齊藤工が移動映画館“cinéma bird”第4回を福島で開催 「南相馬市での実施は悲願でした」

俳優・齊藤工（※斎藤工。同活動では齊藤工名義）が発案した移動映画館“cinéma bird”プロジェクトの第4弾となるイベント『cinéma bird in 福島2016』が11月19日（土）に福島県・南相馬市の県立原町高等学校で開催された。福島県での開催は、昨年7月の双葉郡・ふたば未来学園高等学校に続き2回目となった。

冷たい雨の中、イベントには3部構成で約900人の観客が雨の中に集まった。 cinéma birdへの参加は初めてながらもMCを務めたのは、宮城県出身で3･11以降継続して復興支援活動を続けているお笑いコンビ・サンドウィッチマンのふたり。郡山市に3年半住んでいたという伊達みきおは「福祉用具の営業マン時代にこの地域には週一で来ていました。大好きな場所なんです」と思い出を語り、相方の富澤たけしは息の合ったつっこみを入れながら終始場を盛り上げた。 
 

cinéma bird発案者の齊藤工は、イベントに登場すると、「南相馬市での実施は悲願でした」とコメント。さらに「子供のころから色んな人生を疑似体験できる映画館で衝撃を受けてきたが、どんどん映画館が減ってきている。誰かと感動を共有することを子供たちに体験してほしい」とプロジェクトを立ち上げた動機を語った。第一部ではネイチャー・ドキュメンタリー映画『シーズンズ 2万年の地球旅行』を、日本語吹き替え版を担当した女優・木村文乃の応援メッセージとあわせて上映。齊藤は上映後客席に降りて「どの動物が好きだった？」と子供たちに話しかけ、「犬！」「リス！」という元気で可愛い子供たちの声に顔をほころばせていた。また、5月に実施した大分での同イベントに続いての参加となるお笑い芸人・永野は「ラッセンより～普通に～福島が好っきー！」と叫び、会場を駆けまわり子供たちも大興奮。全力疾走のステージで場を熱くしていた。その後は、出演者全員で会場近くの南相馬市・牛越応急仮設住宅を訪問し、地元の人々と交流している。

第2部では、行定勲監督が出身地・熊本の地域創生を目的とした『くまもと映画プロジェクト』で手がけ、オールキャストが熊本県出身の『うつくしいひと』を上映。上映前には出演者の俳優・高良健吾が「『震災前の美しい熊本を映像に残してくれてありがとう』と多くの人から言われ、『これが映画の記憶、映画の力なんだ』と思いました」と感慨深く語る。そして、現在製作中の続編にも触れ、「cinéma birdで上映して欲しい。その時は行きたいです」とメッセージを送った。観客からの「（映画を観て）熊本に行きたくなりました」という感想に、齊藤は「被災地では観光面の2次災害が一番辛いこと」と現地を気遣い、サンドウィッチマンも「本当に熊本も東北もとてもいいところ。是非行ってほしい」と力説していた。 

続いて、福島県出身のお笑い芸人・あばれる君も駆け付け、大爆笑のステージを披露。第3部では口コミで大ヒットした映画『チョコレート・ドーナツ』を上映した。上映各回にはシンガーソングライターの古賀小由実とMOGMOSのユニット・古賀モスが、同イベントのために書き下ろした新曲「この街のマーチ」などを心が温かくなる歌声で披露し、曲が収録されたCDと「cinéma 2/2 bird」のステッカーを来場者に配布した。そのほか、鉄拳によるパラパラ漫画「家族のはなし」も各回で上映。サンドウィッチマン・伊達は「今日3回見たけど3回泣いた」とコメント。また、会場外では来場者に「博多もつ鍋 いっぱち」のもつちゃんぽんが振る舞われ、寒さを和らげた。回を追うごとに、多くの賛同者を得てきたcinéma birdが次に飛びたつのはどの土地なのか、注目だ。