忘れらんねえよ メンバーにとっても観客にとっても、正真正銘の忘れらんねえ夜

2016.10.17
レポート
音楽

忘れらんねえよ 撮影=岩佐篤樹

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僕とあなたとあんたとお前のデカいステージ
2016.10.9(SAT)Zepp DiverCity

「今日は忘れらんねえ夜にしましょう!」という、影ナレの気の利いたアナウンスに盛り上がる場内。暗転すると[Alexandros]の「ワタリドリ」が流れ、と同時に1F客席後ろのPA卓前に柴田が登場し、観客が一斉に沸いた。「俺をワタリドリのように、あのステージまで連れて行ってくれますか!」と柴田。そのままダイブし、観客の手の上をステージまで流れて行き、「愛するメンバー、カモン!」という柴田の言葉を合図にメンバー全員登場、せーので“SEXジャンプ”をしていよいよライブの始まりだ。

忘れらんねえよ 撮影=岩佐篤樹

忘れらんねえよ 撮影=岩佐篤樹

「やっぱ1曲目はこれでしょ!」と、「バンドワゴン」が鳴り響いた。冒頭から大興奮状態の会場。サンキューと言えばセックスと返す、コール&レスポンスでさらに高まると「ヤバイよヤバイよ。今日生きて来た中でいちばん楽しいかもしれない! ヤバイ!」と、柴田は出川哲朗なみにヤバイを連発した。「これ、もう絶対に勝ったでしょ! 初Zeppは絶対失敗するって何人もの先輩のバンドから言われてたけど、全然楽しいじゃん!」。そんな有頂天の柴田に速攻天罰。続く「僕らチェンジザワールド」の出だしを失敗。これには相方の梅津も思わず「おい!」と突っ込んだ。「これがZeppの魔物ってやつか〜」と、気を取り直してライブを再開。

轟音サウンドが鳴り響き、さっきのことなど一瞬で忘れて会場が爆発。愉快、痛快、温かくて、バカみたいに楽しい音楽が弾けた。ワンちゃんのポーズでタイトルコールした「犬にしてくれ」では、会場が大合唱。ボーカルが聞こえなくなりそうなほどの声に、柴田はまたも「ヤバイよヤバイよ」を連発した。

忘れらんねえよ 撮影=岩佐篤樹

会場の一体感に、トークもキレた柴田。「うわ〜、楽しすぎて、トークがなんだかもう素に戻ってしまってるかも(笑)。ところで、(最新のジャケット写真が)星野源のジャケとかぶってしまったんだけど、間違って来てないよね? 俺、ぜんぜん星野源じゃないからね! じゃあもっと速い曲をイケますか〜!」と、その勢いでジャカジャカジャカとギターをかき鳴らすも、突然ピタッと止まって「あ、間違えた!」とひとこと。梅津が「まだその曲をやるパートではないんだけど……。ちょっと素に戻りすぎじゃね?」とピシャリ。Zeppの魔物とかそういうことよりも、さっきの「犬にしてくれ」ではないけど、この日の柴田は嬉しすぎてピョンピョン飛び跳ねまくってる、愛犬のうれしょん状態だなと思った(笑)。

「バレーコードは握れない」「美しいよ」という力強いミディアムナンバーに続き、「俺らがバンドを組んで初めて作った曲」と紹介した「ドストエフスキーを読んだと嘘をついた」では、まるで物語を語るように歌った柴田。けたたましいドラミングで始まった「夜間飛行」では、エモい歌声に導かれるかのようにミラーボールも回った。また「俺の中のドラゴン」では、「おまえらの中の黒いものを出しきってもらえますか! と言ってもうんこ出しちゃダメですよ!」と柴田節。アッパーのビートに身体を揺らす観客の、「イエーイエーイエー」とコーラスを歌う声が場内に充満した。

忘れらんねえよ 撮影=岩佐篤樹

この日は、「俺よ届け」をプロデュースしたギターの松岡モトキと、アーバンギャルドのキーボーディスト・おおくぼけいの2人をゲストに迎えて演奏したのは「眠れぬ夜は君の名をググるよ」と「まだ知らない世界」など。ミディアムバラードの温かくて切ない楽曲に、さっきまでノンストップで手を振っていた観客も、ここでは静かにゆっくりと身体を揺らした。この流れで「熊本のために作った曲。ワンマンでは絶対にやりたいと思ってました」と「うつくしいひと」を披露。胸を撃つエモーショナルなボーカルに、観客は“ラララ〜”と歌いながら両手を左右に揺らした。

「俺らは俺らの道を行く。誰が上で誰が下とか、一週間の順位とか、どっちが勝ったとか負けたとか関係ない。俺らは、俺らがいいと思うことやカッコイイと思うことをやっていく。誰から何を言われても。だからみんなも、もっと好きなことをやりなよ! 自分を貫いているやつのほうがかっこいいよ。続けることは力になるんだよ。俺らだってメッチャバカにされて来たけど。だから、好きなことを貫いてカッコイイことしませんか!」

忘れらんねえよ 撮影=岩佐篤樹

そんなメッセージと問いかけで始まった「ばかばっか」は、シンプルなサウンドに観客も手を振り声を出し、ヘドバンして暴れまくった。そのまま客席へダイブした柴田が、手に持ったビールを一気に飲み干すと小田和正の「言葉にできない」がBGMで流れた。おもむろに手紙を読み始める。「お父さん、お母さん。……ここにいる人たちが正真正銘俺たちの宝物です。生きる勇気、歌う理由をくれる……」。すごく良い手紙なのだが、途中でBGMが終わってしまうというハプニングも。苦笑いの柴田は「これが忘れらんねえよだ!」と吐き捨てた。

忘れらんねえよ 撮影=岩佐篤樹

忘れらんねえよ 撮影=岩佐篤樹

アンコールも含めて全28曲を一気に駆け抜けた彼ら。ラストは「忘れらんねえよ」。熱くほてった身体をゆっくりと鎮めてくれるような、ゆったりとしたサウンドが会場に広がっていく。観客が携帯のライトをゆっくり揺らすと、「めっちゃきれいだよ」とつぶやいた柴田は、ちょっと涙ぐんでいたようにも見えた。頭から最後まで、とことんハチャメチャ。こんなステージは観たことがない。そんなすべてをひっくるめ、これこそが忘れらんねえよ、だ。メンバーにとっても観客にとっても、正真正銘の忘れらんねえ夜になった。

取材・文=榑林史章 撮影=岩佐篤樹

忘れらんねえよ 撮影=岩佐篤樹


 
リリース情報
ミニアルバム『俺よ届け』
2016年10月5日発売
【初回盤CD+DVD】VPCC-80683 ¥2,500+税

忘れらんねえよ『俺よ届け』初回盤

【通常盤CDのみ】VPCC-81883 ¥1,600+税 

忘れらんねえよ『俺よ届け』通常盤

<収録曲>
01. 俺よ届け(※映画『何者』挿入歌)
02. 俺の中のドラゴン
03. 眠れぬ夜は君の名をググるよ
04. うつくしいひと(※映画『うつくしいひと』主題歌)
05. まだ知らない世界(※映画『何者』挿入歌)

<配信情報>
ミニアルバム『俺よ届け』

2016年10月12日 配信スタート

 

ライブ情報
忘れらんねえよ ワンマンツアー
僕とあなたとあんたとお前のごほうびワンマンツアー
・2017年1月14日(土) 名古屋CLUB QUATTRO
・2017年1月15日(日) 梅田 CLUB QUATTRO
・2017年1月21日(土) 札幌PENNY LANE24
・2017年2月4日(土) 広島4.14
・2017年2月5日(日) 岡山ペパーランド
・2017年2月12日(日) 仙台CLUB JUNK BOX
・2017年2月17日(金) 福岡 DRUM SON
・2017年3月3日(金) 新潟CLUB RIVERST

忘れらんねえよ 日比谷野音ワンマン
ワンワン!ワンマン!野音でワオーン!

・2017年4月2日(日) 日比谷野外大音楽堂

<忘れらんねえよ オフィシャル先行>
http://w.pia.jp/t/wasureranneyo/
受付期間:10/9(日)22:00~10/23(日)23:59
枚数制限:お1人様4枚まで申し込み可