽フェスティバル「アートメントNAGANO 2016」
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今年5月に長野県長野市にオープンした長野市芸術館。開館からおよそ2カ月、連日、さまざまなジャンルの音楽を中心にした開館記念の催しが熱いお客さんたちを集め、好評を得た。良い演奏の音がよく鳴るホールは、アーティストを高揚させ、同時に拍手も素敵に響くから客席の気持ちがさらに盛り上がり、手を叩くことさえもより楽しくなってしまうほど。
そしてスタジオジブリのアニメ映画や北野武監督映画などの作曲で知られる久石譲芸術監督が、そのオリジナリティを発揮する夏の音楽フェスティバル「アートメントNAGANO 2016」がまもなく開幕する。
久石譲長野市芸術館芸術監督
長野県の夏といえば、セイジ・オザワ松本フェスティバル(前身はサイトウ・キネン・フェスティバル松本)を筆頭に、街で、ホールで、高原やキャンプ場でさまざまな音楽のイベントが繰り広げられている。ジャンルもさまざま。「アートメントNAGANO 2016」の参戦で、夏の信州は、もっと面白く、熱く、格調高く、音楽に彩られる。
「日常に、芸術を」
長野市から発信する夏の音楽フェスティバル「アートメントNAGANO 2016」。久石芸術監督はかねてより、この音楽フェスティバルを芸術監督としての活動の柱のひとつとし、「日常に、芸術を」というコンセプトを掲げていた。“アートメント”という造語には、芸術とエンターテインメントの垣根を取り払い、子どもから大人まで、日常の中で楽しめるさまざまなアートを、との思いが込められている。第1回目は、クラシックからコンテンポラリー、合唱、そして音楽だけでなく伝統芸能、日本舞踊などのジャンルの公演がラインナップされている。
長野市の象徴である善光寺本堂で開幕を告げる「善光寺・奉納コンサート」から、久石芸術監督と新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラによるフェスティバル・フィナーレ公演までの16日間、信州では目新しい企画がめじろ押し!
長野市から日本全国へ、そして世界へ「アートメント」を発信!
なんといっても注目したいのは、「ナガノ・チェンバー・オーケストラ」。ナガノ・チェンバー・オーケストラは、長野市出身者を含む国内主要オーケストラ首席メンバーを中心とした若手奏者で結成する、弦8型が基本の室内オーケストラだ。ベートーヴェンの交響曲全曲の演奏会を2年間(2018年7月まで全7回公演)で完結させることを軸に、ひとつの公演で、“指揮者”久石譲が未来につなげたい現代の音楽作品と古楽作品を織り交ぜたプログラムを奏でることで、長野市芸術館の“創造の顔”として活動していく。そして将来は全国各地やアジアを中心とした海外公演も視野にいれている。コンサートマスターは、近藤薫(東京フィルハーモニー交響楽団コンサートマスター)が務める。
ナガノ・チェンバー・オーケストラは、「アートメントNAGANO 2016」において2日続けてのコンサートでデビューする。第1回公演はヴィヴァルディ(久石譲 編曲)「ラ・フォリア」、グレツキ「あるポルカのための小レクイエム 作品66」、ベートーヴェン「交響曲第1番 ハ長調 作品21」、第2回公演は久石譲「シンフォニア~室内オーケストラのための~」、ウラディーミル・マルティノフ「カム・イン!」、ベートーヴェン「交響曲第2番 ニ長調 作品36」をお贈りする予定。
そのほかのラインナップはこれだ!
▼「善光寺・奉納コンサート」
久石芸術監督によるピアノと、このフェスティバルでデビューするナガノ・チェンバー・オーケストラの弦楽器奏者たちによる室内楽。国宝善光寺本堂でピアノを使用する本格公演。
▼「秋山和慶指揮新日本フィルハーモニー交響楽団」
久石芸術監督と親交の深い現代クラシック界の巨匠・秋山和慶の指揮により、久石芸術監督選曲「Symphonic Variation "Merry-go-round" (ハウルの動く城」より)」、クラシックの人気曲ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」、さらにはジョン・アダムズ作曲オペラ《ドクター・アトミック・シンフォニー》を交響曲に改変した作品を演奏。
▼「長野市の文化・芸能レクチャー&デモンストレーション」
長野市の文化をあらゆる側面から掘り起こし、新しい光を当てる試み。今回は、能・狂言と並ぶ伝統的な身体表現「日本舞踊」に注目! さらに音楽と密接な関係にある日本舞踊の見地から、長野市発祥の箏・正派生田流にスポットを当てます。日本舞踊家集団・弧の会メンバーによるレクチャー&デモンストレーション。
▼「弧の会日本舞踊公演コノカイズム《御柱祭》」
流派を超えて集まった男たちが、素踊りのシンプルなスタイルで、エネルギッシュで躍動感あふれる群舞で魅せる! 《はじめ式》に始まり、筝曲生田流 正派邦楽会の二代目家元・中島靖子の伴侶で筝曲家の唯是震一が作曲した《信楽狸》、そして「弧の会」の代表作《御柱祭》を披露。
▼「鼓童ワン・アース・ツアー2016~混沌」
佐渡を拠点に世界で活躍、今年創立35周年を迎える太鼓芸能集団・鼓童。「混沌」は、タイヤや楊琴、フルートやドラムセットなど従来のイメージを覆すさまざまな楽器が次から次へと登場する最新作。
▼「鼓童メンバーによる初心者のための太鼓ワークショップ」
太鼓を叩くという原始的アクションを通じて、豊かな音楽性を育むワークショップ。
▼「ピアノdeベートーヴェン・シンフォニー・マラソン」
ベートーヴェン交響曲で、リストのピアノ編曲版全9曲を男性ピアニスト5人(岡田将、菊地裕介、松本和将、若林顕、関本昌平)が、全8時間一気に演奏するマラソン・コンサート。久石芸術監督が開始するベートーヴェン・シンフォニー・ツィクルス(ある作曲家のまとまった作品を何回かの音楽会で連続して演奏する)、ベートーヴェンの交響曲全曲演奏会の関連企画。
▼東京混声合唱団「合唱の祭典」
芸術監督の作曲スタイルのひとつ「ミニマル・ミュージック」は、中世・ルネサンス期の古楽曲に通じるとも。その原点を探るとともに、久石芸術監督作曲《かぐや姫の物語》の世界初演、長野県民謡を素材にした合唱のためのシアター・ピース《追分節考》などを、東京混声合唱団が披露。市民合唱団コールアカデミーとも初共演。
▼「クラシック音楽キャラバンEX【2】」
長野市民にクラシックに親しんでほしいという熱意を持つ若手プロ演奏家が集い、アウトリーチを学ぶクラシック音楽キャラバン。サクソフォン奏者・林田和之が講師を務め、研修の一環として行うプロのアウトリーチ演奏家の実演を一般公開。
▼「クラシック音楽キャラバンCafé」
クラシック音楽キャラバンのアウトリーチとは一味違ったパフォーマンスで、クラシックの楽しさを伝える、東京学芸大学出身の5人編成のボイストゥルメンタル・ユニットEverlyによるアウトリーチ・ライヴ。庭での演奏を聴きながら、主屋ではお酒が楽しめる、“大人向けクラシック音楽キャラバン・番外編”。
▼「Everly ライヴ!!」
クラシックはクラシカルに、ポップスはバンド編成で、変幻自在に楽器を軽々と持ち替えるEverlyが、切り口豊かに音楽共体験を誘う楽しいコンサート。
▼「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ2016 presented by エリエール」
「再生へ」。久石芸術監督と新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラによる2016年の全国ツアー。過去2年続けてきた“鎮魂”と“祈り”の最終章として、久石芸術監督が最新作となる壮大なシンフォニーを書き下ろす! 2バージョンある今年のプログラムのうち、長野市芸術館では、宮崎駿監督作品の楽曲を交響組曲にするプロジェクトから第2弾「交響曲 Princess Mononoke」を初披露。