WEAVERが見ている新たな地平 初の両A面シングル「S.O.S. / Wake me up」について訊く

インタビュー
音楽
2016.10.17
WEAVER  撮影=大橋祐希

WEAVER  撮影=大橋祐希

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アルバム『Night Rainbow』のツアーで、ピアノロックバンドの常識を覆すアクティブで新鮮なイマジネーションに富むライブを見せ、ダイナミックに変容を続けるWEAVER。そんな3人の初となる両A面シングルでは、シンセポップや現行のダンスミュージックとの共振をうかがわせるブライトな楽曲を堂々と完成させた。今回は今後に向けてさらなるステップボードになりそうなこの「S.O.S. / Wake me up」、そして12月に初めて開催するバンドの自主企画イベントについて聞いてみた。ライブ表現の新しさを求めて、結果、日本のバンドシーンでは稀有な存在になりつつある今のWEAVERが見ている地平は、相当高くて音楽的だ。

――最初に。ずいぶん前になりましたが、前回のホールツアー『Draw a Night Rainbow』、素晴らしかったです。演出はもちろんミュージシャンとしての身体性をすごく感じました。

杉本雄治(以下、杉本):ありがとうございます。今まで以上にスタッフさんたちとチーム一丸となってやれている感覚がすごく強くて。それはあるスタッフさんが「WEAVERの楽曲があるから、私たちもこういうもの作りたい、見せたいと思えるんだよ」って言ってくれて。今まで、どうしても自分たちでどうにか変えていかなきゃ、新しいことやっていかなきゃって、必死にもがいていた部分をそっと背中を押してもらえた感じがあって。誠実に自分たちがやりたい音楽をやっていたら、それをよりよく伝えてくれるスタッフさんが自分たちの周りに集まってくれたんだなぁって思ったんです。その中でリラックスして、いい意味で余裕を持って回れたツアーでもあるので、そういう部分で演奏も今まで以上に自由度を増すことができたんじゃないかなと思います。

――ひとつ達成して、良いムードでこの夏を過ごしたんじゃないかなと想像するのですが、今回のシングルの制作はいつ頃だったんですか?

杉本:レコーディング自体は1ヶ月前ぐらいだったんですけど、曲自体はそれぞれできた時期はバラバラで。今回両A面ってことで、2曲の中ではまず「Wake me up」が、『Night Rainbow』をリリースした直後ぐらいには出来ていて。クラブミュージックだったり、ダンスミュージック、80年代のシンセ的なポップサウンドだったり、そういうのを色々と模索した中で作ったアルバムの先に出来た、頭の中に浮かぶイメージに一番近い曲になったんじゃないかなと思います。今自分が一番自信を持って伝えられる曲ですね。

――「Wake me up」が完成してから「S.O.S.」に着手したんですか?

杉本:全然時期は違っていて。「Wake me up」は、ライブハウスツアーですでに披露していたんです。で、そのライブハウスツアーの最中ぐらいに、このアニメのお話をいただいて、そこに向けて曲を書こうというところで「S.O.S.」が生まれました。

――アルバムよりもさらに今の王道のポップというか、ビルボードのナショナルチャートに存在していそうな楽曲で、いい意味でてらいがないなと。

杉本:ありがとうございます。

WEAVER・杉本雄治  撮影=大橋祐希

WEAVER・杉本雄治  撮影=大橋祐希

――「S.O.S.」はさらにシンセサウンドが前面に出ていて。どういう順番でできたのか興味深かったんですよ。

杉本:「Wake me up」ができたからこそ、より踏み込めた曲になったんじゃないかなと思います。今回この2曲は少しアレンジに携わってくれてる方でレノっていうフィンランドのアーティストがいるんです。もともとこの曲は80年代のシンセサウンドを意識して作ってたんですけど、そこでただ懐かしいだけで終わらない今のダンスミュージックの音にしたいという部分で、彼のテイストを混ぜてもらって。すごく面白いものができたんじゃないかなと思います。

――アルバムの時点でも、すでにロックバンドの縛りはなくてポップな曲を作っていたと思うんですけど、さらに突き抜けた感がありました。

杉本:CDがどうこうっていうより、ライブでどう見せるかっていう時代だと思っていて。その中で僕たちが“どういうライブをしていくか”というところで、今流行っているEDMとかダンスミュージックで、クラブで踊ったり、お酒を飲みながら好きに楽しんでくれている……そういう人たちが好きな空間と僕たちが目指している空間が、少し似てるところがあるなと思ったんです。それで必然的に、ライブの楽しみ方としてもクラブミュージックの音っていうのは、自分たちの中に取り入れていきたいなと思っていて。それが形になってきているということを証明できるシングルになっているんじゃないかと思います。

――ダンスミュージックの中でも、どういうバランスで融合すればWEAVERらしい着地点になると思いましたか?

杉本:EDMはもうだいぶ変わってきてるのかなと思いますし、最近はトロピカルハウスっぽいものが流行ってきてますよね。だから音で埋めるというよりも、最近は隙間を楽しむダンスミュージックも増えてきていて。でもどちらの音楽にも共通するんですけど、やはりDJで回す人が多くて、全部打ち込みで作るものが多いなと。その中にも生の部分というか、洋楽だったら80sっぽい音楽をバンドでやってるっていうのが最近すごく多くて。それを日本でもやったらすごく新鮮なんじゃないかな?という思いがあったんです。

――なるほど。

杉本:エレクトロミュージックでフライング・ロータスとかもすごく好きで聴いていて。なんで好きかっていうと、打ち込みでやってる部分があるんですけど、あれをバンドでやってみたら面白いんじゃないかなと思ったんです。畑の違うところでやっているものからの良い影響ってたくさんあるので、それを僕たちが形を変えたらどういう化学反応が起きるのかな?というところでワクワクするのもありますし。だから必然的にWEAVERで鳴らすと、WEAVERらしいけど新しいものが生まれるんじゃないかな?って思っていて。そういう新しいEDMであったりとか、新しいダンスミュージックの要素を入れてたりしますね。

――そもそも論なんですけど、WEAVERがダンスミュージックに傾倒していった経緯っていうのは、結局踊ることって人間にとって自然なことだからなんですかね?

杉本:うーん、でも踊るってことがあまり日本人の中に染み込んでない部分だと思っていて(笑)。

――確かにライブシーンには馴染みがないのかもしれないですね。

杉本:そうですね。でも僕たちがライブの中で目指したい楽しみ方っていう部分で自然と結びついた部分だと思っていて。だからダンスミュージックを意識してるというよりかは、ライブの楽しみ方っていう部分ですごく通ずるものがあったというか……共鳴する部分があったので、そこに導かれたのはあると思います。

――今回の「S.O.S.」は聴いた瞬間にパッと開けるような曲ですが、歌詞に関して河邉さん的にはどんな心情を?

河邉徹(以下、河邉):「S.O.S.」はメロディが先にできていたんですけど、今回アニメのオープニングテーマであることが決まっていて、原作を先に読んで歌詞を書いていきました。一番最初にできたものは、僕もその世界観に浸ったのちに書いたもので、アニメのファンの方により楽しんでもらえるものになったと思いました。でもWEAVERのチームで話し合った時に、今のWEAVER……『Night Rainbow』の先を行く時に、もうちょっと別のアプローチのものがあるんじゃないかという話になったので、書き直したんです。歌詞って答えがないものだから、一つのメロディに対して7種類の歌詞を書いて、それでみんなで「この中やったらどれが一番近いかな?」っていう話をして。その方が何もない中で何がいいかな?という話をするより「こういうものが近いんじゃないかな?」って話ができていいんですよね。今までなら僕個人が「一番いい」と思って他に出さなかったものも、次のWEAVERとしてはいいんじゃないかな?という風に選んでいけたので、僕一人でできなかったものが、この「S.O.S.」では書けたんじゃないかなと思います。

WEAVER・河邉徹  撮影=大橋祐希

WEAVER・河邉徹  撮影=大橋祐希

――言葉にできないことがあっても「君の味方だよ」って言われているような印象がある歌詞になっていて。

河邉:そうですね。ライブの時とか、ファンの方の顔を思い浮かべながら書いてたんですけど、やっぱりみんなそれぞれ人に言えない悩みとか抱えていて、そういうものを見つけ出してあげるよというか、救ってあげるよ、という歌詞を書けたらいいなと思って。今回、応援歌というか誰かの背中を押せるような歌にしようよっていうのはみんなで決めていたことなので、そういう歌詞にしました。

――WEAVERの曲の歌詞としては相当わかりやすいですね。

河邉:そうだと思います。例えばAメロとかサビで英語の歌詞が出てくるんですけれど、今回のサウンドとかメロディとすごくマッチしたんじゃないかなと思っていて。こういうものを“次のWEAVER”として選べたのは良かったんじゃないかと思います。

――杉本さんも歌っていてスムーズな感じですか?

杉本:はい。サウンドが必然的にデビューしてからどんどん変化してきている部分があって、僕たちも歳を重ねてきて、そこに合う言葉遣いだったり、世界観をもっと大事にしたいよねっていう話を今まで以上にスタッフさんを交えて話すことが増えてきたので。語尾一つで、表現したいことの意味合いが変わってくるんだなっていうことは、今回の話し合いの中で感じることができました。なので、今の自分の年齢に相応しい言葉に近づいたんじゃないかなというのはすごく感じます。

――「頑張れ」って言うんじゃなくて、ある程度大人の表現ですよね。

河邉:そうですね。「S.O.S.」という言葉がみんなに気に入ってもらえたのは、そういうキャッチーなところがあったんじゃないかと思います。あと、大サビのところの<平気な顔 大丈夫さって ホントの気持ち 見つけてみせるよ>の部分は、杉本からの「繰り返し同じ言葉を入れて欲しい」という要望を聞いた上で書いていって。<逆さまでも伝わるよ>は、この“S O S”という言葉自体、逆さまにしても伝わるというところと、隠してても見つけられるよ、という意味で書いたんです。

――アレンジの面ではいかがでしたか?

奥野翔太(以下、奥野):ベースは、スラップをする時ってパフォーマンスとして見せることが多かったりするんです。「Wake me up」と「S.O.S.」で、杉本がデモを作ってくる段階で入れてたスラップの音は、パフォーマンスとしてじゃなくて、パーカッション寄りというか、リズムの一環として必要だっていう感じでアレンジに組み込まれてて。R&Bの要素が含まれた曲だからこそすごく意味があるというか……さりげなく曲を引き立てるためのテクニックであったり、フレージングなので。あとメジャーコードではあるんですけど、全体的にメジャーメジャーしすぎるとチープに聴こえるんじゃないか?という不安もあって。イントロのコード感をちょっとだけ濁らせた感じのコード感にしてみよっか?といった試行錯誤や微調整をして、細かい部分は実はふんだんに散りばめられていて。そういうのが曲全体のアレンジに生きてるのかなと思います。

WEAVER・奥野翔太  撮影=大橋祐希

WEAVER・奥野翔太  撮影=大橋祐希

――そして、12月には初めての自主企画がありますね。

杉本:対バンをやりたいなっていうのは、2~3年前から話していて。僕ら自身、あまり対バンをやってきていなかったんです。それがいい部分もあったんですけど、やはりどこか内にこもっていた部分があったので、今ようやく自分たちの鳴らしたい音が定まってきていて。自信を持ってライブを届けられるようになってるので、このタイミングでもっとバンドのつながりも作っていきたいですし、まだまだ届いてない人たちにも自分たちの音楽を発信していきたいなという気持ちもすごく強くなったんです。まさに今、それがこのタイミングだなぁということで、今回このイベントを組みました。

――今回、ゲストのバンドに共通しているものがあるとしたらなんでしょう?

杉本:どこか共鳴する部分があるだろうなと感じたアーティストばかりなんです。実際、どのアーティストのライブも観に行って、一緒にやりたいなと思ったんです。

――じゃあそれぞれのバンドについて一言感想をいただけたらなと思います。

杉本: BIGMAMAに関してはバイオリンも入ってますし、結構クラシックを題材にしてやってる楽曲もたくさんあって、そういう部分でピアノの世界観と通じる部分はあるんだろうなってすごく感じてます。僕も実際ライブを観て感じましたし、楽曲に幸福感があるというか、すごくキラキラしていて、それはWEAVERと通じるものがあるなぁと思って。もしかしたらお客さんのノリ方がちょっと違う部分があるかもしれないですけど、でも音楽的にはすごく通ずる部分があるなと思ったので、是非やらせてもらいたいなと思いました。LAMP IN TERRENはA-Sketch(所属レコード会社)の後輩なんですけど、歌が中心にあってすごく切なさもあり、その中に力強さもあって、僕たちが根っこに持ってるJ-ROCK、J-POP、歌を聴かせる部分っていうのが芯にあるバンドだなと思ったので。後輩ということですごく僕たちも燃えます。

――すごく明快ですね。

杉本:andropはデビュー時期が近かったんですけど、イベントとかで一緒になることもなくて、音源だけチェックしていたんです。それで音源を聴いてるときからすごく気になってて。今回こういう対バンをやりたいなぁという話になった時、まずライブを観ておきたいなと思って、5月にライブを見に行ったら……最近はあんまりやってなかったみたいなんですけど、デビュー時から映像を使って楽曲の世界観を表したりしていて、それは僕たちが最近のライブで取り入れてる部分なんです。演出だったり照明だったり、そういう部分も含めて楽曲の世界観を彩るっていう共通点はすごくあって。ライブの雰囲気だったりお客さんの楽しみ方も近い部分があります。雨のパレードは個人的に僕が大好きな音なんです。単純に鳴らす音が好きですし、洋楽的な部分をこのバンドも掘っている部分がたくさんあって。ファッションも音楽のあり方に通ずる部分がすごくあるんです。ファッション含めて一つのカルチャーというか。そういう部分でもっとお互い知りたいなというところで、今回お誘いしました。

――このイベントの開催を知った時にバンドの状態がいいというか、おおらかな気持ちでやってるんだろうなと思いました。

奥野:そうですね。今回アニメの曲も決まってますし、12月のイベントもですし、どんどんいいライブをやって少しずつ成長していく感じもするので。そういうところをみんなにも見てもらいたいなということで、外に広げていけるような年末、そして来年にしていければなと思います。


取材・文=石角友香 撮影=大橋祐希

WEAVER  撮影=大橋祐希

WEAVER  撮影=大橋祐希

 
リリース情報
「S.O.S. / Wake me up」
発売日:2016年10月19日
初回限定盤

初回限定盤

通常盤

通常盤

初回限定盤:CD+DVD AZZS-50 / ¥1,800(tax out)※EPサイズ紙ジャケ仕様
通常盤:CD AZCS-2055 / ¥1,200(tax out)※特典「うどんの国の金色毛鞠」描き下ろしイラストワイドキャップステッカー

CD収録曲:
M-1.S.O.S. [アニメ「うどんの国の金色毛鞠」OPテーマ]
M-2.Wake me up  [フジテレビ系「魁!ミュージック」10月度エンディングテーマ]
M-3.AMI
 
DVD (初回限定盤のみ収録) 
WEAVER 11th Additional TOUR 2016「Walk on the Night Rainbow」at 松山W studio RED
収録曲:
1.You
2.アーティスト 
3.Hard to say I love you ~言い出せなくて~ (ver.R&B) 
4.マーメイド 
5.希望の灯 
6.サマーチューン 
7.Wake me up
 
通常盤特典:
「うどんの国の金色毛鞠」描き下ろしイラストワイドキャップステッカー
予約特典
一般CDショップ特典:オリジナルB3ポスター
A!SMART特典:オリジナルA5クリアファイル
アニメ店舗特典:「うどんの国の金色毛鞠」B3ポスター

 

イベント・ライブ情報
『WEAVER「S.O.S. / Wake me up」発売記念イベント』
 
●日時 2016 年10月19日(水)19時~
●開催店 タワーレコード梅田NU茶屋町店 TEL 06-6373-2951
●内容 トーク&直筆サイン入り初回限定盤ジャケット(CDサイズ)お渡し会
●イベント参加券配布対象店 タワーレコード梅田NU茶屋町店梅田大阪マルビル店、難波店、神戸店←(全店舗配布は終了いたしました。)
●日時 2016 年10月20日(木)19時~
●開催店 HMV三宮VIVRE TEL 078-327-4060
●内容 直筆サイン入り初回限定盤ジャケット(CDサイズ)お渡し会
●イベント参加券配布対象店 HMV三宮VIVRE←(参加券残りわずか)
●日時 2016 年10月21日(金)18時30分~
●開催店 タワーレコード渋谷店4F TEL 03-3496-3661
●内容 直筆サイン入り初回限定盤ジャケット(CDサイズ)お渡し会
●イベント参加券配布対象店 タワーレコード渋谷店←(参加券残りわずか)
●日時 2016 年10月22日(土)15時~
●開催店 タワーレコード新宿店 TEL 03-5360-7811
●内容 トーク&直筆サイン入り初回限定盤ジャケット(CDサイズ)お渡し会
●イベント参加券配布対象店 タワーレコード新宿店←(配布は終了いたしました。)
※イベントについては各店へお問合せください。

『Music Holiday vol.1 ~対バン始めました~』

12月14日(水) [大阪] なんばHatch
OPEN 17:30 / START 18:30
ゲスト:BIGMAMA / LAMP IN TERREN
(問)キョードーインフォメーション 0570-200-888(全日10:00~18:00)
12月18日(日) [東京] 恵比寿The Garden Hall
OPEN 16:00 / START 17:00
ゲスト:androp  / 雨のパレード
(問)ホットスタッフ・プロモーション03-5720-9999(平日12:00~18:00)
 
【料金】
¥4,500(税込/スタンディング [大阪公演のみ2F指定あり])
※入場時に別途ドリンク代が必要となります
※お一人様4枚まで
【チケット一般発売日】
11月12日AM10:00~
【入場制限】
未就学児童入場不可
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