ORESKABANDが2年ぶりにワンマンライブを開催へ 主催イベントを通して見えた次なる目標とは?
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ORESKABAND iCas(左)、HAYAMI(右)
2016年11月23日(水)に6年ぶりのフルアルバム『Slogan』をリリースしたばかりの、女性6人からなるスカバンド・ORESKABAND。フルアルバムには、13年というバンド活動の中で初の試みとして、メンバー全員が作曲し作り上げたバラエティ豊かな13曲が収録されている。今回のインタビューでは、iCas(Vo/Gt)とHAYAMI(トロンボーン)に登場してもらい、アルバム制作のエピソードやライブに対する姿勢、ワンマンライブに向けての意気込みを語ってもらった。
――今回のインタビューでは、フルアルバム『Slogan』がリリースされたということで、そちらについてと来年1月から開催されるワンマンツアーについて、お2人に聞いていこうと思いますので、よろしくお願いします。早速ですが、今回のアルバムはいつ頃から制作されていたのですか?
iCas:今回のアルバムには、昨年(2015年)リリースした『Carry On!』というミニアルバムの中からも1曲だけ収録されているのですが(配信限定リリース「Hands Up Girl」)、その曲から数えると1年くらい制作期間がありました。でも、他の曲を作る期間が2ヶ月くらいしか無かったので、すごくタイトなスケジュールでしたね。
HAYAMI:今まで、制作期間中はライブなどの予定を入れずに制作だけに集中していたんですけど、今回はアルバムの制作をしながらライブ活動もしていたので、かなり忙しかったです。
――『Carry On!』をリリースした時に、次はフルアルバムを出そうという考えはあったのですか?
iCas:そうですね。アルバムを出したいという話はメンバーでしていました。フルアルバムは、2010年に『COLOR』という作品を作って以来リリースしていなかったんですよ。今の私たちが出せるものが詰まったものを出したいと思って、今回6年ぶりにフルアルバムをリリースすることになりました。
――今回のアルバムのコンセプトは?
iCas:最初にアルバムを作ろうという話をしていた時に、次に出すアルバムは私たちの魂が込もった“確信”をついたものにしたい、というコンセプトは決まっていました。
――今までは、ほとんどの楽曲をiCasさんが作曲されていたとのことなのですが、今回のアルバムではメンバー全員が作曲に携わったんですよね?
iCas:そうなんです。実は去年に「Hands Up Girls」という曲を作ってから、自分がバンドでやりたかった音楽や、伝えたかったメッセージというものが、自分の中で完成してしまったのではないか?と感じてしまって、その曲を超えるものを書けなくなってしまったんです。
HAYAMI:今まで、主にiCasが曲を作って、ドラムのtaeが歌詞を書くという形で制作してきたんですけど、さっきの話のようにiCasが、もう曲を書きたくないという気持ちになっていたんですね。そんなiCasを見て他のメンバーが、「じゃあ全員で作曲しようよ」と言って、それぞれが曲を作ってきたんです。そして、その作ってきた曲を仕上げる作業をiCasが手伝ったりしていく中で、“これは新しい感じでおもしろい!”という気持ちになったので、今回のアルバムはメンバー全員で楽曲を制作することになりました。
iCas:ずっと同じローテーションだと刺激が足りなくなってくるので、新しいものが生み出しにくくなるんですよね。でも、今回はみんなで作曲したり、新しいメンバーのADD(サックス)が加入したりという新しい刺激があったので、楽みながらアルバムを制作することが出来ました。
ORESKABAND iCas(左)、HAYAMI(右)
HAYAMI:ADDは、今年の1月からずっとサポートメンバーとして活動していて、正式に加入したのは今年の6月なんです。前のメンバーが脱退して、新メンバーの加入を考えた時、今までのバンドの空気感などが変わってしまうのではないか?という不安があったんですけど、ADDが加入しても全然そんなことはなくて。すごく前から一緒にいたんじゃないかな?と思うくらいの安心感があります。
――新メンバーのADDさんが加入して、今までと変わったところはありますか?
iCas:13年という長い期間ずっと同じメンバーでバンド活動をしていると、“ここはこうするべき”みたいな大体のルールが決まってくるのですが、ADDはそういうところをすごく柔軟な目で見ていて、「こういうのもいいんじゃないですか?」という感じで、別の角度から意見を言ってくれるんです。それがすごくバンドにとって新鮮な感じがするし、ADDが加入したことによって、新しい音楽にもっと挑戦していこうという気持ちが増えました。
――サウンド面で何か変化はありましたか?
iCas:変化ではないかもしれないですが、ADDは他のメンバーと違って、まだそんなにバンドで長く一緒にいるわけじゃないので、ADDは今こんな気持ちなんだな!というのが、彼女の鳴らす音から伝わることが多いですね。そういった“音で気持ちを伝える”ということが“バンド”なんだということにも改めて気付かされました。
――13年の間、ずっとスカという音楽を貫いて続けられていますが、スカの好きなところはどんなところですか?
HAYAMI:スカという音楽は踊れる曲調で、歌詞が政治的な内容だったり、生きていく中で抱えている問題をよくしていこうというメッセージが潜っていることが多いんですね。しかも、それを“踊る”ということに落とし込んでいるところもすごくかっこよくて最高だなと思います。大阪の人の嫌なことがあったら、笑いに落とし込むというところにも似ているなと感じますね(笑)。
――なるほど(笑)。
HAYAMI:そういうところも踏まえて、今回のアルバムにも収録されている、今年の3月に出したシングル「NEXSPOT / ¡Fiebre!」に収録されている「NEXSPOT」という曲は、今までのオーセンティックなものに対してのリスペクトと、今の自分たちに合った新しいスカとは何か?というのを考えて制作した楽曲になっています。
――アルバムも制作しながらライブをしていたとのことですが、今年はライブ活動をどれくらいされたんですか?
HAYAMI:今年は、3月にORESKABAND企画の主催イベント『Stay Irie, Go Rudy 2016』を開催して、6月には『LOVE&CALL』という2マンライブも行って、その他にも色んなライブイベントにも出演したので……結構たくさんライブをしましたね。
iCas:でも、すごく充実していて対バンイベントでは、こういうジャンルのアーティストともいい感じに交われるんだ!という良い出会いと発見がたくさんありました。
――主催イベントの『Stay Irie, Go Rudy』はどんな内容のイベントだったのでしょうか?
HAYAMI:『Stay Irie, Go Rudy』は、スカとレゲエに特化したカルチャー発信型イベントで、その界隈の中でも私たちとは違うシーンで活躍しているアーティストを1つのクラブに集結させて、みんなで共有して盛り上がれるようなイベントにしました。今まで挑戦したことがない内容だったので、みんなどんな反応するのだろう?と当日を迎えるまで不安で……。でも、当日の会場の雰囲気を見ると、出演していた様々なカルチャーを持ったアーティストやお客さんが同じ空間で同じ気持ちを共有しリスペクトし合えた良いイベントになったと感じました。
iCas:あと、この主催イベントを開催してみて、こういう音楽のシーンやカルチャーもあるんだよということを、私たちがみんなに発信できる場所を定期的に作っていきたいと思いました。そのためには、自分たちがこれからどんなことを発信していきたいのか?どんなカルチャーを求めているのか?というのを、もっと考えていかないといけないなとも感じましたね。
――その話を聞くと今までのそういう経験が、アルバムの中にうまく落とし込めているなと感じました。
iCas:そうですね。私たち自身もこうした新しい音楽の出会いや経験を、このアルバムに入れ込むことができたと思います。歌詞の部分では、13年間バンドをやってきた女たちの経験、人生の中で感じた考え方や人生のモットーを、着飾ること無くありのままに書いています。
HAYAMI:ここ最近は、以前よりももっとスカという音楽に対してまっすぐに向き合えているなとすごく感じています。
――来年の2017年1月からリリースツアーが始まりますが、今はどんな心境ですか?
HAYAMI:今まで、アルバムをリリースしたタイミングでワンマンツアーを頻繁にやってきたのですが、やりすぎている気がして2年くらいワンマンライブを止めていたんです。でも、そういう期間があったから、いろんなバンドともたくさん関われたし、今回は、そういう出会いや経験を経て挑むことができるワンマンライブなので、すごく楽しみですね。
ORESKABAND iCas(手前)、HAYAMI(奥)
――ワンマンライブでは、今回のアルバムに収録されている楽曲と昔からライブで演奏している楽曲もやると思うのですが、昔の曲を今演奏するというのは難しいと感じることはありませんか?
iCas:昔の曲を演奏するのはおもしろいですが、やっぱり難しいですね。そういう経験をしていくからバンドとして成長していけるし面白いんですけど、昔の曲を今の自分たちが表現できるニュアンスに落とし込むという作業は大変ですね。
――なるほど。昔から変わらずライブにおいて大事にしている部分はありますか?
HAYAMI:アクティブなライブをするというのは昔から変わっていないですね。テレビを見ているような完成されているライブはあまり好きじゃなくて、ステージから何か飛び出してくるようなライブが好きなので、その場でなにか起こりそうな“ドキドキ感”というのを、私たちは大事にしています。
iCas:ORESKABANDのライブに来たお客さんには、開放的な気持ちになって踊って欲しいんですよね。もし、自分がバンドをやっていなくてお客さんとして1人でライブを観に行くと、恥ずかしくて踊れないだろうなと思うんです。なので、そういった人のために、こういう風に楽しめばいいんだよというお手本になるように、大きくステージパフォーマンスをしています。
iCas
――今回のワンマンライブのテーマはありますか?
iCas:今回のツアータイトルが『HAPPY!! SURVIVE!! 2017"』というタイトルなのですが、私たちの生きるモットーってなんだろう?という話をしていた時に、ドラムのtaeちゃんが、「生きていくには“ハッピー”な要素と、闘っていくという意味の“サバイブ”が必要」と言ったんです。その言葉に私たちはすごく共感できたので、そこから『HAPPY!! SURVIVE!!』というタイトルになって、今回のワンマンライブのテーマにもなっています。
HAYAMI:その言葉って、スカの中にあるメッセージでもあると思うんですよね。スカのストイックに裏打ちをしている感じが、私には“闘いながらもみんなで楽しむ方向に進んでいる”っていう1つのメッセージみたいに感じるんです。そういう部分も私たちがバンドで発信していきたいと思っています。
――たくさんの経験をしてきたORESKABANDが見せるワンマンライブがどんなものになるのかすごく楽しみです。では、今後のORESKABANDの目標があれば聞かせてもらえますか?
iCas:日本から海外へもっとワールドワイドに自分たちの音楽を発信していきたいので、今後も海外ツアーもやっていきたいし、そのために色んな人に話を聞きに行ったり、話をしたりということを自分たちでももっと行動していけるようになりたいです。
HAYAMI:主催イベントの『Stay Irie, Go Rudy』を、もっと大きくしていきたいですね。あとは、こういった音楽カルチャーを発信するイベントを開催したりライブ活動をしているORESKABANDを見て、スカバンドを始めようって思う子たちが増えてほしいです。そうやってバンドを組んだ子達と、今後なにか一緒に作っていくというのも出来たらいいなと思います。
ORESKABAND iCas(手前)、HAYAMI(奥)
――では、最後にSPICE読者へメッセージをお願いします。
iCas:私は今28歳なのですが、私も含め周りの同世代を見ると、28歳という年齢は今まで続けてきたこと辞めて違うことに挑戦するのか?とか、結婚するのか?といった、そういう分岐点に立たされる時期だと感じるんです。だから悩んだり答えを探している同世代の人って多いと思うんですよね。今回リリースした『Slogan』というアルバムは、そういう同世代の人たちや、音楽をあまり聴かないという人たちにも共感してもらえる作品になっていると思いますので、是非みなさんに聴いてもらいたいです。そして、このアルバムを聴いて、私たちのライブにも足を運んでほしいと思いますので、よろしくお願いします!
インタビュー・文=けんじろ~ 撮影=kazuya tanaka
[CD] VMAN-015 \2500(tax in)
2. Free Now
3. NEXSPOT
4. 退屈しのぎ
5. AZAMI Spirit
6. ライフイズビューティフル
7. Heart Waves [Interlude]
8. Hands Up Girls
9. Answer
10. ¡Fiebre!
11. Magic Night
12. On The Sunny Side Of The Street
13. Music
2017年
1月22日(日) 名古屋E.L.L. *ONE MAN SHOW!!
1月24日(火) 高松DIME
2月3日(金) 広島4.14
2月5日(日) 福岡DRUM SON
2月9日(木) 仙台enn 2nd
2月11日(土) 郡山#9
2月13日(月) Club Lizard Yokohama
2月16日(木) 梅田club QUATTRO *ONE MAN SHOW!!
3月4日(土) 恵比寿リキッドルーム *ONE MAN SHOW!!