丸美屋食品ミュージカル『アニー』が全面刷新、ウォーバックス役に藤本隆宏、ハニガン役にマルシア!
2016年12月9日、2017年の丸美屋食品ミュージカル『アニー』(主催・製作:日本テレビ放送網/協賛:丸美屋食品工業)の製作発表が東京汐留・日テレホールにて行われた。
ミュージカル『アニー』の舞台は世界大恐慌直後の1933年、真冬のニューヨーク。誰もが希望を失う中、本当の両親が迎えに来ることを信じて生きている孤児・アニー。その前向きで健気な姿とアニーをとりまく元気いっぱいな孤児たち、善悪入り混じった大人たちが繰り広げるストーリー展開と美しい楽曲が感動を呼び続け、日本での上演は今回で32年目を迎える。
この「国民的ミュージカル」といえるまでに発展した『アニー』がこのたび刷新されることとなり、『ラ・カージュ・オ・フォール』『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』などの演出で知られる山田和也を新演出家として迎えることが発表されたばかり。翻訳台本・振付・舞台美術・衣裳なども一新するということで、音楽監督を佐橋俊彦、振付・ステージングを広崎うらんが担当することでも注目が集まる。また近年は「タップキッズ」だった役柄だが、タップに限らず、さまざまなダンスで舞台を彩ってくれる「ダンスキッズ」16名が舞台をより魅力的にする。
そしてこの日発表された大人キャストも実力派が集まった。
大富豪ウォーバックス役には藤本隆宏。オリンピック水泳選手から劇団四季に転向した異色の経歴を持つ藤本は、1998年劇団四季退団後、舞台や映像で幅広く活躍。現在はNHK大河ドラマ『真田丸』の作兵衛役でもおなじみだ。2017年の『アニー』は上田公演も予定されており、自分の子どもではない娘を育て上げた作兵衛と、孤児アニーと心を通わせるウォーバックス像が重なる観客もいるかもしれない。
アニーたちにとっては恐怖の存在である、孤児院の院長ミス・ハニガン役にはマルシア。歌手・女優・タレントとして幅広く活躍。初のミュージカル挑戦となった2001年『ジキル&ハイド』では文化庁芸術祭演劇部門 新人賞を受賞した。
秘書グレース役には彩乃かなみ。元宝塚歌劇団・月組娘役トップ。退団後は歌手・女優として活躍し、2012年ミュージカル『ファンタスティックス』ルイザ役で文化庁芸術祭大衆芸能部門 大賞を受賞している。
ミス・ハニガンの弟ルースター役には青柳塁斗、その恋人リリー役には山本紗也加というフレッシュな2人。子どものみならず大人にも楽しめる『アニー』となる確信と期待が高まる。
日本テレビ放送網株式会社 中山良夫取締役執行役員事業局長より、「山田和也氏演出『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』のように、招へいとはまた違う、日本人の感性に合った素晴らしい演出を『アニー』にも期待します」という挨拶。
中山良夫 日本テレビ放送網株式会社 取締役執行役員事業局長
続いて丸美屋食品工業株式会社 阿部豊太郎 代表取締役社長が登壇、「『アニー』は日本の社会に子役オーディションとともに定着。GWや夏休みになくてはならないイベントになった。従来以上の稽古日数をとっているとのことで、丸美屋の企業協賛が15年目となる2017年も、元気のある舞台創りのバックアップをしたい」と述べた。
阿部豊太郎 丸美屋食品工業株式会社代表取締役社長
いよいよ出演者たちの紹介となる。大人キャスト5人と演出の山田和也氏が華やかな衣裳で登場。続いてアニー役の野村里桜さん(小学4年生)、会 百花さん(小学5年生)が登場。ベルベットの真っ赤なドレス、真っ白なレースの襟がとっても可愛い!
大富豪ウォーバックス役を演じる藤本隆宏は「新しい『アニー』に出演できて嬉しく思っています。ワクワクよりドキドキのほうが強い。海外(がオリジナル)のミュージカルに出るのは10年ぶりなんです。映像の世界に入って、もうミュージカルはできないんじゃないかと思ったけれど、"Tomorrow"の歌詞のように希望を持っていればチャンスがあると思い、3年前から歌のレッスンをしていました。そんな中でこの話をいただき、大きな縁を感じています。大人のキャストが子どもたちをサポートしつつ、子どもたちから良い刺激をもらいつつ、山田先生の力ももらいながら新しい『アニー』を楽しみながらやっていきたいです」と話した。なお、藤本は歴代の中で一番若いウォーバックスとなる。
藤本 隆宏(ウォーバックス役)
アニーたちにつらくあたる孤児院の院長ミス・ハニガン役のマルシアは、「アニーをいじめる悪役をどう演じますか」と問われ、「いじめる、ってお言葉、訂正いただきたい。いじめる、って気持ちはございません(場内笑)。今回の台本をまだ見ていないので、どのように変身するかは存じませんが、アニーたちが精いっぱい今を生きることを、大人が精いっぱいサポートするのが役目。なので私のハニガンは、思う存分やらせていただきます! (丸美屋食品 阿部社長に)社長、よろしくお願いいたしま~す」と、艶っぽく語り、場内の爆笑をさらった。
マルシア(ハニガン役)
秘書グレース役を演じる彩乃かなみは「2016年『アニー』を、子どもの日に観劇したのですが、小さな子どもたちが歌って踊る姿、観ている沢山の子どもたちが歓喜して声をあげる姿を見て胸が熱くなりました。こんな作品に出られたらいいな……と思っていたところに今回のご縁。新生『アニー』を大切に演じたいです」
彩乃 かなみ(グレース役)
悪だくみの中心人物ルースター役の青柳塁斗は「お話をいただいて、まさかの一言でした。今日の今日まで半信半疑で、この国民的ミュージカルに青柳塁斗が?! 青柳塁斗って他にもいるんじゃないか、と。やっとここに来て衣裳も用意されていて、実感がわきました。身体を動かすのが好きなので、アクロバティックなことも入れられたら」
青柳 塁斗(ルースター役)
ルースターとともに悪だくみを計画するリリー役の山本紗也加は「中学生で初めて観たときから『アニー』が大好きです。14歳からこの業界で仕事をしているので、つらいときは"Tomorrow"を歌い、カラオケでも絶対に歌っているくらい大好き。日ごろ自分が口ずさんでいたミュージカルに出られることに運命を感じています。憎らしいけれど、でも憎めないチャーミングなリリーにできたらいいな」
山本 紗也加(リリー役)
そして16年ぶりのリニューアルにあたり、これまで親しまれてきた「トゥモロー組」「スマイル組」ではなく、アニー役・野村里桜さんらの「チーム・バケツ」、アニー役・会 百花さんらの「チーム・モップ」に名称が変更。今年から変わったアニーの衣裳を着けてみて野村さん「すごくゴージャスになっていて嬉しい」、会さん「着るのが楽しみで、昨日全然眠れなかった。思った以上にとっても可愛くて嬉しいです」
以前にもオーディションを受けたことのある野村さんは「以前のオーディションではダンスの振付を覚えて踊る審査だったけれど、今回はちょっと教えてもらって自発的に踊る、というのが違っていて、ビックリしました」
野村 里桜(アニー役)
初のオーディションで大役を射止めた会さんは「初日は"Maybe"を歌わなかったのですが、最終日に"Maybe"歌って、と言われて嬉しくて、もしかしたら受かっちゃうんじゃないかな? でも結果発表までは気を緩められなくて……受かったときは本当に嬉しかったです」
会 百花(アニー役)
どんなアニーを目指しているかについては野村さん「観にきた人に元気なパワーを与えるような、前向きなアニーになれたらいいなと思っています」、会さん「どんなときでも明るくて、チャーミングで、皆に好かれるアニーを演じたいです」
今まで数々の作品を演出してきた山田は、この『アニー』という作品について「一番大切なことは、この作品で初めてミュージカルに触れる人がたくさんいるということ。だから、『ミュージカルってステキだな、いつかやってみたい』と思える作品にしなければいけないし、劇場に出かけていくのが当たり前の日本になる一助になれればと」
演出:山田和也
また、台本については「ストーリーを変えるのではなく、翻訳を新しくします。今まで日本で繰り返し上演されていく中で様々なアイデアが盛り込まれてきたのですが、ここで原点に戻って、いろんなものを削ぎ落したシンプルな『アニー』を一回やろう、と。でもそれは単純・単調というのではなく、本当の魅力が詰まっているブロードウェイ版に立ち返るに伴って、もとの台本と譜面に戻る。そのうえで、翻訳をアップデートして、オーケストラも今らしいゴージャスなアレンジを加える。本来、英語のセリフはスピード感があり、あっという間にミュージカルナンバーになる。そのアメリカのテンポ感をだせたらいい。スピード感の中でハラハラして、最終的に感動して、お客さん同士の会話が生まれるようなミュージカルに生まれ変わるといいですね」と抱負を語った。配られた資料によると、脚本の翻訳を一から見直す例としては、おなじみの「冷めたお粥」がなくなるとのこと。ちなみに英語では「マッシュ」となっている箇所である。どう変わるのか楽しみだ。
阿部豊太郎・丸美屋食品工業株式会社代表取締役社長を囲む出演者たち
【質疑応答】
---<アニーへ>ステキな衣裳の大人キャストの皆さんの率直な印象は?
野村さん 「多分仲良くやれると思います(笑)」
会さん 「皆さん優しそうで、仲良くできると思うのですが、ハニガン役のマルシアさんが役に入るとコワいなと思いました」
マルシア 「トレーニングよ。さっき『アニ~~~?!』って言ったらすっごい顔で見られたんで。(2人に笑顔で)稽古楽しもうね~~」
---<山田へ>アニーは「演技をしない演技」というオーディションを行ったとのことですが、2人に決めた決定打は?
山田 「2人、すごくアニーっぽくないですか? 理屈じゃなくて、ウォーバックスの視点になって『なんでこの子に惹かれたんだろう?』とオーディションの間ずっと考えて選びました」
会さんは「製作発表が始まったら、緊張がなくなりました」と大物ぶりを発揮。初めてのオーディションでアニーに抜擢されることは大変珍しいという。野村さんは「マルシアさんと藤本さんに、なんでも相談してねと言われてホッとしています」。この言葉にマルシアも「お金以外はなんでも相談してね」と応じ、「新しいから何でもできる気がする。すべてが新しいなら、やりたいことやってみて、それで生まれることはたくさんあるんじゃないかしら。(青柳に)アクロバティック、やっちゃいなさいよ!」とはっぱをかけた。青柳も「今までのルースターを引きずらなくていい」、山本は「初めてって一度しかない、それを噛みしめたい」と楽しそうに語った。
演出家と出演者たち
会見が終わると、藤本がアニー2人と彩乃をそっと守るように誘導し、さらにマルシアの手をとってエスコートしていたのが見逃せなかった。2017年で「アニーになりたい歴30周年」を迎える筆者だが、初めて「秘書グレース役」がうらやましくなった瞬間だった。
野村 里桜、会 百花
(取材・文:ヨコウチ会長 写真撮影:安藤光夫)
■日程:2017年4月22日(土)~5月8日(月)
■会場:新国立劇場 中劇場
■日程:2017年8月10日(木)~15日(火)
■会場:シアター・ドラマシティ
■日程:2017年8月19日(土)~20日(日)
■会場:東京エレクトロンホール宮城
■日程:2017年8月25日(金)~27日(日)
■会場:愛知県芸術劇場 大ホール
■日程:2017年9月3日(日)
■会場:サントミューゼ大ホール
[スマイルDAY]
4月24日(月)17:00公演
4月25日(火)17:00公演
全席指定:特別料金6,500円(税込)
[わくわくDAY]
4月26日(水)13:00公演 / 17:00公演
来場者全員にオリジナルグッズプレゼント
(「犬ぬいぐるみ」「ハート型ロケットペンダント」「アニーのくるくるウィッグ」「非売品Tシャツ(Sサイズ)」4点のうちいずれか1点をもれなくプレゼント)
(入場持参で当日のみ引き換え。グッズによっては数に限りがあり、先着順となります。)
※ 4歳未満のお子様のご入場はできません。
※ はお一人様1枚必要です。
■一般発売開始:2017年1月14日(土)10:00~
■作曲:チャールズ・ストラウス
■作詞:マーティン・チャーニン
■翻訳:平田綾子
■演出:山田和也
■音楽監督:佐橋俊彦
■振付・ステージング:広崎うらん
■美術:二村周作
■照明:高見和義
■音響:山本浩一
■衣裳:朝月真次郎
■ヘアメイク:川端富生
■舞台監督:小林清隆・やまだてるお
野村 里桜、会 百花(アニー役2名)
藤本 隆宏(ウォーバックス役)
マルシア(ハニガン役)
彩乃 かなみ(グレース役)
青柳 塁斗(ルースター役)
山本 紗也加(リリー役)
ほか
■協賛:丸美屋食品工業株式会社
<チーム・バケツ>
アニー役:野村 里桜(ノムラ リオ)
モリー役:小金 花奈(コガネ ハナ)
ケイト役:林 咲樂(ハヤシ サクラ)
テシー役:井上 碧(イノウエ アオイ)
ペパー役:小池 佑奈(コイケ ユウナ)
ジュライ役:笠井 日向(カサイ ヒナタ)
ダフィ役:宍野 凜々子(シシノ リリコ)
アニー役:会 百花(カイ モモカ)
モリー役:今村 貴空(イマムラ キア)
ケイト役:年友 紗良(トシトモ サラ)
テシー役:久慈 愛(クジ アイ)
ペパー役:吉田 天音(ヨシダ アマネ)
ジュライ役:相澤 絵里菜(アイザワ エリナ)
ダフィ役:野村 愛梨(ノムラ アイリ)
ダンスキッズ
<男性6名>
大川 正翔(オオカワ マサト)
大場 啓博(オオバ タカヒロ)
木下 湧仁(キノシタ ユウジン)
庄野 顕央(ショウノ アキヒサ)
菅井 理久(スガイ リク)
吉田 陽紀(ヨシダ ハルキ)
<女性10名>
今枝 桜(イマエダ サクラ)
笠原 希々花(カサハラ ノノカ)
加藤 希果(カトウ ノノカ)
久保田 遥(クボタ ハルカ)
永利優妃(ナガトシ ユメ)
筒井 ちひろ(ツツイ チヒロ)
生田目 麗(ナマタメ レイ)
古井 彩楽(フルイ サラ)
宮﨑 友海(ミヤザキ ユミ)
涌井 伶(ワクイ レイ)