SKY-HI ホールツアーの成功、音楽から離れたことで実感した想い、そして描く未来
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SKY-HI 撮影=富井昌弘
今年2016年春に行なった初のホールツアーで、自らライブ演出を手掛け、フルバンドにダンサーを入れた総勢13名のステージでエンターテイナーとしての力量を見せつけたSKY-HI。そのツアーを通して感じた想いを綴ったニューシングル「ナナイロホリデー」を携えて、9月からはその真逆ともいえるライブハウスツアーに挑む。「特定のジャンルで括られているうちはまだまだ」と語る彼が目指すものとは?
打倒する対象は、ギターロックシーンで名を挙げているバンド、ディズニーランド、USJ、みんなの彼氏・彼女。
――改めて、SKY-HIとはなんぞや? というところから、掘り下げていきたいなと。
SKY-HIとは、ライブアーティストですね。ライブアーティストって、肩書きみたいなもので、自称だったりすると思うんですけど、SKY-HIはね、本当の意味でライブアーティストだと僕は思います。ラップというカテゴリーにカテゴライズされる音楽性ではあると思うし、HIP HOPアーティストとして18、19歳の頃に渋谷のクラブでキャリアをスタートさせて、20代前半をクラブシーンとかバトルシーンとかに費やして、そこからインディーズでのデビューを経てのメジャーデビューだから。どっからどうみてもHIP HOPアーティストなんだけど、でもあんまりね、特定のジャンルのカテゴライズは必要ないと思っているんですよ。
――そうだね。
それがね、今年の2月から3月にかけてやった初のホールツアーで、自分の中でも確信に変わったんです。そのホールツアーを観に来てくれた伊藤ようすけさんに「これはなんちゅうジャンルの音楽なんや?」って聞かれたので、「これはSKY-HIです!」って答えたんですけど、ホント、そんな感じで(笑)。特定のジャンルでは形容できないことをする必要があったし、したかったし、今はそれができてるって感じなんです。打倒する対象は常に、ギターロックシーンで名を挙げているバンドもそうだし、ディズニーランドもそうだし、USJもそうだし、みんなの彼氏とか彼女とのデートもそうだし、エンターテイメントとして楽しむ場所に行く時間を、SKY-HIのライブに行く時間に変えてくれたとしても、それが正解になるようなライブを提供しようと思っていたから、今、やっとそれが理想的な形で実現できたって思ってるんですよ。ずっと一緒に楽曲を作っている石川淳とも話していたことなんだけど、特定のジャンルで括られているうちはまだまだだねって。特定のジャンルで括られないジャンルにならないといけないなって。それがだんだん具現化できてきた気がするんですよね。
――その確信が持てたのは、初のホールツアーでの経験が大きかったみたいだね。
そう。本当にホールツアーでの経験は大きかった。まず最初に意識したのは、いい音楽をいい形で届けるっていうところだったというかね。バンドもただ曲を演奏するというのではなく、すべての楽器がその曲を歌っている感覚にしたかったし、ダンサーも同じで、躍るというよりもその曲を歌うという感覚にしたかった。照明もそうで、一緒にその曲を歌ってほしかったし。ライブハウスでもドームでも、それはスタートでもありゴールでもある形態だと思っているのね。それが、去年の末のZeppツアーでできたと思ったから、ホールを成功させられるなっていう手応えを感じたんだけど。ホールツアーをやることになって意識したのは、削ぎ落とすところを作らなければいけないんだけど、それをどういう風に作っていくべきかって考えたときに、視覚的演出を作っていくべきだなって考えたんです。もっと作り込んでいく方向に持っていこうと思って。視覚的に深読みができる部分を作ったりとか、ダンサーの動きとかも、ライブハウスではダンスとして動きの強いものを持ってきてたところを、ホールツアーではSHOWとしてのクオリティが高い、空気が伝わるようなものの方がいいなと思って考えたりしたんですよね。ライブハウスでのライブは、五感まんべんなく、とにかくグルーヴを止めないっていうところを意識して考えることが多いんですけど、ホールではSHOWアップを1番に考えたというかね。ライブハウスではとにかく曲を止めないことを考えるけど、ホールでは演出だったりSHOWアップしたところを見せようと思ったというか。
SKY-HI 撮影=富井昌弘
――そういう観る側の目線は、どういうところから学んだものなの?
それはね、自分でも分からない。だけど、少なくとも若い頃に、鬼ほどライブを観てきたからなのかなって思う。いいライブも良くないライブもとにかくいっぱい観たからね。クラブ規模で観て面白いと思えるライブと、その距離ではまったく伝わってこないライブと、すごく演出にお金がかかってて面白かったライブと、すごく演出にお金がかかってるけど、そこしか見れなかったライブとか、本当にいろいろと観たからね。そういうのは感覚で覚えているんだと思う。自分自身が、渋谷の5人とか6人とかしかいなかったクラブからのキャリアスタートで、初めてのワンマンが500人くらいのライブハウスだったことを考えると、そこの差だけでも随分違ったからね。5人6人の頃は“来てくれてありがとう”って、ライブ以外のところでもドリンクを自分のお金で御馳走したりしておもてなしできるけど、500人となるとそうもいかないし、むしろみんなドリンク
――なるほど。
ホールツアーは、キャリアの中でのとても大切なものになったんだけど、初めてワンマンをやったときに、やりたいと思った形だったんだよね。それをずっと永遠にやり続ける自信が持てたんだけど、だからこそ、その前にもう一度ライブハウスをまわる必要が会ったから、今回9月からのライブハウスツアーをすることにしたんです。次に何をすべきか? ということを考えはじめて、ライブハウスツアーが1番相応しいんじゃないかって思ったんですよね。ホールツアーで得た確信と自信があって、ずっとやっていけるって思ったからこそ、今一度ライブハウスツアーが必要だったんです。ホールツアーは9本だったから、観れてない人も多かったし。じゃぁ、ホールツアーという形で追加公演をすればいいってとこでもない気がしたんですよね。5月からAAAのツアーをまわって、夏フェスがあって。で、秋だからといってホールツアーを追加公演でまわるよりも、ライブハウスを細かくまわった方が、今SKY-HIを応援してくれてるけど、なかなかSKY-HIが近くに来てくれないっていう人たちのためにも、そっちの方がいいなって思ったんです。いい人だから、みんなのためを思って細かくまわってあげたいっていうことではなく、俺自身もそうしないと、今、SKY-HIについてきてくれてる人たちのことだけを見て、次のステップに行ってしまうと、置いてけぼりにする人たちが多いまま先に進んでいってしまうような気がしたというか。その土地にそんな高いビル建てる!? みたいなことになっちゃうんじゃないかなって思うんですよね。だから、高いビルを建てるなら、まずは更地を買うことが先決というかね。
――分かりやすい例え。
でしょ。今、応援してくれてるけど、まだ観た事ないっていう人たちに、是非観てもらいたいなと思ってね。だって、メジャーデビューして3年経つのに、北海道とか1回も行けたことないし。北海道行っちゃうと東名阪がまわれないとか、そういう環境でもあったから、今回のツアーでは思い切って行っちゃおう! ってことで。東名阪福っていう、いつも行ってる場所の東京以外は、今回、飛ばさせてもらって、普段行けてない土地をまわろうっていうことにしたの。それでも47都道府県ツアーをしない限りは全国は行けないんだけどね。でも、まず、今回のツアーの目的は更地を作ること。しれが『SKY-HI LIVE HOUSE TOUR 2016~Round A Ground~』になるんです。全公演対バン形式で、たった1人でまわろうと思っているんです。
SKY-HI 撮影=富井昌弘
みんなへの想いを歌った「ナナイロホリデー」を1人で届けてきて、またみんなと一緒に歌えると思うと、とんでもなくワクワクする。
――ホールツアーとはまったく違った見せ方になるんだね。
そう。DJはいるけど、あとは俺1人。バックバンドもダンサーもいないライブ。今回は、最新シングル「ナナイロホリデー」を引っさげてのツアーになるんだけど。この「ナナイロホリデー」は、ホールツアーの後に喉の手術をしたことがきっかけで、少し音楽から離れてみて、いろんなことに目を向けられる時間が持てたんです。そうすことで、音楽に対しても改めて向き合えたし、仲間の大切さを改めて知って、それを体現する曲でもあるから。8月にイベントやフェスで、みんなに「オマエ等最高だぜ!」って言ってから、もう一度ライブハウスで戦って、そこからこのツアーのファイナルでもある豊洲PITに向かえたら最高だなと思って。12月の豊洲PITはホールと同じく仲間と一緒にSHOWアップしたステージにしようと思っているんだけど、他は本当にDJと俺の2人っきりでまわるからね。「ナナイロホリデー」は、家の中でいろんな想いを詰め込んで出来上がった曲でもあったし、音楽から離れてみて、音楽を作れることの素晴しさを実感したからこそ生まれた曲だから。その曲が生まれた状態と同じ状態で届けられたらいいなと思ったから、本当に1人でまわりたいなと思ったんです。ギターとピアノを持ってね。
――弾き語り!?
そう。DJも一緒だから、すべての曲が弾き語りというわけではないけどね。今回は唄を届けに行く感じ。移動築地みたいなもの。
――移動築地?
そう。産地直送的なね(笑)。
――あぁ、なるほど(笑)。いままでのライブハウスでのライブとも、まったく違ったものになりそうだね。
うん。まったく違うものになると思う。きっと今回のツアーを観てくれたら、ホールツアーを観てみたいって思ってくれると思う。いや、本当に、俺自身すごく感動すると思うんだよね。少年マンガみたいなんだもん、流れが。ホールツアーが終って、手術して、みんなの存在が自分の中でより大きなものになって、「ナナイロホリデー」が生まれて、「オラ、一人旅に出てくる!」って言って9月からツアーが始まって、12月11日に京都で一旦全国ツアーの一人旅が終って。その日がナント20代最後の日で、30歳最初のライブである12月15日、16日の豊洲PITでみんなと再会して、みんなと一緒にフルバンドでダンサーも含めてこの「ナナイロホリデー」を届けられるっていう。それがすごく素敵だなって。みんなへの想いを歌った「ナナイロホリデー」を1人で届けてきて、またみんなと一緒に豊洲のライブで「ナナイロホリデー」を歌えると思うと、とんでもなくワクワクするんです。それにね、8月6日に『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2016』に呼んでもらってるんだけど、俺の中でこれはリベンジなの。3年前に1回呼んでもらったんだけど、そのときはテントでガラガラな状態の中でライブしたのね。「愛ブルーム」をやったときに、ちょっとだけ人が集まって来てくれた状況だったから。それ以来になるからね、リベンジなの。前はテントだったけど今回はパークで、勝負でもあるそこに仲間達と持っていく曲が、仲間たちのおかげでできた「ナナイロホリデー」であること、そしてそれが、どこか「愛ブルーム」に通ずる楽曲であること。それで3年ぶりにその場所で勝負できるというのも、たまらなくワクワクしているんです。
SKY-HI 撮影=富井昌弘
――おぉ~。ドラマだね!
そうでしょ? 本当にそう思ってる。だから、そこではみんなで思いきり勝負してくるつもり。そこでもう一度みんなとのパワーを感じつつ、9月のツアーに挑めるのもすごく心強いしね。
――素敵な流れだね、本当に。本当にすごくドラマチックだね。でも、「ナナイロホリデー」は歌詞がリアルだったんだなって思ったけど、そこにはそんな想いが託されてたからなんだね。日記に記した言葉みたいな歌詞だったから。
そう。手術のタイミングで、そういうのの整合性がいっぱいとれたの。音楽に生活を圧迫されてたところは正直あったのかなって。好きでそうなってるんだけど、気付かずに、他のことを圧迫しちゃって、いろんなことに対して鈍感になってたのかなって。少し時間を持てたことで、ホールツアーを改めて振り返ることができたし、そこで本当に大切なものに気付けた。それを素直に書いた歌詞になりましたからね。SKY-HIにとっては、とても大きな転機になった1曲でもあるので、是非、聴いてみて下さい。そして、近くに行った際には、是非、SKY-HIに触れてみて下さい。
撮影=富井昌弘 インタビュー・文=武市尚子
2016年7月27日発売
【Music Video盤】CD+DVD
SKY-HI「ナナイロホリデー」Music Video盤
<収録曲>
01 ナナイロホリデー
02 Welcome To The Dungeon
03 ナナイロホリデー (Instrumental)
04 Welcome To The Dungeon (Instrumental)
05 ナナイロホリデー (Acappella)
06 Welcome To The Dungeon (Acappella)
<DVD>
01 ナナイロホリデー (Music Video)
02 ナナイロホリデー (Music Video Making)
【LIVE盤】CD+DVD
SKY-HI「ナナイロホリデー」LIVE盤
<収録曲>
01 ナナイロホリデー
02 Welcome To The Dungeon
03 ナナイロホリデー (Instrumental)
04 Welcome To The Dungeon (Instrumental)
05 ナナイロホリデー (Acappella)
06 Welcome To The Dungeon (Acappella)
<DVD>
SKY-HI HALL TOUR 2016 ~Ms. Libertyを探せ~ @TOKYO DOME CITY HALL (2016.3.13)
・ スマイルドロップ
・ Luce
・ As A Sugar
・ Ms. Liberty
・ クロノグラフ
【CD】
SKY-HI「ナナイロホリデー」
<収録曲>
01 ナナイロホリデー
02 Welcome To The Dungeon
03 ナナイロホリデー (Instrumental)
04 Welcome To The Dungeon (Instrumental)
05 ナナイロホリデー (Acappella)
06 Welcome To The Dungeon (Acappella)
2016.09.20 (火) 福島・郡山Hip Shot Japan
2016.09.23 (金) 島根・松江canova
2016.09.24 (土) 鳥取・米子laughs
2016.09.29 (木) 北海道・札幌cube garden
2016.10.01 (土) 青森・Quarter
2016.10.02 (日) 岩手・盛岡Club Change WAVE
2016.10.04 (火) 群馬・高崎Club FLEEZ
2016.10.09 (日) 香川・高松MONSTER
2016.10.10 (月) 愛媛・W studio RED
2016.10.15 (土) 秋田・Club SWINDLE
2016.11.19 (土) 和歌山・SHELTER
2016.11.21 (月) 兵庫・神戸VARIT.
2016.11.26 (土) 宮崎・WETHER KING
2016.11.27 (日) 熊本・B.9 V1
2016.12.01 (木) 茨城・水戸ライトハウス
2016.12.03 (土) 新潟・NIIGATA LOTS
2016.12.10 (土) 静岡・Live House浜松 窓枠
2016.12.11 (日) 京都・FANJ
2016.12.15 (木) 東京・豊洲PIT
2016.12.16 (金) 東京・豊洲PIT
*ドリンク代別途/整理番号付