真実の忍者の話で盛り上がろう! 企画展『The NINJA -忍者ってナンジャ!?-』
-
ポスト -
シェア - 送る
日本科学未来館にて現在開催中の、企画展『The NINJA -忍者ってナンジャ!?-』(以下、『忍者展』)にある忍者道場の入り口には、「最後まで戦わない」と書かれています。忍者って戦う人じゃないの?という疑問を持ちながら進んでいくと、私たちが持っている忍者のイメージとは違う本物の忍者について知ることができます。
忍者の真実の姿を知ってしまったら、きっと友達に話したくて仕方なくなるはず。
~忍術その壱~自分から話しかけよう
「久しぶりー。夏休みどこ行った?」
「えっと……。」
「私はハワイ行ったんだ。ハワイ行ったことある?ないの?じゃあまたね。」
会話ってこんな感じでうまくいかないことが多くないですか? 盛り上がるどころかうまくコミュニケーションが取れなかったと落ち込むことになります。ご安心ください。忍者が解決してくれますよ。
『忍者展』では、忍者に関連する講座や体験イベントがおこなわれています。7月9日の「忍者の歴史/忍者とその修行」では、山田雄司教授(画像中央)と甲賀流伴党21代宗師家川上仁一特任教授(画像右)による講義とトークセッションがありました。その中で教わったのが「~忍術その壱~自分から話しかけよう」です。
敵国に侵入して諜報活動をしている時に見つかったらどうしますか? 敵から声をかけられてしまうとしどろもどろになってしまい、諜報活動をしていることがばれてしまいます。自分から話しかければ主導権を握ることができますし、争わずに生き延びる方法を見つけ出すこともできます。諜報活動には高度なコミュニケーション能力が必要になるので、忍術書にはコミュニケーションのコツも書かれているのです。
古い文献の展示もある『忍者展』は、三重大学を中心に研究されている忍者の成果を知る場所でもあります。
「久しぶりだね。ねぇ、真実の忍者って知ってる? アニメやドラマで見るのとは全然違うんだよ?」
「そうなの? 嘘じゃないの?」
「“忍者展”に行って色々教わって来たんだ。三重大学の山田教授が総合監修している学術的な企画展なんだよ。」
「えー。教えて、教えて。」
自分から話しかければこのように話を盛り上げることができるでしょう。忍者は当時の最先端技術を持ち、それを最大限に活かす修行を重ねていました。現代にも応用できる忍術はたくさんありますが、そのうちのいくつかを紹介しましょう。
~忍術その弐~日常品を最大限に活用しよう
自宅にいるときに大震災が起きてしまいました。次のうちあなたはどれを選びますか?
1) 一目散に逃げる
2) 水を確保しガスの元栓を閉じて、タオルと梅干を手にする
3) 昔買った防災用リュックを探す
すぐに逃げたくなりますが、いきなり外に出る方が危険な場合もあります。落ち着いて行動するにしても、どこにしまってあるのかわからない防災用リュックを探している暇はありません。
防災用リュックを持っていない人も多いでしょう。忍者の時代には防災用リュックさえなかったのですが、忍者は様々な自然災害の中でも任務をこなしてきたと考えられます。防災用リュックが見つからなくても忍者の知恵を使えば生き延びる確率は大きく上がります。そこで大切なのが「~忍術その弐~日常品を最大限に活用しよう」です。
『忍者展』では、忍者が今考えられているような星形手裏剣は使っていなかったことを教えてくれます。その代わりに活用されていたのが針。持っていても怪しまれることもなく、知識があれば病気を治したり武器にすることもできます。
忍者は日常品を最大限に活用することで任務を遂行するのです。火事が起きたらハンカチを濡らして鼻と口を覆うというのも忍術書に書かれているもので、渋皮染めが防虫になるという知識も持ち合わせていた忍者は、布も有効利用していました。任務遂行に欠かせない6つの道具として忍び六具が展示されていますが、その中に三尺手ぬぐいがあります。
7月9日に開催された、忍者食イベント「ごはんでござる。」の講義では、さまざまな忍者の食べ物を紹介してくれました。兵糧丸などに梅干しをうまく利用して空腹やのどの渇きを癒していたそうです。講義のあと忍者が実際に食べていたとされる食材を使用した食事を楽しむことができました。山田教授の隣で忍者が料理の説明をしている様子を、参加者が食い入るように見入っていたのが印象的でした。
~お品書き~
黒豆入り玄米おにぎり 梅干し添え
薬草のおひたし
お豆腐の田楽
鮭とばと舞茸のとびっこマヨネーズ和え
鹿南蛮
兵糧丸風デザート
はと麦茶
現代風の味付けをしてあるとのことですが、どことなく懐かしい味がしました。講義の中で兵糧丸は和菓子に発展していったのではないかという話題がありましたが、兵糧丸風デザートは和菓子にしては長く口に残る感じで、満腹中枢を刺激するよう作られているのだなと感じました。
忍者は水の大切さも熟知していました。現代では水で苦労することも少なくなりましたが、優先的に水を確保することも忍者から学ぶことの1つでしょう。
~忍術その参~印を結ぼう
大事なスピーチや失敗できない試験があるといった、非常にストレスのかかる事件に遭遇することは少なくありません。ストレスのあまり、体調を崩してしまうこともありますが、そんな時は「~忍術その参~印を結ぼう」です。
ストレスを緩和するには人に話したり泣いたりする方法もありますが、アジアでは文化的に体を使う方法が使われます。忍者は密教に伝わる九字護身法という印を結ぶことでストレスを軽減し、平常心で任務を遂行したと考えられます。
指を使うことは脳の活性化にも良く、ストレス軽減だけでなく、アンチエイジングにも役立ちそうです。九字護身法は『忍者展』にて、詳しく説明されているので、挑戦してみてください。
~忍術奥義~争いを避けて和の心を身につけよう
忍者の任務は絶対に失敗してはいけないものです。筆者も欲が出て失敗してしまった経験は何度もありますが、忍者は自分を律して任務を優先させます。多くの専門知識を有する忍者はできるだけ争いを避けます。争いを避けるために生み出され受け継がれていったものが忍術であり、それを継承して争いのない平穏な生活を続けるのが大切なのです。
平穏な生活は簡単に手に入れることができるものではありません。自分の体を使い、生きている実感を得ることが大切で、それには忍者の修行を体験してみるのが良いでしょう。「忍者展」では、様々な忍者修行を体験することができます。
手裏剣は投げるのではなく打つと言います。「手裏剣打ち」の修行体験を通して集中力を身につけましょう。
足を引き抜くように高く上げ、つま先から差し入れるという忍者の歩き方「忍び足」は、暗闇の中を安全に歩く方法でもあります。「忍び足」の修行体験をすることで、停電の時でも安心して歩くことができるようになるはずです。
忍者がヒマワリのような成長の早い植物を毎日飛び越えることで跳躍力を鍛えていたというのは有名な話です。跳躍力の修行体験を続けて健康な身体になりたいものです。
ここで紹介したのは真実の忍者のほんの一部です。入試や資格試験に役立つ記憶術や最も大切とされる呼吸法についてのコーナーもあります。真実の忍者を知り、忍者修行を体験して和の心を身につけた新しい自分で秋を迎え、真実の忍者の話で盛り上がってみませんか?