MACOがシンガー、そして一人の女の子として全てをさらけ出した2ndアルバム『love letter』を語る

――「love letter」の詞についていえば、個人的には＜すぐに電話をかけてきてくれた＞という一節が特に印象深かったですね。なにしろ、これだけSNSが普及していると誰かに電話をかけるのはハードルが高い行為だと思いますし。この何気ない一節に、“あなた”との距離感が凝縮されているように感じました。

この彼は、“気付いてくれる”人なんですよね。彼女からのメールの文面で、何かを感じ取ったというか。だからこそ、電話をかけたんだと思います。

――MACOさんの描かれる恋愛の情景は、ある意味で日常的なものが多いことも特徴のひとつではないでしょうか。劇的な出来事だの、激しい展開こそありませんが、それだけに何気ない日々の一コマが、丁寧に描写されている印象です。

そうですね。聴いてくれる人たちが「こういうことってあるよね」とか、「この気持ち分かる」となってくれたら、MACOとしては凄く嬉しいです。日常の中にある恋心とか愛情とか、場合によっては嫉妬や心の闇。そういうものを、わたしはこれからも追求していきたいです。

――しかし、そうなると自分の気持ちに対してはもちろんですが、相手に対する洞察力も日々の中で必要となってきそうですね。

実際、よくあるんですよ。「この人、こう言ってるけど本当は何を考えているんだろう？」って、探っちゃうことが（苦笑）。

――歌と恋愛に生きるMACOさんに、敢えてうかがいたいのですが……どんな男性が理想ですか？

優しい人ですね。「MACOだったら絶対そこまでしないのに！」って思うくらいの、自分にはない優しさを持っている人の気遣いに憧れます。「どうして友だちにそこまでするの？」って、たまにイラっと来ることもあるんですけど（笑）、そこも含めてその人の優しさなんだろうなっていうことがわかると、よりその人のことを好きになりますね。

――外見的な好みでいうと？

えーと。それはやっぱり、カッコ良い人かなぁ。でも、最終的にはいつも「大事なのは中味だな。この人の中味が好き」ってなるんです。だから、意外と見た目にはそこまでこだわらないのかもしれない。

――では、一目惚れというよりも、ジワジワと恋心に火が着くタイプだったり？

言われてみると、ジワジワといくことの方が多いです。まぁ、キラキラした王子様みたいなホントにカッコ良い人が目の前に現れれば、すぐにでも一目惚れしちゃうんでしょうけど（笑）。それよりは、中味の素敵な人のことをだんだんと好きになっていく恋愛の方が、自分は好きですね。

――かくして、今回のセカンド・フルアルバムには、MACOさんの描くさまざまなラブストーリーが12編収められています。この作品に、『love letter』と冠した理由も教えてください。

このアルバムは、さっきの「なんで？」っていう疑問を、自分自身にぶつけたアルバムでもあるんです。「なんでMACOはこんなにラブソングばっかり歌っているんだろう？」ってあらためて考えた時に、「そうか。MACOはきっとラブレターを相手に渡せないから、こうやって歌にしているんだろうな」って、そのことに気付いたんですよ。

――つまり、そこがMACOさんにとっての創作に対する原動力なのですね。

自分の身の回りで起きたいろんな出来事や、その時に漂っていた香りや、見えていた風景や、そこで感じた素直な感情。その全てをわたしは忘れたくないんです。歌として、ちゃんと形に残しておきたいんですよ。

――クリエイター魂を感じるお言葉です。

好きな人と話すだけでドキドキしたり、ちょっとしたことで落ち込んだり。なんで恋にこんなにも左右されちゃうんだろうとか、好きな人がいるのに昔の彼のことを思い出しちゃったり、そんな自分はまだまだ青いなって思うこともありますけど（笑）、このアルバムはそういうところまで全てさらけ出した内容に仕上がりました。その分、『love letter』は後々になっても“MACOが何故歌っているのか”を、何度でも思いださせてくれる作品になっていくと思います。

――同時に、このアルバムはMACOさんから聴き手に対しての『love letter』であるのでしょう。

はい、その気持ちも強いですね。MACOのこのアルバムを聴いた人が恋愛をしたくなったり、好きな人にメールとかじゃなくて直接ラブレターを出したくなったりしてくれたら、ほんとに……凄く嬉しいです！
 

インタビュー・文＝杉江由紀　撮影＝菊池貴裕