赤飯の"新バンド"・オメでたい頭でなにより始動の瞬間 歓喜のバカ騒ぎに揺れた新宿ReNYからレポート
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オメでたい頭でなにより
赤飯ワンマン 幸暴分裂ツアー
~赤飯の誕生日にかこつけてすげー幸せに暴れられる奴が増えますように的なこと~ 2016.8.29 新宿ReNY
赤飯がバンド編成で東名阪をまわったツアーのファイナル公演が、8月29日、新宿ReNYにて行われた。この日は直近のアルバム2作からの楽曲を中心にボカロカバーなどの人気曲も網羅しながら、ボーカリスト・赤飯が名実ともに新たなフェーズへ突入したことをはっきりと示すライブとなった。
『赤飯のオールナイト・開場』なるラジオ番組風のアナウンス(もちろん本人が担当)から始まったライブ。軽妙な語り口で自身とバンドにまつわるネタを投下して沸かせ、「P.R.P」などアガるナンバーを流してから暗転。余談だが、放送の終わりにはよくあるスポンサー企業の紹介“風の”アナウンスで関係各所が読み上げられたのだが、このサイト・SPICEもちゃんと(しかも一番目に)読んでもらえました。ちょっとビックリした。そして大歓声の中、幕が上がる。
ミト充(Dr)→324(みつよ)(G)→mao(B)→ぽにきんぐだむ(G/Vo)→そして赤飯(Vo)の順で登場した5人。挨拶代わりのスクリーム一閃、「あれこれそれどれ」からライブがスタートする。メタリックとお祭り感のハイブリッドサウンドに会場のテンションは一気に爆発。出だしで赤飯がマイクトラブルに見舞われるも、オーディエンスが大合唱でフォローし余裕で乗り切るという良い流れ。「お前ら、全力で踊る準備出来とんのか? 全部出し切る準備出来とんのか?」と鼓舞しながら「看板娘の悪巫山戯」、次いで「いーあるふぁんくらぶ」を続け様に披露していく。前の4人が演奏中ほとんどずっと最前線に陣取って、ガンガン煽るため、オーディエンスも観ていて心配になるほどの熱量で前へ前へと押し寄せたり、サークルを作って暴れ回ったりとほぼ狂乱状態だ。
オメでたい頭でなにより・ぽにきんぐだむ
5曲目、彼のライブで長くキラーチューンの座に君臨してきた「骸Attack!!」前のMCで、衝撃的な事実が告げられた。
「今日のライブ、本編はこれでラスト」
!? いやいや、まだ5曲ですけど……と思っていたら、演奏が終了すると本当に幕が下りてしまった。さすがにこれで終わりかぁ……と思った人はほとんどいなかったとは思うが、アンコールが超長いというトリッキーな構成なのかな?くらいに思った人は多かったかもしれない。だが、実際にはそんな予想の斜め上をいく展開が待っていた。幕が下りてほどなく、頭上からスクリーンが降りてくると、そこには「重大発表」の文字。内容を要約すると、活動の幅をもっと広げたい、もっと自分たちのライブを広めていきたい、知ってもらいたいという想いから、バンド名を決定したこと、さらにこの5人で正式なバンドとして今後の活動を行っていく、という告知であった。バンド名はその名も“オメでたい頭でなにより”だ。
オメでたい頭でなにより・mao
ということで、ここからは赤飯あらため、オメでたい頭でなによりのライブがはじまった。maoのファンキーなベースラインがフックとなったミクスチャーロック「ふわっふー」や、某番組風「そうですね!」のコールで大いに盛り上がった「憂き浮きウォッチング」、フロアが真っ二つに分かつウォール・オブ・デスが起こった「ぬりかべ」など、徹底的にハードで、同時に何か色んなものが開放されていくようなフィジカルな興奮が増していく。ミト充が叩き出す怒涛のビートがオーディエンスの身体をガンガン突き動かし、赤飯は持ち前のデスボやシャウトをガンガンくり出しながら絶えずステージ上で躍動する驚異のバイタリティをみせる。リードギターの324はザックザクのヘヴィリフからテクニカルなフレーズまで弾きこなしているし、ぽにきんぐだむはギタープレイはもちろん、コーラスにボーカルにと大活躍で、何より華のある魅せるアクションに余念がない。maoのベースはラウドよりのサウンドに寄り添いつつも、どこか彼の出自であるギターロックやポップスのエッセンスも感じさせ、良い意味でバンドに違いとアクセントを生み出していた。それにしても、彼がこんなハードな見た目の5弦ベースを、しかも心底楽しげに弾き倒す日が来ようとは……オメでたい頭でなにより、さすがである。
オメでたい頭でなにより・三代
中盤にはこの日唯一と言っていいバラードナンバー「パンの唄」、あの名曲が重々しく生まれ変わったカバー曲「さくらんぼ」といった楽曲を配置して起伏をつけながら、ライブは進行していく。赤飯が客席にダイブして歓喜を呼んだ「見習いハーデス」のあとには、なんと赤いサイリウムをライブ中に生販売するという掟破りのパフォーマンスから「おにゃのこきねんび」へ。一斉にサイリウムが場内を染め、先ほどまで肉弾戦が繰り広げられていたフロアがアイドルのライブかと見紛う光景になった。この辺りの振り幅も彼らならではで楽しい。
ここから再度ギアを上げてラストスパートへと突入。ここまで絶えず頭を振り、飛び跳ね、叫び続けたオーディエンスのボルテージもまたさらに上がる。トランスやEDMを飲み込んだポストハードコア「P.R.P」や、轟音の合間にダンサブルなノリが顔を出す「生霊の盆踊り」など、単なるヘヴィロック一辺倒に陥らない楽曲の多様性も見せつけながら、会場中がアッパーカットを繰り出した「大河アッパーカット」、煌々と客電が点く中お祭り騒ぎの様相を呈した「オメでたい頭でなにより」で盛りだくさんのライブを締めくくった。(プレミアム
“新バンド”として我々の前に姿を見せた、オメでたい頭でなにより。何よりも強烈に印象に刻まれたのは、赤飯もメンバーもとにかく楽しそうだったことだ。歌い手として、あるいはバンドのフロントマンとして、過去に赤飯のライブを何度も観たことがあるけれど、そこでの彼はフラストレーションをぶち撒けるようなヒリついた衝動を強烈な推進力として、そのボーカルに宿らせていた。要するに、ある種の"怖さ"があって、それが魅力になっていたように思う。だが、この日に彼がみせたパフォーマンスは激しさこそ以前のままながら、もっともっと陽性の原動力によって突き動かされ、生まれていた。当然、「予想していた5倍」「濃すぎて、嬉しすぎてヤバい」と彼が形容した、すさまじいまでのファンの熱量によるところは大きいだろう。それに何より、最後のMCで赤飯はこう言った。
「こうやってバカやって、騒いで、みんなで笑顔になることがやりたかったんだって、やっと気付いた」
キャリアを重ねてきた中で、ライブ原点に立ち返ったかのような率直な感慨を口にさせたのは、間違いなくバンドメンバーたちの存在であり、こうやって会場に集まるファンの存在だ。オメでたい頭で何よりは、またとびきりヘヴィでラウドで痛快な、バカ騒ぎできるライブを引っさげて戻ってくるに違いない。というかバンド名からして、彼らはそのために生まれ、走り出した存在なのだから。
取材・文=風間大洋
~誕生日にかこつけて幸せに暴れられるやつらが増えますように的なこと~
2016.8.29 新宿ReNY
2. あれこれそれどれ
3. 看板娘の悪巫山戯
4. いーあるふぁんくらぶ
5. ヒューマンエラー
6. 骸attack!!
7. オメでたい後光が指すとき
8. ふわっふー
9. 憂き浮きウォッチング
10. ぬりかべ
11. ジャンクヒンズダンサー
12. 食事
13. パンの唄
14. さくらんぼ
15. 見習いハーデス
16. おにゃのこきねんび
17. wosushi~ウォールオブ寿司~
18. P.R.P
19. Fight For your right
20. 生霊の盆踊り
21. 大河アッパーカット
22. オメでたい頭でなにより
「幸暴分裂ツアー大後夜祭~オメでたいオフショット動画で大応援上映会~」
会場:東京354CLUB(渋谷)
OPEN:18:30 /START:19:00
出演:オメでたい頭でなにより
「Hang out!!」
会場:代官山LOOP
OPEN 18:00 / START 18:45
出演 : オメでたい頭でなにより / Thinking Dogs / PASSPO☆ / Chelsy
「ポニキ生誕祭-地元凱旋ワンマンLIVE-」
会場:大阪 茨木JACK LION
OPEN 18:00 / START 18:30
出演:オメでたい頭でなにより
「LARK LAND」
会場:大阪城音楽堂
OPEN 11:00 / START 12:00
出演:S!N / TOTAL OBJECTION / buzzG feat.夏代孝明 / 上北健 / PENGUIN RESEARCH / オメでたい頭でなにより/ミオヤマザキ
「FreeMoshLicense 5発目~オメでたい頭でなによりvs SEIZE THE DAY~」
会場:吉祥寺CLUB SEATA
OPEN 17:00/ START 17:30
出演:オメでたい頭でなにより/SEIZE THE DAY
2016年11月19日(土)
バックドロップシンデレラ ベストアルバム「BESTです」レコ発ツアー
「ベストなウンザウンザを踊る」
会場:仙台MACANA
OPEN 18:00 / START 18:30
出演:バックドロップシンデレラ / 八十八ヶ所巡礼 / オメでたい頭でなにより(ex.赤飯)