日本初『トニー賞 コンサート in TOKYO』出演 井上芳雄にインタビュー
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井上芳雄
「トニー賞コンサート in TOKYO」6/15(木)よる7:30 WOWOWライブで再放送
映画界のアカデミー賞、テレビ界のエミー賞、音楽界のグラミー賞と並び、四大アワードの一つといわれるトニー賞。アメリカ演劇界最大の名誉とされている同賞公認のミュージカル・コンサート『トニー賞 コンサート in TOKYO』が、2017年3月18日(土)に日本で初めて開催されることに。2005年に『ライト・イン・ザ・ピアッツァ』でミュージカル部門の助演男優賞候補に挙がったマシュー・モリソン(『glee/グリー』でおなじみ!)、同じく『~ピアッツァ』で助演女優賞候補に挙がったのち、6度目の主演女優賞ノミネートとなった渡辺謙共演の『王様と私』(15年)で念願の初受賞を果たしたケリー・オハラがそろって来日し、日本を代表するミュージカル俳優・井上芳雄と豪華競演を果たす。トニー賞を彩る歴代ミュージカルの名曲の数々で紡がれるという本企画について、井上に話を聞いた。
――本コンサートへの出演が決まった経緯、また現在の心境をお聞かせください。
(2014年から)WOWOWさんでトニー賞のサポーターをやらせてもらっていて。WOWOWさんが毎年中継を重ねられているように、僕自身、少しずつトニー賞のことが分かってきました。そんな中、「もしかしたら、トニー賞と組んで日本でコンサートができるかもしれない」というような話がWOWOWさんからあり、僕も「そんな夢のようなことができればいいですね」みたいなことを言っていたんです。で、気付いたら実現することになっていて、「本気だったのか、あれは。すごいな、WOWOW」と思いましたよ(笑)。向こうから呼ぶ俳優さんについても夢のようなことをおっしゃっていたんですけど、結局、最初から名前が挙がっていたお二人が来ることになったので、また「すごいな」と。「どれだけトニー賞と強いパイプを作ったんだ?」という感じですよね(笑)。
昨今、外国のミュージカル俳優が来て(日本の俳優と)一緒に歌うといったコンサートが多いですけど、トニー賞公認で、トニー賞を通して(俳優が)来るというコンサートは初めて。すごく新しく、大きな企画だなと思います。そこに自分が出させてもらうっていうのは、もちろん光栄なんですが、ブロードウェイから来るお二人(マシュー・モリソン&ケリー・オハラ)と肩を並べて大丈夫かなっていう気も(苦笑)。不安ばかりが先に立ちますけど、いい機会なので、ちょっと懐を借りて、いろいろ勉強できたらなって思っています。
――昨年の「僕らのミュージカル・ソング」では井上さん自身が構成や演出など、かなり踏み込んでやられたというお話を伺いました。今回のコンサートでも、こういう演出を入れてみたい、こんな曲を歌ってみたいなどがあれば、ぜひ教えてください。
今回は演出の方が入ってくださると思うんですけど……。そうですね、せっかく素晴らしい方々とご一緒できるので、ただ来て、歌ってもらい、僕もちょっとお茶を濁して終わる、みたいにはしたくないと思っています。しかも“トニー賞公認”とうたっているんですから、トニー賞の雰囲気を少しでも伝えないと。僕、授賞式のオープニングが好きなんです。毎年趣向を凝らしていて。今回のコンサートで全編をショーっぽくするのは難しいと思いますが、オープニングくらいは替え歌をしてみたり、ちょっとしたステージングがあったりと、トニー賞の雰囲気でやれたらいいなーというふうに考えています。
もちろん、ブロードウェイのミュージカル・ソングを歌いたい、デュエットしたいっていう気持ちもありますけど、向こうにはないであろう、日本のミュージカル界で流行っている曲を一緒に歌ったり、聴いてもらったりしてもいいのでは。そうやってコラボレーションしてみたいなーと思いますね。ただ、お二人とは初対面なので。初対面ならではのぎくしゃくした感じを、逆にお客さんに楽しんでもらうのもありかなと(笑)。たぶん、コンサートをやっている間に仲良くなれると思うんですよ。一緒に歌えば(お互いのことが)よく分かってくるので。そういうのも含めて、観ていただきたいですね。
そして行く行くは、このコンサートが毎年開催されて、国内外のいろんな人が出演するみたいに、先につながるものになればいいなと。そのためにもやっぱり、初回が一番大切だと思うので。ほかのミュージカル・コンサートと一線を画す……って、トニー賞公認というところで十分差別化できていると思うので、決して“ほか”にケンカを売っているわけじゃないんですが(苦笑)、とにかく楽しいものにしたいと思っています。
井上芳雄
――井上さんは今年、ニューヨークへ行かれて『ハミルトン』などをご覧になりました。同作のように、近年トニー賞をにぎわした作品の中で印象に残っているものは? また、それらの作品の中で歌ってみたいという楽曲はありますか?
『ハミルトン』は印象に残っているんですけど、ラップを歌ってみようという勇気がね……あんなに英語歌詞を覚えられないだろうなって(苦笑)。マシューさんに歌ってもらえないのかな? 聴いてみたいし、チャンスがあれば自分も歌ってみたいとは思います。あと、マシューさんが出演していた『ファインディング・ネバーランド』。僕、舞台は観ていないんですけど、CDを聴いていて。すごくキャッチーで、いい曲がいっぱいあるんですよ。もちろん、マシューさんが歌ってくださるだろうと思いますが、何か一緒に歌えたらうれしいな。あと、『キンキーブーツ』は今年、翻訳上演も来日公演もあったので、いいんじゃないですかね。それに、トニー賞は獲っていないけど、『サムシング・ロッテン!』も好きな作品です。『王様と私』に出演されていたケリーさんはオペラ歌手のような技術を持っていらっしゃって、ほんとにうまいので。ロジャース&ハマースタインものとか、クラシカルな曲で歌声を聴いてみたいし、一緒に歌ってもみたいです。“シャル・ウイ・ダンス?”では渡辺謙さんの代わりに僕が……って、踊ったことないんですけど(笑)。でも、ぜひご一緒したいなーとは思います。
――マシュー・モリソンというと、『glee/グリー』のイメージを持っている人が多いのでは。井上さんもあのドラマをご覧になっていましたか?
シリーズ後半まで見ることができなかったんですけど、シーズン1、2くらいは画期的でしたよね? 単純に話が面白かったのもありますが、今の音楽はもちろん、昔のブロードウェイのミュージカル・ナンバーもアレンジを変えて、グリークラブで歌うわけで。あと、出ている人たちの多くが舞台出身っていうのもうれしかったですし。すごく好きでしたよ。だから、そう、僕の中でもマシュー・モリソン=『glee/グリー』のシュー先生っていうイメージ。だから、プロフィールを見て、「この人、舞台に出ていたんだな」と。『ヘアスプレー』のリンク役をやっていたなら、観ていたはずなんですが……。日本のお客さんも、彼の名前にピンとこなくとも、ドラマで見ている人はいっぱいいると思うので、それをきっかけにコンサートに足を運んでくれたらと思いますね。
――井上さんとマシューさん、なんと同じ37歳です!
あ、ひとつ上かな? でも同年代ですね。向こうの人たち、実年齢よりもだいぶ上に見えるから、なかなかそんな気がしませんけど。会ってみたらきっと、フランクでいいアメリカ人なのではと思います(笑)。
――最後に、本コンサートに出演することへのご自身の期待と、当日を楽しみにしている観客の皆さんにメッセージをお願いします。
出演することについては、リスクしか感じていないというか(苦笑)……いや、半分本気で。お二人と肩を並べた時に、「おっ、日本の井上も意外とやるねー」となるのか、もしくは「やっぱり世界はすごいな」となるのか、分かりません。もちろん、いい結果を出したいですけど、たとえそうじゃなかったとしても、そこで学ぶこともあるでしょうし。足りないところは真摯に受け止め、すべてをしっかりと味わいたいなと。とはいえ、実際にニューヨークへ行ってみて思うんですが、「本場ブロードウェイのものは素晴らしい、だからありがたく受け入れる」っていうんじゃないんですよね。日本人だって素晴らしいところがたくさんあるんだから、気持ちだけでも同等にやらないと。そうやって一緒に楽しんで表現できたら、分かり合えることが確実にあると思うんで。だから、ヘンに卑屈にならずに全力でぶつかっていって、どうなるかっていうのを楽しみにしています。
先ほど「ほかのミュージカル・コンサートと一線を画す」と言いましたけども、東京国際フォーラム ホールAという大きな会場で、これまでにないようなコンサートを行います。お客さんには、本場ブロードウェイからやって来るお二人の素晴らしさはもちろん、そこで歌われる音楽の素晴らしさも存分に知っていただきたいですね。
競演でお届けする貴重なコンサート。来年3月まで楽しみにお待ちいただきたい。
井上芳雄
(取材・文・撮影:兵藤あおみ)
■会場:東京国際フォーラム ホールA
■主催・制作:WOWOW
■出演:ケリー・オハラ、マシュー・モリソン、井上芳雄、濱田めぐみ
※WOWOWオンラインIDをお持ちの方
※井上芳雄ファンクラブ会員の方
詳しくは、http://www.wowow.co.jp/stage/tonyconcert/
「トニー賞コンサート in TOKYO」6/15(木)よる7:30 WOWOWライブで放送!