KEYTALK お祭り騒ぎを楽しみながら、切なさまでも味わえるライブ
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KEYTALK 撮影=後藤壮太郎
2016年全国ワンマンツアー 3年K組お祭り先生~「先生!義勝君の給食費がありません!」
2016.7.14(THU) 新木場STUDIO COAST
KEYTALKが5月から全国を回ったワンマンツアー『3年K組お祭り先生~「先生!義勝君の給食費がありません!」』のファイナル公演が、7月14日、新木場STUDIO COASTで行われた。前日のセミファイナルを含め2daysの開催となった同会場だが、およそ2500名のオーディエンスが詰めかけて超満員状態。開演前には巨匠こと寺中友将(Vo/G)、八木優樹(Dr)による影アナにも大きなリアクションが起き、そのボルテージと期待度の高さが伝わってくる。
KEYTALK 撮影=後藤壮太郎
KEYTALK 撮影=後藤壮太郎
場内が暗転し、メタルコア風味のSE「物販2」が流れ出すとオーディエンスが一斉に色めき立ち、こちらもメタルのライブ顔負けといったすさまじい大歓声が場内を包む。とはいえ登場した4人はいつも通り楽しげで、ステージ最前列まで出て気合を入れてから定位置へ。オープニングナンバーは「HELLO WONDERLAND」だ。前3人がそれぞれお立ち台に上がってイントロを綺麗に揃えると場内にはレーザー光線が照射され、華々しくライブの火蓋が切って落とされた。そこから首藤義勝(Vo/B)が歌い出す少し切なげなメロディにノリノリなビートが融合を果たす「sympathy」、さらにはエモいロックからファンキーなダンスナンバーへと変貌する「Combat Song」で畳み掛け、序盤からグイグイ揺さぶってくるKEYTALK。八木は高速のビートをアグレッシヴに刻み続け、小野武正(G)は絶えず動き回りながらテクニカルなフレーズやソロを弾き倒す。その間、フロアのオーディエンスがほぼ一人残らず両手を掲げて跳びまくり、歌いまくり。もはや壮観ですらある。
KEYTALK 撮影=後藤壮太郎
KEYTALK 撮影=後藤壮太郎
小野による「義勝くんの給食費を5月末から探し続けて早一ヶ月ちょっと。ノスタルジックだぜー!」という若干意味不明な煽りが場内の熱をさらに上げ、「fiction escape」「KARAKURI夢ドキュメント」と繋いでいく。彼らの曲はいずれもクラップやジャンプなどで体を動かしたりコーラスで声を上げたりできる箇所がちゃんと、しかも何箇所も用意されている親切設計。この一体感、“参加している感”がそのまま楽しさにつながっていることは、彼らのライブにとって重要な要素だ。「初めて来た人?」「2回目の人?」という呼びかけにも結構な人数が手を上げていたが、「KEYTALKのライブは楽しい」という評価がどんどん新たなリスナーを呼び、彼らがそれに徹底的に応え続けることで、バンドをここまで押し進めきたという事実を改めて実感する。それは今なお動員を伸ばし続けている理由でもあるだろう。
KEYTALK 撮影=後藤壮太郎
KEYTALK 撮影=後藤壮太郎
また、明快に盛り上がることのできる、いわばキラーチューンのレパートリーが豊富なこともKEYTALKの強み。やろうと思えば全編通してアゲ続けることだってできるだろう。だがこの日は、前半戦のクライマックスに「パラレル」や「太陽系リフレイン」といった人気楽曲を並べて前のめりな荒々しさとスピード感を前面に押し出していたものの、その後の展開は、盛り上がり重視の一本調子で押し切ってしまうようなものではなかった。KEYTALKのサウンドに不可欠な要素ともいえる“お祭り感”の原点ともいえる「祭りこぞう」、おしゃれなコード感とキャッチーなメロ、トリッキーな展開という3拍子揃った「Night focus」といった懐かしい楽曲を続けたかと思えば、最新シングルのカップリング曲「赤いサイコロのMAYAKASHI」「boys & girls」「wasted」を立て続けに披露したりと、KEYTALKの様々な表情に触れられる懐の深い構成となっていた。さらには巨匠の豊かな歌心に触れられたバラード「センチメンタル」も披露され、思わず息を呑むような瞬間も。そんな起伏に富んだ構成も、ワンマンライブならではの嬉しい試みといえる。
KEYTALK 撮影=後藤壮太郎
KEYTALK 撮影=後藤壮太郎
「スターリングスター」終わりのMCで「これぞ<奇跡みたいな夜>ですよ」と歌詞に引っ掛けたキザな発言をして歓声を浴びた巨匠が、そのまま「ここから俺らももっと本気出すから」との宣言とともにビールを注入し、ライブは再加速する。首藤のスラップベースが炸裂し、コール&レスポンスも大盛況、おまけにロングブレイクやラスサビのテープ噴射と大盤振る舞いだった「MATSURI BAYASHI」。「ワッショイ!!」の大音響がフロアを揺るがした「MABOROSHI SUMMER」。ド派手な照明が明滅する中、オートチューンのかかったボーカルと性急な2ビートで激しく駆け抜けた「One side grilled meat」。トドメは小野の「この調子でもっと踊ろうぜ!」の一言から「MONSTER DANCE」だ。もう、この曲の盛り上がりは言うまでもない。MVで見られるオーディエンスの振り付けも完璧に揃っていたし、八木のホイッスルから突入するムード歌謡みたいなパートでは、巨匠と首藤の甘い絡み(?)というサービスが飛び出して本編は終了した。
KEYTALK 撮影=後藤壮太郎
KEYTALK 撮影=後藤壮太郎
アンコールでは、この印象的なツアータイトルの意味が回収された。チャイムの音とともに照明が点くと、学生服姿の小野、首藤、八木と、ジャージに竹刀というテンプレ体育教師な巨匠の姿。そこからの寸劇パートは、彼らのトークスキルとアドリブ力もあいまって大盛り上がりに。なかでも主役ともいえる首藤はエキセントリックな迫真の演技で場内を沸かせていた。寸劇の内容は大まかに言うと「給食費をなくした首藤が、それを免除してもらうためにフラフープにチャレンジ」というもので、さすがにツアーもファイナルということで彼のフラフープスキルも極まっており、難なく成功……したのだが、ここでサプライズとしてチャレンジが追加に。目隠し状態で鉛筆の芯を舐め、硬さ(HとかBとか)を当てるという“利き鉛筆”のコーナーへ。これも首藤は見事に成功させ、めでたく給食費免除。素で喜びまくっていた。念のため、良い子は真似しないように。
KEYTALK 撮影=後藤壮太郎
最後は、この季節にもピッタリでサウンド的にもキメ満載の「YURAMEKI SUMMER」から「マスターゴッド」と連打し、フロアを完全燃焼へと導いたあと、「桜花爛漫」でとびきり華やかにアツく、同時にちょっとのセンチメンタルを漂わせながらライブを締めくくったKEYTALK。我々がこのファイナル公演で観たものは、羽目を外してお祭り騒ぎを楽しみながら、爽やかさや切なさまでも味わえる、彼らの魅力が存分に示されたステージであった。そして季節はいよいよ夏本番、各地の夏フェスを経て次なるツアーへと進んでいく。やっぱりKEYTALKには、楽しくて爽やかでちょっぴり切ない夏がよく似合う。
撮影=後藤壮太郎 レポート・文=風間大洋
KEYTALK 撮影=後藤壮太郎
2016.7.14 新木場STUDIO COAST
01. HELLO WONDERLAND
02. sympathy
03. Combat Song
04. fiction escape
05. KARAKURI夢ドキュメント
06. パラレル
07. 太陽系リフレイン
08. 祭りこぞう
09. Night focus
10. YGB
11. 赤いサイコロのMAYAKASHI
12. boys & girls
13. wasted
14. センチメンタル
15. スターリングスター
16. MATSURI BAYASHI
17. MABOROSHI SUMMER
18. One side grilled meat
19. MONSTER DANCE
[ENCORE]
20. YURAMEKI SUMMER
21. マスターゴッド
22. 桜花爛漫
2016年7月6日発売
KOCA-90 / ¥3,500+税 / CD全17曲収録+DVD
<収録曲>
1. orange and cool sounds
2. 消えていくよ
3. amy (KTEP ver.)
4. A型
5. MABOROSHI SUMMER
6. color
7. 祭りやろう
8. アーカンザス
9. 太陽系リフレイン
10. マキシマム ザ シリカ
11. zero
12. happy end pop (KTEP3 ver.)
13. おはようトゥエンティ
14. 東京Star
15. 桜の風吹く街で
16. 物販
17. MABOROSHI SUMMER (Altanative ver.)
既に廃盤となった「SUGAR TITLE TOUR DVD」
「オムスターの逆襲DVD」からのダイジェストLIVE映像
KEYTALK TV 2010-2013 抱腹絶倒のディレクターズカット版(計約60分)
・ジャケットはKTEP作品を全て手がけたデザイナー勝見氏によるオリジナルデザイン
・インディーズ時代の秘蔵フォト満載のブックレット仕様