大きなステージだけじゃない! FUJI ROCK FESTIVAL '16のワン・アンド・オンリーなアクトたち

レポート
音楽
2016.7.23
ムジカ・ピッコリーノ

ムジカ・ピッコリーノ

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PYRAMID GARDEN ムジカ・ピッコリーノ メロトロン号の仲間たち 2016.7.22

架空世界“ムジカムンド”。そこでは、人々から忘れ去られたムジカ(音楽や楽器)が、“モンストロ(怪獣)”の姿でさまよっている。そんなモンストロを救出し、音楽の記憶を蘇らせようと活動しているのがメロトロン号の仲間たち。去年に引き続き、今年も彼らが高原ナエーバに緊急着陸し、「“モンストロ(怪獣)”を助けて“ムジカ(音楽)”をナエ−バで蘇らせろ!」は実行された。

会場となったのはピラミッドガーデン・ステージ。開始前から子どもたちが前列を陣取り、その後ろには大人もズラリ。普段はテレビに映るメンバーが、目の前のステージに登場するのだから興奮して当然。ステージまで歩み寄る子どももチラホラいてなんとも微笑ましい光景だった。

ライブはジャジーなナンバーから、ロックなアレンジの童謡「待ちぼうけ」、ラジオ体操ならぬ、ぽんさん体操第一では子どもも大人も一緒に運動。そしてアリーナのメンバー紹介後、「みなさん立って一緒に踊りましょう!」というかけ声で始まったのはサディスティック・ミカ・バンドの「タイムマシンにお願い」。さらにはリヒャルト船長の作った曲をという紹介でなんとMOTHERから「エイトメロディーズ」! そう、船長はあの鈴木慶一なのだ。

イントロが始まると、目の前にいたお父さんは「うおおおお!」と子どもよりも断然盛り上がっちゃってて、それを見守る子どものキョトンとしてから満面の笑みになった表情が最高だった。

「モンストロがとんだよ!」とアリーナが空を指すほうを子どもたちが一斉に見つめ、この日の任務は終了。途中、小雨がぱらついたけれど、シャボン玉の舞う中でゆったりとしたこどもの笑い声溢れた心地よいステージだった。

 

苗場食堂 苗場音楽突撃隊 (池畑潤二/井上富雄/花田裕之) 2016.7.22

苗場音楽突撃隊 (池畑潤二/井上富雄/花田裕之)

苗場音楽突撃隊 (池畑潤二/井上富雄/花田裕之)

フジロック恒例のお楽しみである苗場音楽突撃隊。2014年の鳥羽一郎親子出演から早2年。今年は八代亜紀が登場した。

苗場音楽突撃隊のメンバーである池畑潤二、井上富雄、花田裕之は、この日16:40からGREEN STAGEに出演した「ROUTE 17 Rock'n'Roll ORCHESTRA」の中心メンバー。そこにスペシャル・ゲストが呼び込まれるというスタイルは、ROUTEと同じ。

トップバッターはトータス松本。その声に惹かれが、周辺にいた人たちがどんどん集まってきた。さらに、MIKUNI♡DOLLS(Keicot、角島美緒、Asami)の3人がABBAの「ダンシングクイーン」を伸びやかに歌い上げ、観客を踊らせた。

その後で呼び込まれたのは、なんと! まさかの八代亜紀。夕方のGREENでは「舟唄」を披露してくれた彼女。「あれ、歌っとく?」の一言で夜は「雨の慕情」をしっとりと歌い上げた。

八代亜紀とは、単なる演歌歌手ではなく、ロック・スピリッツを内に秘めた大変素敵な日本の誇るアーティスト。多趣味というよりも、歌以外でもその才は溢れていて、何かで目にしたことのある彼女の描いた猫の画からは、彼女の優しさと気品がキャンパスに映し出されていた。

ジャンルレスに真っ向から挑戦できるのが八代亜紀なのかもしれない。そんなことが頭によぎった1日目。このステージを極至近距離で観られた100人ほどの人たちはとてもラッキーだったと言える。

ROUTE 17 Rock'n'Roll ORCHESTRA (feat. 八代亜紀、仲井戸”CHABO”麗市、奥田民生、トータス松本)  2016.7.22

苗場を通る国道17号にちなんで名付けられたフジロックのスペシャル・バンド・ROUTE 17 Rock'n'Roll ORCHESTRA。この15名からなる大所帯バンドのメンバーは、池畑 潤二(Dr)、松田 文(Gt)、井上 富雄(Ba)、花田 裕之(Gt)、ヤマジカズヒデ(Gt)、梅津 和時(A.Sax)、田中 邦和(T.Sax)、タブゾンビ(Tp)、青木 ケイタ(B.Sax)、細海 魚(Key)、丈青(Pf,Key)、スティーヴ エトウ(Per) 、コーラスのMIKUNI♡DOLLS(Keicot、角島美緒、Asami)。そこに毎年豪華なゲストを迎えてライブを行うのが恒例で、今年八代亜紀、仲井戸”CHABO”麗市、奥田民生、トータス松本がゲスト出演した。

まず呼び込まれたのはトータス松本、次に奥田民生。その後、画面にThank you David Bowieの文字とアラジンセインの写真が映し出され、誰が歌うのかと思いきや、なんと、クリス・ペプラーだった。そしてお待ちかねの八代亜紀。BBキングのカヴァーと大ヒット曲「舟唄」を披露。まさかフジロックで舟唄を、八代亜紀の歌を聴けるだなんてと驚きながらも、大いに湧くオーディエンスが印象的だった。

そして、CHABO。いきなりのRCサクセション「君が僕を知っている」に大歓声があがった。「これまでは朝やらせてもらっていたんだけど、今年はこんな時間にやらせてもらった。フジロックはいつでもいい時間てことなんだよ」と言い、「清志郎、どっかに来てると思うよ」と呟いた。

艶っぽいコーラス3人の赤いドレスが夕映え、まるで大人のたしなみのような上質のrock 'n' rollショータイムはあっという間に終了してしまった。

CHABOは「フジロックのおかげで八代亜紀と友達になれたぜ」と言っていたが、我らオーディエンスもフジロックのおかげで舟唄を生で聴けたぜ。


文=早乙女‘dorami’ゆうこ

イベント情報
FUJI ROCK FESTIVAL'16
日時:2016年7月22日(金)・23日(土)・24日(日)
会場:新潟県湯沢町苗場スキー場

 

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