黒崎真音 初ミュージカル挑戦を語る 「ゲームファンの皆さんに最高だったと言われるように」

2016.9.8
インタビュー
舞台
アニメ/ゲーム

黒崎真音 撮影=荒川潤

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人気アニソンシンガー、黒崎真音の初舞台出演作品として話題となっている、ミュージカル『英雄伝説 閃の軌跡』。人気ゲームのミュージカル化であり、演出は舞台『ペルソナ』シリーズや舞台『残響のテロル』、舞台『攻殻機動隊ARISE』の演出を務めた奥秀太郎氏。初舞台でヒロインを演ずる気持ちを聞きたく、黒崎にインタビューを行った。演劇に関して、作品に関しての思い、そして演出奥氏も途中から参加してもらい、今回の見どころをいち早く伺った。

――黒崎さんは9月でデビュー6周年ということで、まずはおめでとうございます。

黒崎:ありがとうございます。

――今回新しい「舞台」という挑戦になりますが、今のお気持ちは?

黒崎:初めてこのお話を頂いた時は、個人的にも6周年という節目に差し掛かってきたところで、自分が今までしたことのない新しい経験、新しい挑戦をしてみたいっていう思いがあったんです。そこでちょうどこのお話を頂きました。

――いいタイミングだったんですね。

黒崎:そうですね。私の中でミュージカルに出させていただくことが、自分の中で目標というか、憧れがあったのですごく嬉しくて。全くの未経験なんですけれど、舞台やミュージカルがすごく好きで、観客として見に行くことが多いので、その気持ちを大事にしながら、自分の中でも新しいことに挑戦して皆さんと素晴らしい物を作れるようになっていけたらいいなと思いました。

撮影=荒川潤

――今回は黒崎さんへの指名があったと聞きましたが、失礼ながら「なんで自分が?」というお気持ちとかありましたか?

黒崎:思いました(笑)。 私は声優として活動しているっていうことでもなく、歌だけでやらせていただいてたので。だから本当に最初は驚きました。ちょうど事務所の方と一緒にいる時にお話をいただいたんですけど、二人共驚いちゃって(笑)。 その後、色々な方とお話をしたんですけど、「未経験なことだから大変だと思うよ」ってアドバイスも頂いたりして、正直考えることも多かったんですけど、それでもやってみたいという気持ちが勝ちましたね。

――普段どういった舞台を見に行かれてます?

黒崎:一番多いのは宝塚ですね……大好きでよく見に行かせていただくんですけれど。

――その他にもプロレスもお好きだと聞いておりますが、好きな団体と選手とかいらっしゃるんですか?

黒崎:新日本プロレスが好きで、中邑真輔選手がお気に入りだったんですけど、アメリカのWWEに行ってしまったので真輔ロスがずーっと続いてて。今は田口隆祐選手と内藤哲也選手がお気に入りです。

――脱線してすみません、ミュージカルや舞台、そしてプロレスまでお好きだということで、いままで鑑賞してきたいろいろなものが表現の栄養になりそうですね。

黒崎:そうですね、例えば宝塚に行った時に、同じ歌が公演の中で何回も流れるんですけど、主人公の心情によって歌い方が違ったり、息遣いが違ったり、全然違う曲にきこえるのが凄く刺激になって。そういったことをライブに活かしてみたりとか、自分にとって糧になるように考えて観ている一面もあったので、そういったところも今回の舞台に繋げていけたらいいなと思っています。

撮影=荒川潤

――改めて今回の舞台で演じる役柄に関してお話を頂ければ。

黒崎:アリサ・ラインフォルトっていうんですけれど、最初はツンとして、ちょっとキツい性格なのかなと思ったんです、でもゲームをやらせていただいて、そこでずっとシナリオを追っていくと、すごく素直な一面があって、ちゃんと自分から謝ることができたり、みんなのために行動できたりとか、すごく真っ直ぐで素直な子だなというふうに思って、そこが凄く魅力的だなと思いました。

――今回奥さんとのお仕事は初めてだと思うんですけれど、奥さんの舞台はご覧になられましたか?

黒崎:先日、ペルソナ4の舞台を見に行かせていただいて、以前もまた別のペルソナの舞台も見に行かせていただいてます。

――ご覧になってどうですか。

黒崎:先日見た『ペルソナ4 ジ・アルティマックス ウルトラスープレックスホールド』では3Dメガネをかけて、映像と舞台が一体とになる生まれて初めての体験だったので、舞台の形も日々進化しているんだなというのをすごく感じました。キャラクターやペルソナが浮き出てきたり。必殺技を使った時に、普通の舞台の場合だとお客さんの想像で補われるものもあるのかなと思ってたんですけれど、映像の技術が組み込まれたことで、アニメやゲームの世界観がよりリアルに目の前で再現されていくという事に凄く感動しました。

――今回の舞台原作であるゲーム、『英雄伝説 閃の軌跡』をプレイした感触はいかがですか?

黒崎:RPGとして、技を組み合わせていくシステムが面白いと思いましたし、音楽もとても美しくて、映像も綺麗でしたし。ストーリーに関わるキャラクターたちが一人ひとり個性的で、特に主要メンバーとなるⅦ組のみんながそれぞれ重大な使命を背負っているというか、テーマが一人ひとりにちゃんとあって。生まれ育ちの違いで最初は反発しあってなかなか1つになれないんですけれど、そういうところがある中で少しずついろんなことをキッカケに、友情が育まれていくところが凄く熱いですね。

――絆システムですね、誰と絆を深めてますか?

黒崎:とにかくアリサちゃんをよく知りたいっていうのと声を聞きたいっていうのがあって、アリサと絆を深めてます。

――それではここで、今回の舞台演出担当、奥秀太郎さんに参加していただきます。

奥:宜しくお願い致します。

――今回のミュージカル『閃の軌跡』なんですけれども、一体どういうものになるかビジョンを教えて頂ければ。

奥:ミュージカルと銘打っているところもあるので、まずは原作の日本ファルコムさんが作った音楽を聞かせていきたいと思っています。最初聞いた時、海外の著名なミュージカルの曲を凌駕するような荘厳な楽曲がものすごく多かったんですよ。あともちろんオープニング曲、エンディング曲とかも正直ゲーム音楽の域を超えた楽曲だったりするので、ゲームのファンは勿論、黒崎さんのファンにとっても楽しんでいただけるようにしたいです。

――本編の楽曲を活かした感じになるわけですね?

:今回は日本ファルコムさんに全面的に協力していただいていまして、アレンジもjdkの方にミュージカル用にアレンジしていただきます。元々ボーカルが入っているものだけでなくて、ミュージカルということですので、それぞれのキャラクターのテーマソングがあったり、それがシーンによってリプライズされたい。『閃の軌跡』ってもともと宝塚などを意識した作りになっていて、非常にミュージカル的な部分が多いんですよ。名曲が粒ぞろいなので、更にそれが黒崎さんに歌っていただくことによって、2倍にも3倍にも化けたらいいなと考えてます。

――歌手としての実力は当然ありますし、そこからミュージカルというもので進化する可能性を感じての黒崎さんキャスティングということですね。

:2.5次元ミュージカルといいますと、僕が今までやってきた「ペルソナ」というシリーズで、特に「ペルソナ3」とかは元々のゲームのオープニング曲を歌ったりすることで、そのキャラクターをモノにしてきた過去があるんです。主演の松村くんもそうですけど、黒崎さんの歌だったり、アニメ、ゲームの登場人物を最大限再現することが従来のブロードウェイ・ミュージカルだったり、ウェストエンドミュージカルだったりを凌駕するような日本の2.5次元ミュージカルの新しい幕開けにしたいですね。

奥秀太郎 撮影=荒川潤

――ちなみに、黒崎さんの宝塚でマイ・フェイバリットの演目って有りますか?

黒崎:『愛するには短すぎる』ですね。ちょっと渋いですかね? 大泣きしながら鑑賞してて。私が見たのは星組の柚希礼音さんが出てた2011年のやつだったんですけれど。

奥:星組がお好きなんですか?

黒崎:そうですね、元々星組が好きで。あとは最近で言うと『るろうに剣心』とか。

奥:自分、宝塚の映像をやらせて頂いてて。

黒崎:えっ?そうなんですね! 存じあげなくてすみません!

――宝塚で奥さんは多くの演目に関わっていらっしゃるということですが、なにか思い出とかありますか?

奥:すごく沢山やらせて頂いてて、お世話になっているんですけれど、非常に短い時間の中で作らなければいけない公演が多くて(笑)。 なかなか睡眠時間のない状態が多いですね。一切お客様に伝わらないですねこれ(笑)

黒崎:全くそんな感じはしなかったですね。完璧でした。

奥:柚希さんで言うと『オーシャンズ11』とか『ナポレオン』とか。

黒崎:『ナポレオン』は公開初日に宝塚大劇場まで見に行きました!これも大好きです。柚希さんの最後の公演ですよね……。

奥:『閃の軌跡』は宝塚に向いてると思うんですよね。こんなに貴族出まくりますしね。なんでこれ宝塚でやらなかったんだろうって。宝塚の方が気づく前にこちらがやれて良かったです(笑)。 宝塚は最近アニメ、ゲームも多く手がけてるので、割とそういう時に映像を使うことが多くて、『戦国BASARA』とか『逆転裁判』とか。アニメ作品だと『銀河英雄伝説』とか。昔では出来なかった映像を使う場面が多くなって、色々やらせていただく機会も増えましたね。まだまだ「それが出来るの?」って思うような部分を手掛けていければと思うところもありますね。

『英雄伝説 閃の軌跡』 (C)Nihon Falcom Corporation / (C)The Legend of Heroes Musical Partners

――なるほど。今作に関してはまだ製作段階という情況だと思うんですが、 現場の状況を聞かせていただけますか?

奥:映像を中心に、実験と試行錯誤を繰り返しながら進めている状態です。今回は従来の作品と同じく3Dを使うと思うんですけれど、この前の『ペルソナ』でキャストを3Dで出演させるという荒業を使い始めたんですが、今回もいろんな形で3D撮影した人物だったり、様々なトリックを使えたらいいなと。ミュージカルとしては多分本邦初なんじゃないかな。

――ストーリーはどんな感じなんでしょう。

奥:『閃の軌跡』は見た目に比べて話が重たいというか、激しいお話だったり重厚な背景があったりするので、前述したように宝塚チックなんですよね、貴族と平民が居て。黒崎さんが演じるアリサで言うと、軍需産業の中核に居る非情な母親の娘だったりして、その会社が大量殺戮兵器を作ってしまって、それに反対するおじいさんと母親の対立だったり、確執の中でおじいさんがいなくなったり。その兵器がテロリストに悪用されて……というドラマチックな展開があって。それ以降もいろいろ仕掛けが多いんですよ。

――ファルコム節というか、多彩な話が入り組んでますね

奥:ファルコムさんのゲームに昔からはまっていたユーザーの一人なので、30年前の自分に「将来仕事で関わるよ」って教えてあげたいくらいですね。

――奥さんから見た黒崎さん演じるアリサのキャラクターに関してお聞かせください。

奥:最初はツンデレの象徴だったりもすると思いますね。自分が家を飛び出したと思っているけど、実は親の学校に入ってるだけだったりとなかなかにコミカルなところもあり。ただ、だんだん友情や恋が芽生えていく感じがラストで凄く涙腺に来るものがあるんですよ。今黒崎さんにアリサの絆を深めてもらってるのは非常に大事で……まあこの続きは言えないんですけれども(笑)。

――確かにそうですね(笑)。

奥:さっき言ったような貴族と平民との軋轢がありつつも、特殊能力を持ったⅦ組が結成されるんですが、その人達に襲い掛かってくる試練があって。自分たちの仲間、友情、絆を試される瞬間が多々あって、貴族の親が平民の子供を理由をつけて投獄したりするのをみんなで助けに行ったりとかいうところもあるし、ゲームとしてはすごく深いと思いますね。逆に言えばゲーム・アニメだからこそ出来る、メジャー感を持ちつつも展開する骨太なストーリーがあるので、それを舞台に出来るのは僕としても非常に楽しみです。原作を知ってる方は勿論ご存知の楽しみなシーンとかも有りますので、楽しみにしていただきたいですね。

――黒崎さんはこれからそのシーンを知ることになるわけですが。

黒崎:そうですね、アリサは最初の頃に主人公と最初の実習で喧嘩になったりツンが強くて、最初部活に何回行っても口を利いてもらえなかったり。その時は「この子かなり強烈なツンの持ち主だぞ」って思ったんですけれど、実はそういった中でもアリサは自分の中で「どこかで謝らなくちゃ」って考えていたり、お互い謝るシーンが有るんですが、そこがすごく彼女の魅力が出ているシーンだなぁっと思って。人気があるのも分かりましたね。

奥:彼女は弓使いなんですけれど、最初は主人公リィンに弓を向けるシーンが多いんじゃないかな(笑)。でも、アリサとリィンの二人が高原で夜空を見上げているシーンなどすごく素敵なシーンが有るので、そういうところは新曲を作って、アリサの気持ちを伝える曲とかできたらいいなと思ってます。

撮影=荒川潤

――原作未プレイの方も楽しめる舞台になると思うんですが、そのあたりの意気込みを。

奥:未プレイの人もご覧いただけたら世界観だったりとか、ゲームに興味を持ってもらえると思います。もちろんゲームをやった方もものすごく楽しんでいただけるような、ハマってもらえるような作品にしたいなと。

――黒崎さんの現時点で伝えていきたい、舞台で魅せたいことってなんでしょうか。

黒崎:そうですね、映像の面ですとか、新曲ができたりとか、色々新しい試みがあると伺えたので、 原作が好きな方も、新たな『閃の軌跡』を楽しんでいただけると思います。重要な役をやらせていただけるので、そこを精一杯、自分がアリサになった気持ちで演じきれるように、頑張りたいと思います。

――黒崎さんは歌ですけど、男性陣はどのような役者さんが揃うのでしょうか?

奥:男子はフィジカル系ですね。リィンの松村くんは戦国BASARAの舞台で真田幸村をやってますし、そういう意味では日本刀も凄く似合うだろうし、殺陣が凄い得意なので。リィンとユーシスの二人は凄く汗をかくと思いますよ。

――役作りはこれからですよね。

黒崎:先日資料を頂いて、動画をまとめたものとかもいただいたんですけれども、自分でゲームをやらせていただきながら一歩一歩進めています。出来ることなら自分でクリアまで持って行きたいんですけれど……。戦闘のレベルが最初に「かんたん」とか選べるのがありがたくて。一番簡単な設定で進めているので、割りとポンポンと進めている状態です。キャラ作りとしては、アリサは凄く華奢で可愛い女の子なので、とにかく太らないようにしないといけないなって(笑)。後は女の子らしいしぐさとか、ちょっとずつ意識して、舞台で「あ、アリサだ」とみんなに思ってもらえるように頑張りたいです。金髪ですし。そういえば舞台ではウィッグを使うんですか?

奥:演者さんによってはウィッグを嫌う方もいるので、この前の「ペルソナ」だと殆どの演者さんが地毛でやってたりとかしてますね。

――黒崎さんはどうします?

黒崎:ウィッグのほうが雰囲気出るような気もしています。

奥:動く役者さんはウィッグを嫌うんですよね。黒崎さんは歌がメインですけれど、なんだかんだで結構動いていただくと思うので。

黒崎:なるほど! ALTIMAではウィッグをかぶってやっていたので、そこら辺は大丈夫かもしれません(笑)。どちらが一番ふさわしいか改めてご指導いただければ……。

――思わず演出とのミーティングにもなりましたが(笑)。 最後に、読者の方へメッセージを。

黒崎:本当に初めての挑戦になるんですけれども、この作品をプレイさせていただいて、本当にたくさんのファンがいらっしゃる作品なんだなというのを感じたので、ファンの皆様に「今回の舞台最高だったな!」って思ってもらえるような舞台にしていきたいですね。他のキャストの皆さんとも息を合わせて、素晴らしいものになるよう精進していきたいので、是非楽しみにしていてください!

撮影=荒川潤


インタビュー・文=鶴岡八幡 撮影=荒川潤
 

公演情報
PREMIUM 3D MUSICAL『英雄伝説 閃の軌跡』​

■公演期間:2017年1月8日(日)~1月15日(日)
■会場:Zeppブルーシアター六本木

■スケジュール:
・1月8日(日)15:00
・1月9日(祝)14:00
・1月11日(水)18:00
・1月12日(木)13:30
・1月13日(金)18:00
・1月14日(土)13:00/18:00
・1月15日(日)12:00/16:00
料金:S席:7,900円(税込)、A席:6,900円(税込)
■一般発売日:2016年10月15日(日)10:00~
■取扱プレイガイド
・イープラス:http://eplus.jp/sen/
(ファミリーマート店内Famiポートでも直接販売)

■演出:奥秀太郎
■脚本:井上美緒
■音楽:Falcom Sound Team jdk
■出演:リィン・シュバルツァー:松村龍之介、アリサ・ラインフォルト:黒崎真音、エリオット・クレイグ: 中村嘉惟人、
ユーシス・アルバレア:友常勇気、マキアス・レーグニッツ:畠山遼、ガイウス・ウォーゼル:岸本卓也、
フィー・クラウゼル: 梅田悠、ラウラ・S・アルゼイド:楓、エマ・ミルスティン:柴小聖、サラ・バレスタイン:吉川 麻美、
ギデオン:白柏 寿大、シャロン・クルーガー:藤岡 沙也香、イリーナ・ラインフォルト:花奈 澪、
アンゼリカ・ログナー:青木 志貴、ヴィータ・クロチルダ:RiRiKA 

■製作:The Legend of Heroes Musical Partners
■舞台公式サイト:http://www.negadesignworks.com/sennokiseki/

 
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