片岡愛之助主演 井上ひさし作『もとの黙阿弥』が開幕
片岡愛之助を主演に迎えた舞台『もとの黙阿弥』が新橋演舞場で1日に開幕した。
井上ひさしが、初めて大劇場での商業演劇に挑み、書き下ろした本作。83年に新橋演舞場にて初演され、05年の再演も好評を博した。
本作を執筆するにあたり、井上は歌舞伎の脚本や黙阿弥全集を通読。歌舞伎狂言の作劇法の基本が「登場人物の仮の姿(嘘)と本来の姿(実)両方での物語の展開」にあることをつかみ、“主従の入れ替わり”を軸に笑いや涙を盛り込んだ作品をつくり上げた。また、文明開化という大きな時代の変化の中で、苦悩し、それでも必死に生きていく人びとの姿も描きだしており、多様な価値観の中で生きる現代の私たちにも通じる普遍的なメッセージを持つ作品ともいえる。
初日公演を前にしたキャストのコメントは以下の通り。
■片岡愛之助
基本的に喜劇で、ミュージカル、歌舞伎劇、写実劇というように、劇中劇がたくさんあるので初めてご覧になられる方も楽しめるお芝居。演出の栗山(民也)さんも、“井上ひさしコント集”だと思って観てくださいと言っているので、おおいに笑っていただけたら。今回この作品をかけさせていただく理由としては、やはり今の日本と重ね合わせて観ていただくと、「なるほどな」という点がたくさん見つかる。ただ笑うだけでなく、深い作品になっています。日本というところはどういうところなのか、そこに海外のものが土足で入ってくるとどうなるのか、そういうところもご覧になっていただければ。ネタバレをしてしまうんですけど、一番最後はそれぞれが考えさせられるような結末になっています。ただただハッピーエンドで、よかったな、悲しいなとかそういうのではなく、ご覧になられた皆さんが「なるほどな。僕ならこうかな。私ならこうかな」とそれぞれに考えていただけるような作品。ぜひぜひ、それぞれの思いを持たれてご覧になられてください。千秋楽まで僕たち頑張っておりますのでどうぞよろしくお願いいたします。
■貫地谷しほり
早乙女さんはあんな風に言ってますけど、すごくすてきです。私たち(愛之助と自分)は歌う場面がなくてよかった(笑)。夏にぴったりの面白いお芝居になってます。メロディーが頭に残って、家でもずっと歌ってしまうような歌もたくさんあるので、ぜひ観にいらしてください。
■早乙女太一
共演の皆さんにのまれないように演じたい。今回お芝居の中で真飛さんと一緒に歌わせていただく場面があるんですけど、真飛さんは今までずっと宝塚で鍛えられた歌を披露するので、一緒に歌うというのは本当に死ぬほど嫌な思いですが(笑)、その負けそうな気持ちに負けないで、頑張りたいと思います。
■真飛聖
テンポ感があってとても楽しいですし、違う人に入れ替わることによっていろんなことが見えてくるというお話。皆さんもどんどんその世界観に入って引きずり込まれていくんじゃないかと思うので、そういうところを楽しみにしていただきたいと思います。
■波乃久里子
やっぱり井上作品は本当に素晴らしい。この作品には、役者として言いたいせりふがいっぱいあります。大変な難しさだけど、覚えちゃったら楽しい。井上先生の言葉は、正確に言わないとなかなか理解できないけど、先生の言葉尻をしっかり守ったら素晴らしい作品になる。各場各場に面白いところがあるので、皆さんご覧になったらとっても楽しいと思います。
■浜中文一(関西ジャニーズJr.)
皆さんに全部言っていただきましたので、僕からはありません(笑)。とにかく頑張ります!
東京公演は25日(火)まで。大阪公演は9月1日(火)から25日(金)まで大阪松竹座にて行われる。