Crossfaith主催『ACROSS THE FUTURE』で4組の猛者たちが提示した“未来の向こう側”

レポート
音楽
2016.9.21
Crossfaith Photo by cazrowAoki

Crossfaith Photo by cazrowAoki

画像を全て表示(15件)

「未来の向こう側」をテーマに、ジャンルの壁はもとより国境や国籍をも越えることを目的として開催しているCrossfaithの主催企画シリーズ『ACROSS THE FUTURE』。今年2月には2年ぶりの開催を果たした本イベントだが、そのステージで公言した通り、今月には東名阪3大都市でのツアー形式となり再びやってきた。このたびレポートする9月10日開催の追加公演を含め全4本に出演したのは、公私ともに付き合いがあるというNOISEMAKER(日本)。フロントマン同士が互いのアルバムに参加するなど相思相愛の仲であるEARTOOTH(米国)。何度も海外で一緒にツアーをまわっている盟友的存在ENTER SHIKARI(英国)。Crossfaithと深い繋がりのある3組が集結した。

Crossfaith Photo by cazrowAoki

Crossfaith Photo by cazrowAoki

とはいえ、ここが温い馴れ合いの場などではないのだということを、トップバッターのNOISEMAKERが先陣切って証明してみせる。高くジャンプしたり、歌声を張り上げたりしながら熱量を急上昇させるフロアを前に、AG(Vo)は「ロック好きな人、ライブ好きな人、全員まとめて相手するからかかってこいよ!」と頼もしく宣言。バンド名に象徴されるようにヘヴィな音楽ではあるが、各楽器の役割をしっかり整理しながらクリアに鳴らしているため、歌メロが自然と浮かび上がってくる。ハードでありながらも、繊細。一見相反する要素を擁するそのサウンドは「海外で闘ってきたアイツら(Crossfaith)に、日本のバンドの、日本のキッズのカッケーところを見せてやろうぜ!」(AG)という自身の言葉のとおり、日本のバンドならではの美しさを体現していた。そして「壁っていうのはいつだって当たったら痛いもんだけど、俺らは何度でも立ち上がっていくんで。君らもそういう壁にぶち当たったら、また泥臭いロックバンドを観に来て、一緒に立ち上がろうぜ!」と、新曲「Something New」をこの場に集ったいくつもの闘志と共鳴させて、終了。


NOISEMAKERからバトンを託された2番手はBEARTOOTH。バンドの肉体性と衝動を剥き出しにしたような、ゴツゴツとした男らしいサウンドでオーディエンスの感情を一気に昂ぶらせる。フロアへ向かって何かを語りかけるときも、もちろん歌うときや演奏をするときも、血管がブチ切れてしまうんじゃないかと思うほどのテンションのメンバーたち。そうして前のめりにオーディエンスと対峙しながらも、1曲目の「THE LINE」から早速「Jump!」と煽ってみせたり、会場みんなでカウントをしてから曲に突入したり……と相手からのリアクションを存分に楽しんでいるようだ。会場の熱量が最高潮に達したタイミングで投下された「ALWAYS DEAD」にて「Dead」コールが響きわたると、Caleb Shomo(Vo)は「We love you so much!」と喜びを露わにした。ラストの「BODY BAG」には音源でフィーチャリングしたCrossfaithのKenta Koie(Vo)が登場! 国籍とか性別とか誰々のファンだとかそういうことは関係なしに、人々が笑顔でもみくちゃになっている。この景色こそが『ACROSS THE FUTURE』にしか生み出せないものなのだ。


幻想的な照明と近未来的なSEによるオープニングが印象に残ったのはENTER SHIKARI。ハードコア、メタル、ダブステップ、レイヴ……など様々なジャンルを掛け合わせたサウンドは、鮮やかな歓喜、沈むような寂寞、とげとげしい怒り……と、1色では表せない人間の感情に似ている。趣向を凝らしたアンサンブルで聴き手の頭上に「!」を浮かばせるだけではなく、音数を減らしてボーカルのシンプルな魅力を聴かせるパートがあったり、どの楽器の旋律にもうっとりするような歌心が感じられたりするのも流石である。今年2月にはロンドンの展示場兼宮殿「アレクサンドラ・パレス」(キャパシティ7000人クラス)にてライブを行った彼ら。天高く突き抜けるだけでなく、底の見えない奥行きをも兼ね備えたサウンドは、あっという間に赤坂BLITZをまるごと呑み込んでしまったのだった。個人的には、フロアに巨大サークルが発生するなかメンバーも楽しげな空気でステップを踏んでいたこと、それから、Chris Batten(Ba)やRob Rolfe(Dr)が「エンターシカリデス!」「キミタチ、チョーサイコー!ウツクシイ!アイシテル!」と日本語で伝えてくれたことも何だか嬉しかった。

Crossfaith Photo by cazrowAoki

Crossfaith Photo by cazrowAoki

Crossfaith Photo by cazrowAoki

Crossfaith Photo by cazrowAoki

そして、満を持してトリを務めるのはもちろんCrossfaith。メンバーが順番に現れるなか、最後に登場したKoie(Vo)は真っ赤なフラッグを振りながら「赤坂!『ACROSS THE FUTURE』最終日、ぶっ飛ばしていくぞ!」と宣言。「We Are The Future」開始とともにスモークが轟々と噴き上がり、オーディエンスも拳を振り上げた。とにかく、音から感じる気迫がすごい。ライバルであり同志でもある3組の熱演に感化されるように、さらに彼らの想いもまとめて背負うかのように、渾身の演奏を繰り出すメンバーたちである。続く「Jagerbomb」の頃には既にフロアが凄まじいことになっていたが、ミラーボールとビビッドカラーの照明が昂揚感を後押しする「Devil’s Party」、さらにBEARTOOTHのCaleb Shomoも登場した「Ghost In The Mirror」と続くものだから、会場の熱量は上がっていくばかりだ。鼻の奥が痺れるほどの重量感あるサウンドには、ステージに立つ者としての気合いと誇りが漲りまくっている。

Crossfaith Photo by cazrowAoki

Crossfaith Photo by cazrowAoki

Crossfaith Photo by cazrowAoki

Crossfaith Photo by cazrowAoki

後半戦突入後も勢いは増すばかり。Tatsuya(Dr)が凄腕ソロで歓声をさらったかと思えば、フロアでは無数のタオルが大旋回し、4バンドのボーカル陣がゴムボートやらダイブやらで観客の頭上へ突っ込んでいく。なかなかカオスな空間が出来上がるなか、極めつけには、合図に合わせてオーディエンスが一斉にジャンプ! 沸騰状態と呼ぶべき熱狂の渦中で、Koieはこう語り始めた。「洋楽に憧れるだけじゃなくて、日本の誇れる部分と海外で見てきた光景、それを混ぜてマッシュアップしたい。最近はフェスが増えてきたけど、そのフェスたちと、『ACROSS THE FUTURE』との大きな違いは、俺たちバンドがけしかけてるっていう部分。大人の力でやってるフェスには負けたくありません。俺たちに夢を預けてください」――本編ラストを飾ったのは「Revolution」。語られた信念を裏打ちするような堂々たるサウンドと、ともに響くオーディエンスの歌声が、革命の鐘として鳴りわたったのだった。

Crossfaith Photo by cazrowAoki

Crossfaith Photo by cazrowAoki

Crossfaith Photo by cazrowAoki

Crossfaith Photo by cazrowAoki

Crossfaith Photo by cazrowAoki

Crossfaith Photo by cazrowAoki

アンコールで発表されたとおり、来年にはワンマンツアーを開催するCrossfaith。今年は7月に4年ぶりのアジアツアー(『New Age Warriors Tour 2016 : ASIA』)、9~10月に全27公演の国内ツアー(「New Age Warriors Tour 2016」)、それらの合間に『ACROSS THE FUTURE』……と、ベクトルの異なるライブを重ねているだけに、バンドにとっても刺激的な日々となっているに違いない。もちろん『ACROSS THE FUTURE』のさらなる発展にも期待したいが、まずは来年、さらに逞しくなったこのバンドと再会できることを楽しみにしていたい。


取材・文=蜂須賀ちなみ 撮影=青木カズロー

Crossfaith Photo by cazrowAoki

Crossfaith Photo by cazrowAoki

Crossfaith Photo by cazrowAoki

Crossfaith Photo by cazrowAoki

Crossfaith Photo by cazrowAoki

Crossfaith Photo by cazrowAoki

Crossfaith Photo by cazrowAoki

Crossfaith Photo by cazrowAoki

Photo by cazrowAoki

Photo by cazrowAoki

ツアー情報
New Age Warriors Tour 2016
9/14 (水) - 柏PALOOZA
9/15 (木) - 水戸ライトハウス
9/17 (土) - 盛岡CHANGE WAVE
9/18 (日) - 郡山CLUB #9
9/19 (月・祝) - 仙台RENSA
9/22 (木・祝) - 旭川CASINO DRIVE
9/24 (土) - 帯広MEGA STONE
9/25 (日) - 札幌PENNY LANE24
9/28 (水) - 新潟LOTS
9/29 (木) - 長野CLUB JUNKBOX
10/01 (土) - 金沢EIGHT HALL
10/02 (日) - 京都MUSE
10/04 (火) - 松山W Studio RED
10/06 (木) - 熊本DRUM B.9 V1
10/07 (金) - 福岡DRUM LOGOS
10/09 (日) - 長崎DRUM Be-7
10/10 (月・祝) - 広島CLUB QUATTRO
10/12 (水) - 米子laughs
10/13 (木) - 岡山YEBISU YA PRO
10/15 (土) - 神戸太陽と虎
10/16 (日) - 静岡 SOUND SHOWER ark
10/18 (火) - さいたま新都心 HEAVEN'S ROCK VJ-3
10/19 (水) - 横浜F.A.D YOKOHAMA
10/22 (土) - 高知X-pt
10/23 (日) - 高松OLIVE HALL
10/25 (火) - 堺東Goith
10/29 (土) - 沖縄桜坂セントラル
New Age Warriors Tour Final Series
2017年1月7日(土)Zepp Nagoya
open 17:00 / start 18:00
1Fスタンディング¥4,300(税込) / 2F指定¥4,300(税込)
(問)サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
2017年1月9日(月・祝)なんばHatch
open 17:00 / start 18:00
1Fスタンディング¥4,300(税込) / 2F指定¥4,300(税込)
(問)GREENS 06-6882-1224
2017年1月14日(土)福岡・DRUM LOGOS
open 17:00 / start 18:00
スタンディング¥4,300(税込)
(問)キョードー西日本 092-714-0159
2017年1月22日(日)札幌・PENNY LANE24
open 16:00 / start 17:00
スタンディング¥4,300(税込)
(問)SMASH EAST 011-261-5569
2017年2月4日(土)幕張メッセ イベントホール
open 17:00 / start 18:00
アリーナスタンディング¥5,300(税込) / スタンド指定席¥5,300(税込)
(問)H.I.P. 03-3475-9999
シェア / 保存先を選択