忘れらんねえよ メンバーにとっても観客にとっても、正真正銘の忘れらんねえ夜
-
ポスト -
シェア - 送る
忘れらんねえよ 撮影=岩佐篤樹
僕とあなたとあんたとお前のデカいステージ
2016.10.9(SAT)Zepp DiverCity
「今日は忘れらんねえ夜にしましょう!」という、影ナレの気の利いたアナウンスに盛り上がる場内。暗転すると[Alexandros]の「ワタリドリ」が流れ、と同時に1F客席後ろのPA卓前に柴田が登場し、観客が一斉に沸いた。「俺をワタリドリのように、あのステージまで連れて行ってくれますか!」と柴田。そのままダイブし、観客の手の上をステージまで流れて行き、「愛するメンバー、カモン!」という柴田の言葉を合図にメンバー全員登場、せーので“SEXジャンプ”をしていよいよライブの始まりだ。
忘れらんねえよ 撮影=岩佐篤樹
忘れらんねえよ 撮影=岩佐篤樹
「やっぱ1曲目はこれでしょ!」と、「バンドワゴン」が鳴り響いた。冒頭から大興奮状態の会場。サンキューと言えばセックスと返す、コール&レスポンスでさらに高まると「ヤバイよヤバイよ。今日生きて来た中でいちばん楽しいかもしれない! ヤバイ!」と、柴田は出川哲朗なみにヤバイを連発した。「これ、もう絶対に勝ったでしょ! 初Zeppは絶対失敗するって何人もの先輩のバンドから言われてたけど、全然楽しいじゃん!」。そんな有頂天の柴田に速攻天罰。続く「僕らチェンジザワールド」の出だしを失敗。これには相方の梅津も思わず「おい!」と突っ込んだ。「これがZeppの魔物ってやつか〜」と、気を取り直してライブを再開。
轟音サウンドが鳴り響き、さっきのことなど一瞬で忘れて会場が爆発。愉快、痛快、温かくて、バカみたいに楽しい音楽が弾けた。ワンちゃんのポーズでタイトルコールした「犬にしてくれ」では、会場が大合唱。ボーカルが聞こえなくなりそうなほどの声に、柴田はまたも「ヤバイよヤバイよ」を連発した。
忘れらんねえよ 撮影=岩佐篤樹
会場の一体感に、トークもキレた柴田。「うわ〜、楽しすぎて、トークがなんだかもう素に戻ってしまってるかも(笑)。ところで、(最新のジャケット写真が)星野源のジャケとかぶってしまったんだけど、間違って来てないよね? 俺、ぜんぜん星野源じゃないからね! じゃあもっと速い曲をイケますか〜!」と、その勢いでジャカジャカジャカとギターをかき鳴らすも、突然ピタッと止まって「あ、間違えた!」とひとこと。梅津が「まだその曲をやるパートではないんだけど……。ちょっと素に戻りすぎじゃね?」とピシャリ。Zeppの魔物とかそういうことよりも、さっきの「犬にしてくれ」ではないけど、この日の柴田は嬉しすぎてピョンピョン飛び跳ねまくってる、愛犬のうれしょん状態だなと思った(笑)。
「バレーコードは握れない」「美しいよ」という力強いミディアムナンバーに続き、「俺らがバンドを組んで初めて作った曲」と紹介した「ドストエフスキーを読んだと嘘をついた」では、まるで物語を語るように歌った柴田。けたたましいドラミングで始まった「夜間飛行」では、エモい歌声に導かれるかのようにミラーボールも回った。また「俺の中のドラゴン」では、「おまえらの中の黒いものを出しきってもらえますか! と言ってもうんこ出しちゃダメですよ!」と柴田節。アッパーのビートに身体を揺らす観客の、「イエーイエーイエー」とコーラスを歌う声が場内に充満した。
忘れらんねえよ 撮影=岩佐篤樹
この日は、「俺よ届け」をプロデュースしたギターの松岡モトキと、アーバンギャルドのキーボーディスト・おおくぼけいの2人をゲストに迎えて演奏したのは「眠れぬ夜は君の名をググるよ」と「まだ知らない世界」など。ミディアムバラードの温かくて切ない楽曲に、さっきまでノンストップで手を振っていた観客も、ここでは静かにゆっくりと身体を揺らした。この流れで「熊本のために作った曲。ワンマンでは絶対にやりたいと思ってました」と「うつくしいひと」を披露。胸を撃つエモーショナルなボーカルに、観客は“ラララ〜”と歌いながら両手を左右に揺らした。
「俺らは俺らの道を行く。誰が上で誰が下とか、一週間の順位とか、どっちが勝ったとか負けたとか関係ない。俺らは、俺らがいいと思うことやカッコイイと思うことをやっていく。誰から何を言われても。だからみんなも、もっと好きなことをやりなよ! 自分を貫いているやつのほうがかっこいいよ。続けることは力になるんだよ。俺らだってメッチャバカにされて来たけど。だから、好きなことを貫いてカッコイイことしませんか!」
忘れらんねえよ 撮影=岩佐篤樹
そんなメッセージと問いかけで始まった「ばかばっか」は、シンプルなサウンドに観客も手を振り声を出し、ヘドバンして暴れまくった。そのまま客席へダイブした柴田が、手に持ったビールを一気に飲み干すと小田和正の「言葉にできない」がBGMで流れた。おもむろに手紙を読み始める。「お父さん、お母さん。……ここにいる人たちが正真正銘俺たちの宝物です。生きる勇気、歌う理由をくれる……」。すごく良い手紙なのだが、途中でBGMが終わってしまうというハプニングも。苦笑いの柴田は「これが忘れらんねえよだ!」と吐き捨てた。
忘れらんねえよ 撮影=岩佐篤樹
忘れらんねえよ 撮影=岩佐篤樹
アンコールも含めて全28曲を一気に駆け抜けた彼ら。ラストは「忘れらんねえよ」。熱くほてった身体をゆっくりと鎮めてくれるような、ゆったりとしたサウンドが会場に広がっていく。観客が携帯のライトをゆっくり揺らすと、「めっちゃきれいだよ」とつぶやいた柴田は、ちょっと涙ぐんでいたようにも見えた。頭から最後まで、とことんハチャメチャ。こんなステージは観たことがない。そんなすべてをひっくるめ、これこそが忘れらんねえよ、だ。メンバーにとっても観客にとっても、正真正銘の忘れらんねえ夜になった。
取材・文=榑林史章 撮影=岩佐篤樹
忘れらんねえよ 撮影=岩佐篤樹
2016年10月5日発売
【初回盤CD+DVD】VPCC-80683 ¥2,500+税
忘れらんねえよ『俺よ届け』初回盤
忘れらんねえよ『俺よ届け』通常盤
01. 俺よ届け(※映画『何者』挿入歌)
02. 俺の中のドラゴン
03. 眠れぬ夜は君の名をググるよ
04. うつくしいひと(※映画『うつくしいひと』主題歌)
05. まだ知らない世界(※映画『何者』挿入歌)
<配信情報>
ミニアルバム『俺よ届け』
2016年10月12日 配信スタート
僕とあなたとあんたとお前のごほうびワンマンツアー
・2017年1月15日(日) 梅田 CLUB QUATTRO
・2017年1月21日(土) 札幌PENNY LANE24
・2017年2月4日(土) 広島4.14
・2017年2月5日(日) 岡山ペパーランド
・2017年2月12日(日) 仙台CLUB JUNK BOX
・2017年2月17日(金) 福岡 DRUM SON
・2017年3月3日(金) 新潟CLUB RIVERST
忘れらんねえよ 日比谷野音ワンマン
ワンワン!ワンマン!野音でワオーン!
・2017年4月2日(日) 日比谷野外大音楽堂
<忘れらんねえよ オフィシャル先行>
http://w.pia.jp/t/wasureranneyo/
受付期間:10/9(日)22:00~10/23(日)23:59
枚数制限:お1人様4枚まで申し込み可