中国の映画館で大盛況の『君の名は。』を見てきた。
一見わかりにくいのですが、これは『君の名は。』の上映が行われている中国の映画館の写真です。
中国の映画館でも、たくさんの方が『君の名は。』を観てくれました。
12月2日金曜日、『君の名は。』の中国版『你的名字。』が公開となりました。中国での公開が始まるや否や、あっという間に興行収入が伸び、中国の大手映画サイト『Mtime』の統計によると初日興行週入7500万人民元以上を記録しました。この数字はその前の週に中国でも上映がはじまった『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』の初日興行収入7400万人民元を超える記録です。土日入ってもその勢いは衰えることなく、最終的に初週末興行収入は2.8億人民元に到達。2016年の邦画の最高興行収入記録を持っていた『ONEPIECE FILM GOLD』の1億人民元を軽々超えてしまいました。
そして現在、中国での邦画の最高興行収入記録を持つ『STAND BY ME ドラえもん』の5.3億人民元を超え、5.5億人民元に到達。中国における邦画最高興行収入記録作品となりました。
そして、そんな『君の名は。』を公開当初に、実際に中国の映画館で見て参りました。
中国四川省成都市。
沿岸部こそ特に発展しているとされる中国ですが、内陸部で特に発展している都市地域です。
公開初日は遂に『君の名は。』が公開されるということで、すでに日本で鑑賞済みの本作の一ファンとして、中国の映画情報サイト『Mtime』や『猫眼電影』をこまめにチェック。リアルタイムで急上昇していく『君の名は。』の興行収入に、興奮しっぱなしでした。さぞかし映画館は賑わっていることだろうと上映2日目となる土曜日に映画館に足を運んでみてビックリ。IMAXも配備しているような大型シネコンに来たものの、『君の名は。』のスタンディーやポスターはおろか、ロビーでは全然『君の名は。』のPRが行われていませんでした。もっと『君の名は。』が大々的に公開されているかと思いきや、肩透かし。
こんな感じなの?と違和感を感じたので町中のその他の映画館を3~4件調査。
するとやはりどこの映画館も『君の名は。』の露出が少ない!
前週に公開された『ファンタスティック・ビースト魔法使いの旅』や、『君の名は。』と同日公開となった『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』こそロビーで派手に飾られているのに、『君の名は。』はそういった露出をどこの映画館も行なっていませんでした。成都だけ「君の名は。」ブームが来ていないのか?と不安になり、いざ映画館の上映状況を確認してみたところ・・・
どこも『君の名は。』はしっかり上映を行なっているし、満員御礼!
2、3回先の上映回までは残り座席が数席というのがザラ。どこも大型スクリーンや上映回を『君の名は。』に割いている状態でした。やはり、しっかり『君の名は。』は中国でヒットしていたのです。集客に反して表向きな露出がほとんどなかったのは、映画館としても『君の名は。』のヒットが意外だったということでしょうか。写真でも分かるように洋画作品こそ大きめな告知がされている中、『君の名は。』は控えめなアピール具合です。
そして、こんな席の埋まり具合なので、その日の鑑賞は断念。
私が実際に中国の映画館で『君の名は。』を見れたのは翌日日曜日でした。
前日、映画館を見学してみて、唯一大きめのポスターや映像だけはロビーで流してくれていた『太平洋影城』というシネコンのお昼過ぎの上映回に行ってきました。この回もやはり満席。上映一時間前にアプリを利用して予約を試みましたが、この時点で席は大方埋まっている状態。やむなく前から2列目の一番端の席を確保する事態となりました。
この回は中国語吹き替えの字幕なし(劇中のメール文のシーンなどは中国語字幕が出ます。)。日本で海外アニメ映画が上映されると、吹き替え版の上映のみになったりしますが、ここ中国は少し違います。『君の名は。』の上映回では圧倒的に日本語音声に中国語字幕の上映回の方が多い状態でした。中国のテレビ番組では、中国語音声にすら中国語字幕が付いていることはよくありますので、字幕慣れしている分、大した問題ではないのかもしれません。
客層は大体20代ぐらいと思われる若者達がほとんど。カップルや女性友達グループ、さらには男性数人だけでの来場もあり、ぼちぼち小学生ぐらいの子供連れで来場する家族が居ました。
いざ上映が始まり、序盤は場内も静か。
日本に比べて中国の映画館では、面白い時は率先して声に出して笑ったりする人が多いので、上映中の雰囲気で、ウケてるかウケてないかはすぐ分かったりします。「面白いと思ってくれてるかな?」「楽しんでくれてるかな?」と勝手に中国の方々の反応が気になっていたのですが、そんな心配も杞憂でした。
主人公の瀧くんと三葉ちゃんが入れ替わってお互いの生活で戸惑うコミカルなシーンではしっかり笑い声が漏れていました。中でも、RADWIMPSの「前前前世」が流れて互いの入れ替わり生活が高調に達する序盤の一番の盛り上がりシーンは大ウケ。場内が非常に温かい雰囲気に包まれたのを感じました。
良い雰囲気の中、上映は終了。場内が明るくなり、すごく眠そうにしていたキッズ達も居たには居たのですが、多くの観客たちが満足そうな表情でスクリーンを後にしていたので良かったです。
今年は多くの邦画アニメーションが中国上映を果たしてくれましたが、ここまで大盛況の中、邦画を楽しむことが出来たのは初めてでした。今年は『ドラえもん』や『ONEPIECE』、『名探偵コナン』と以前から中国でも人気のTVアニメ作品達が上映を果たしましたが、『君の名は。』は12月最終週に入っても公開されており、それらの邦画作品に比べても一番のロングラン上映となっています。メディアで話題に挙げられる量も「君の名は。」は群を抜いています。今月は『君の名は。』が中国に確かなインパクトを与えていたと実感させられる、今までの中国生活で味わったことのない体験の月となりました。