ギター&ヴァイオリンのデュオユニットmille baisersがニューアルバムとライブを語る
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mille baisers
渋谷駅から徒歩5分、渋谷の喧騒を忘れる寛ぎの空間”eplus LIVING ROOM CAFE&DINING”(以下LIVING ROOM CAFE)。アーティストの邸宅にお客様を招くというコンセプトで毎日ライブを行っているこの店で、イチオシのアーティストとして頻繁にライブを行っているのが“mille baisers(ミルベゼ)”だ。ギターの小久保徳道、ヴァイオリンの横山千晶からなるデュオユニットとして精力的に活動をしてきた彼らだが、2016年6月29日に待望の4th アルバム”CIRCLE”をリリース。7月5日には、LIVING ROOM CAFEにてリリースライブを行う。今回はこの二人に、アルバムとライブについて存分に語ってもらった。
――初めてミルベゼを知った人に向けて、まずは自己紹介をお願いします。
小久保: “mille baisers”というのはフランス語で「心をこめて」という意味なのですが、名前からもお分かりの通り、二人ともフランスという国やフランスの音楽が大好きで。
横山: その共通点で意気投合して、フランスの音楽を中心に、幅広いジャンルの音楽を演奏しています。
――2014年には実際にお二人でフランスに行ったんですよね?
横山: そうですね。もともと最終的にはフランスで活動していくのが夢でしたが、フランスで尊敬するミュージシャン達と交流して、さらにその想いを強めましたね。
――もちろんフランス音楽も演奏されていますが、かなり幅広いジャンルの曲を演奏されていますよね。ジャンルについてはご自身ではどう考えているんでしょうか?
小久保: ジャンルはあまり考えたことがないですね。ただ自分はいろんな音楽を好きなので、必然的にどんどん広がっていっています。知らなかったスタイルの音楽を知ったときは新しい絵の具が手に入った感覚です。
横山: もともと小久保君との出会いは、とあるジャズミュージシャンの集いで、周りはみんなジャズだけを一生懸命勉強していて。私は普通にJ-POPとか、ジャズ以外の音楽も好きだったんですけど、そういうのが許されない雰囲気みたいなのがあったんです。
――ちなみに一番好きなアーティストは?
横山: BUMP OF CHICKENです!
――意外! 今の音楽性からは想像できないですね。
横山: そういうロックとかの歌ものも普通に好きなんです(笑)。で、そんな時に小久保君が「好きなものは好きなんだから、それでいいんだ」って言ってくれたんですよね。それに救われたような気がして、じゃあいろんな曲をやってみようと。それが今のミルベゼを作っている部分がありますね。
このアルバムを通して、ミルベゼにとっての理想の一年を巡って欲しい
小久保徳道
――そんなミルベゼの4枚目のアルバムですが、どんなコンセプトの作品でしょうか。
小久保: 今回は1月から12月までの曲を作って、アルバム全体で1年を表現するというのが大きなコンセプトですね。1月の曲が”La Porte”という曲で、「扉」を意味しますが、特に新しい扉を開いていく1年というものを表現しています。
横山: ただ、あくまでも「私たちにとっての」1年なんですよね。
小久保: そうなんです。だから一般的な日本の1年、季節感じゃなくて、自分たちの感じてきた季節感みたいなものが強いですね。それは例えばフランスであったり、他のヨーロッパであったり、色々ですが、「こうだったらいいな」という1年のイメージですね。色彩豊かな風景が見える、自由な創造の1年を、この作品を通して巡っていただけたら嬉しいです。
――その1年が巡るというイメージが”CIRCLE”というタイトルに込められていると。
横山: もちろんそれが一番大きなイメージですね。ただ、私たちにとっての”CIRCLE”、輪が広がっていくというイメージもあって。CDのクレジットを見ていると特に感じますが、最初のアルバムなんかは本当に二人とプラスαくらいで作っていたんですよ。そこから色んな輪が広がっていって、今ではこんなに名前を書く、お世話になった人ができた。そういう広がりをとても幸せに思います。みんなに力を貸してもらって創ったアルバムなので、是非私たちはこの作品を広げていくための努力をしないといけないなと思いますね。
――力を貸してもらったという意味では、今回はブックレットに力が入っていますね。
横山: ジャケットの絵は私が、ブックレットの中の絵は私の妹が描いています。また、今回は一曲ずつに詩を書いてもらっています。インストなので当然歌詞ではなく、曲のイメージを増幅させるものですね。詩だけではわからない部分がありますが、楽曲を聴きながら併せて読むことで、楽曲の世界がさらに広がると思います。
小久保: 日比康造さんというミュージシャン友達に書いてもらいましたが、日比さんいわく、「ミルベゼの曲を聴くと、目の前に風景が浮かぶ。その風景の邪魔をしないよう、けれども一層その風景を後押しできるような言葉遣いを心がけた。」とのことでした。
横山: 今まではインストということで、もちろん自分たちのなかではイメージはありつつも、聴き手によってイメージが違うという感覚でやってきましたが、今回は言葉を付けたことで、自分たちで「こういう曲だ」というものを提示している部分があるので、聴いてくれた人の反応が楽しみですね。
小久保: まあ詩も、やっぱり人によって受け取り方は変わると思いますけどね(笑)。でもどんな形でも、自分達の作品が知らないところで一人歩きして行ってくれたら幸せです。
ライブでは、景色を変えたい
横山千晶
――”CIRCLE”のリリースライブもLIVING ROOM CAFEで行って頂きますが、こちらのお店にご出演頂くのはそろそろ30回目くらいになるんじゃないでしょうか。
横山: そんなにですか!?
小久保: でも去年の10月から、毎月3、4回出てますもんね。
(注:7月5日(火)が29回目です!)
――いわゆるライブハウスよりも、飲食を伴うお店でライブをすることが多い印象ですが、ミルベゼにとってのこの店の印象ってどんな感じですか。
横山: 飲食店で演奏するというと、どうしてもBGMになりがちなんですよね。お客さんも、どう聴いていればいいのかもわかりづらかったり。
小久保: 音の環境的にも、ちゃんと聞こえなかったりするしね。
横山: そうですね。その点LIVING ROOM CAFEはどこにいても、話しながらでもちゃんと音が聞こえてくるので、上手く食事とライブが融合してますよね。もちろん食事をしたり、お酒を飲んだりを楽しみつつ、ライブもしっかり楽しめる、そんな場所だと思います。
――ミルベゼが演奏するときは、いつにも増して客席との一体感を感じますが、そのあたりはいかがでしょうか。
横山: お客さんを見て、その人ひとりひとりに届けたいという想いで演奏していますね。
小久保: 基本的に自分たちが「かっこいいじゃん」と思える曲しかやらないし、やりたくないですね。そういう意味ではいわゆる「BGM」の考え方とは根本的に違うし、お客さんにも届きやすいのかなと思います。
横山: あとは選曲で言うと、似たような曲ばかり演奏していると飽きちゃうなと。自分が演奏していてもそうですし、他人のライブを観客として見に行ってもそうなんですけど。景色を変えたいですね。
――確かに、同じような曲ばかりだと空間になじみすぎて、BGM化していくことはありそうですね。
小久保: 特にリズムとかテンポは強い色なので、ライブ全体の中でも、場合によっては一曲の中でも、変化を付けていきたいです。
飲みたい!(笑)
mille baisers
――そんな、もはやホームグランドと言えるLIVING ROOM CAFEでのリリースライブですが意気込みのほどをお聞かせください。
横山: やっぱりリリースライブというのはある意味節目になるというか。ずっとアルバムの制作をしてきて、リリースライブをやることが最後の仕上げという感じですね。そこで一旦区切りをつけて、また次に向かって進んでいくという感覚です。
ベースに澤田将弘さん、ピアノに神村晃司さんをお招きした、スペシャルな編成になるので、自分の中で”CIRCLE”の世界を一番お伝えできるような最高のパフォーマンスをしたいですね。
小久保: 普段は二人でライブをしていますが、ゲストを加えることで、より音源の世界に近づいた演奏をすることができます。普段は自分たちの頭の中でしか鳴っていない音の部分を、みんなで共有できれば嬉しいですね。
横山: まあでも、そんな小難しいことは置いといて、とにかく来てくれる人たちと飲みたいです!(笑)
小久保: アルバムが出たから、みんなで集まって遊ぼうよ!って感じですね(笑)。
横山:やっぱりそういう機会じゃないとなかなか会えない人もいるんで、そういう人たちに「ありがとう、これからもよろしくね」って言いたいですね。
――では、最後にSPICE読者の皆さんにメッセージをお願いします。
横山: まずはやっぱり、このアルバムを手に取って欲しいですね。もちろんこのアルバムもiTunesで配信はするんですけど、そういう時代だからこそ、なかなかブックレットをじっくり見たりすることってないじゃないですか。この作品はブックレットも含めての作品なので、是非音源だけでなく、”もの”として手に取って、向き合って聴く時間を作ってくれたら嬉しいです。
小久保: 実物が手元に届いてから、いろんなところで聴いてみたりしましたけど、改めて自信作ですので、是非聴いて、入り込んで、抜け出せなくなってほしいです。
会場:eplus LIVING ROOM CAFE&DINING
日時:2016年7月5日(火)
19:00~22:00の間に1演奏20分、3回おこなわれます。
※ライブエリアに着席のお客さまから300円のミュージックチャージをお預かりいたします。
eplus LIVING ROOM CAFE&DINING:http://livingroomcafe.jp/events
発売日:好評発売中
品番:GAZR-2007
価格:2,500円(税込)
02. Les Feuilles
03. Nostalgie
04. Circle
05. Forget Me Not
06. Valse Swing
07. Gypsy Sept
08. Grey Goose
09. moon leaves
10. vanilla sky
11. Alone but never alone
12. Souvenir de Noel