シュールなサブカル女子イラストがTwitterで大ウケ!チープアーティスト「しおひがり」にインタビュー

インタビュー
アート
2016.7.23
チープアーティスト・しおひがり

チープアーティスト・しおひがり

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いわゆる“サブカル女子”をモチーフとした、シュールでクスッと笑えるイラストがネットを中心に話題となっている、チープアーティスト・しおひがり。Twitterでは2万を超えるフォロワーを誇り、10~20代の若い女性や音楽フリークから絶大な支持を受けながらも、その素性はほとんど明かされていない。気になる……気になりすぎるぞ、その人となり!というわけで、今回SPICEでは、しおひがりの単独インタビューを敢行。制作の裏側や、プライベートについてもたっぷり語ってもらった。

 

プロフィール不明、顔出しNG
謎に包まれたアーティスト「しおひがり」とは?

――しおひがりさんのプロフィールはネット上にほとんど載っていませんね。まずは、一体どのような方なのかをお聞かせください。

オリジナル肩書きの「チープアーティスト」を自称しつつ、主にTwitter上で絵を描いています。イラストがメインではありますが、最近では音楽ウェブメディア「M-ON!MUSIC」で漫画を連載したり、ライブレポートなどの文章を書いたり。イベントで話をするのも好きなので、絵だけじゃなくていろいろやっていけたらと思っています。

――年齢やご出身などは、教えていただけますか……?

これは全然隠していないんですけど、今年で28歳になります。生まれは兵庫県の西宮市ですが、ほとんど埼玉で暮らしてましたね。いまは都内に住んでいます。

しおひがり『ロマンティックボケ老人』

しおひがり『ロマンティックボケ老人』

――そもそも、「しおひがり」というネーミングの由来は?

ポケモンのゲームが流行っていた頃、主人公の名前をどうしようか考えていたんです。それで、これは完全に語感なんですけど、「しおひがり」と「うみびらき」で迷いまして。当時付き合っていた彼女に「どっちがいいかなあ?」って聞いたら、「しおひがりのほうがかわいいんじゃない?」と言われて、そっちに決めました。そこからしおひがりという語感が気に入って、現在まで使っています。なので、あんまり深い意味はないです。

――「しおひがり」としての活動のきっかけを教えてください。

ぼくは大学生の頃、軽音楽部でベースをちょこっとやっていたんです。それで、Ustreamで音楽をやっている人をチェックしていて、たまたま見つけたのがヒトリエのシノダさん(Gt.&Cho.)でした。当時、配信上でシノダさんと話をしたときに「しおひがり」と名乗ったのが最初です。そこからシノダさんと気が合って「お前、Twitterはじめろよ」と言われて、6年くらい前にいまのTwitterカウントを作ったっていう感じですね。

――チープアーティストと名乗りだしたのはいつ頃でしょうか?

3年くらい前かなあ。ちょうど3年前くらいからTwitterで絵を描きだしたんですよ。そうしたらイラストがわりとウケたんで、その頃から名乗り出しました。

ぼくの描く絵ってだいたい女の子が出てくる安っぽい恋愛ものが多いんです。「キスしたら全部解決する!」っていうような、トレンディドラマみたいな世界観が好きなんですよ。そういう安っぽい世界観でやっているということで、「チープアート」だと。後付けではありますが、「チープ」という語感が好きだということもあって、そう名付けました。

 

シュールでチープな世界観、その発想のバックグラウンドを訊く

しおひがり『ねこのパンやさんとその地下でくるしむひと』

しおひがり『ねこのパンやさんとその地下でくるしむひと』

――イラストをはじめた当初は、女の子ばかりを描いていたわけではないんですよね?

そうですね。ほかにもいろんなものを描いてはいたんですが、女の子のものがウケるということで、どんどんそっちのほうにシフトしていった感じです。ぼくはわりと手の鳴るほうにいくんです(笑)。

――イラストのネタはどのようにして考えているんでしょうか。

直感でおりてくるときと、すごくいろいろ考えて作るときがあります。ぼくはけっこう言葉遊びみたいなものが好きで、何も思いつかないときはことわざとか、有名なコピーとか、誰もが知っているような文章をいじくってロマンティックな方向に変換することが多いです。

しおひがり『戦場サブカルガール』

しおひがり『戦場サブカルガール』

――しおひがりさんが描くサブカル女子には、ちょっと皮肉めいた要素も感じられます。普段、彼女たちのことをどういう風に捉えていますか?

ぼく自身、サブカルの女の人がすごく好きなんです。一見バカにしているような雰囲気はあるんですけど、実際ぼくもそのサブカルの文脈に組み込まれているので、そんなに嫌悪感みたいなものは持たれていないんじゃないかな、と。これまで怒られたこともないですしね。

――たしかに、サブカル女子を斜に構えて見てはいるけど愛は感じる、といった印象です。

そうだとしたらうれしいですね、まさにそういう感じです。

しおひがり『鼻毛擬人化マンガ』

しおひがり『鼻毛擬人化マンガ』

――しおひがりさんの作品はイラストだけでなくセリフやキャッチコピーも独特ですよね。制作において、イラストと文章はどのような比重で生み出されているのでしょうか。

ぼくは絵がものすごくうまいわけではないので、どちらかというとセリフでウケてるのかなと思っています。これまでに影響を受けた人も、村上春樹さんとか糸井重里さんといった、言葉のスペシャリストなんです。だから、たとえば村上春樹さんの小説に出てきそうな女の子のセリフを考えて、それに合ったポーズを描いたりすることが多いですね。文字が先で、絵は後から作られることが多いです。

――ツイートもポエム調のものが多いですが、普段から本も読まれている?

昔から本は好きでしたが、まとまって読みだしたのは大学卒業してからです。基本、ぼくはなんでも浅いんですよ。ものすごく高いスキルや、すごく詳しいものはなくって。でもなんでも齧るタイプで、ピアノやベースもちょこっとやってたし、絵も描いて、本を読むのもなんとなく好きで……。そうやっていろいろやってきたことが、いま活きてるかなとは思いますね。

 

ヒトリエ、ONIGAWARA、アリスムカイデ……音楽シーンとの深い関わり

ONIGAWARA配信限定シングル「Let's Dance!!」ジャケット

ONIGAWARA配信限定シングル「Let's Dance!!」ジャケット

――しおひがりさんは音楽との接点も大きいイメージですが、どのようなバンドと仲がいいのでしょうか?

ヒトリエが一番仲がよくて、あとは元・竹内電気のメンバーふたりがやっているONIGAWARAとか。ONIGAWARAのジャケは、2回くらい描いてますね。今後も、バンドのジャケとかグッズとかを描いていきたいなと思っています。いまは、ヒトリエのグッズを狙ってますね(笑)。

――「MV女優」のアリスムカイデさんとも親しくされていますよね。

ムカイデさんにはぼくのイベントを手伝ってもらったりとか、けっこう仲よくしてもらっています。焼き肉をおごれば手伝いをしてくれるっていう、そういう仲です(笑)。

――ムカイデさんとはコラボグッズも作られたりしていますが、それ以外にも彼女を彷彿とさせるキャラがいるように感じられるのですが。

はい、モデルにしてますね。ぼくはけっこう友達を描くことが多くて、イラスト用に写真を撮らせてもらったりもしています。ムカイデさんをモデルにしているものも多いですし、SMA所属の女優・飯田祐真さんもよく描いていますね。

 

"恋愛系"クリエイターが共演 合同展『デートコース』の見どころは?

ハジメファンタジー、しおひがり、かとうれい合同展『デートコース』

ハジメファンタジー、しおひがり、かとうれい合同展『デートコース』

――7月25日から、ハジメファンタジーさん、かとうれいさんとの合同展『デートコース』を開催されるそうですが、こちらの見どころを教えてください。

それぞれの作家が「告白とその後」というテーマをもとに作品を描いています。作風は違いますが、恋愛系のクリエイターである三人が独自に作ったものをメイン展示にしているほか、それぞれの過去作品も展示予定なので、そのへんも見てもらえたらなと思います。初日の7月25日にはイベントもあって、ヒトリエのシノダさんに弾き語りをしてもらいます。こちらはも即完だったんですが、ぼくらのファンはそんなにいないんじゃないかな(笑)。ぼくらも一時間くらい喋るんですけど、誰も聞いてないと思います。「早くシノダさん出せ!」的な……。

――合同展以外に、しおひがりさんの今後の活動の展望はありますか?

絵だけじゃなくていろいろやりたいなって思っています。文章を書くことにも興味があるので、コラムとかをやりたいですね。いずれはananでコラムを持ちたいなと(笑)。あとは、お話を作ることにすごく興味があるので、小説とかも書いていきたいです。友達に映像作家も多いので、ぼくが書いた脚本やイラストを映像化する……ということも、将来的にはやれたらおもしろいなと思ってますね。

――それでは最後に、全国のしおひがりさんのイラストが好きな女性ファンに向けて、一言お願いします。

よかったら付き合ってください(笑)

チープアーティスト・しおひがり

チープアーティスト・しおひがり

 

 

インタビュー・文=まにょ

イベント情報
ハジメファンタジー、しおひがり、かとうれい合同展『デートコース』

開催期間:2016年7月25日(月)~7月31日(日)
開催時間:12:00~20:00(初日12:00~17:00、最終日12:00~19:00)
会場:GALLERY HANA SHIMOKITAZAWA(http://www.g-hana.jp/
入場料:無料
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