インディーズゲームのススメ第3回 大人気同人シューティングシリーズ20周年の記念作品「東方紺珠伝」

コラム
アニメ/ゲーム
2015.8.24
 ©2015 ZUN

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書店委託は8月25日開始

 8月14日~16日の3日間、東京ビックサイトにてオタクの祭典「コミックマーケット88」が開催されました。筆者もインディーズゲーム目当てに参加しましたが、今年は昨今のインディーズゲームブームがあったおかげか、インディーズゲームブースはいつもより人が多かった印象です。嬉しい半面、私が個人的に一番遊びたかったとあるゲームが入手できず、悔しい思いをしております。そのゲームはバグ取りなどがひと通り終了してから委託するみたいなので、委託した暁にはこの記事でも紹介したいと思います。なので、今回よりしばらくはコミックマーケット88で入手したゲームを紹介したいと思います。

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 というわけで、今回紹介するゲームはそんなコミケ88の1日目に頒布された「東方紺珠伝」です。本作は大人気シューティングゲーム「東方project」の最新作で、シリーズの15作目、また20周年の記念作でもあります。「東方project」とは、上海アリス幻楽団のZUN氏が制作するシューティングゲームシリーズで、大結界により隔離された世界、幻想郷を舞台に、巫女の霊夢や魔法使いの魔理沙といった少女たちが異変を解決するゲームです。昔の日本のようであり妖怪と人間が共存する独特な世界観、魅力的なキャラクター、美しい背景や弾幕、耳に残る素敵なBGMが人気を博し、2次創作を中心に商業書籍化などゲーム以外にもさまざまな展開がなされています。外伝である「弾幕アマノジャク」や「東方深秘録」などは出ていたものの、純粋なシリーズの新作としては実に2年ぶりとなる「東方紺珠伝」の魅力をここで紹介します。

宇宙と月と夢を舞台にいつもより少しだけ深刻で壮大な物語が幕を開ける

 「東方project」シリーズの大きな魅力として、異変が起きている最中でありながら、どこか緊張感のない間の抜けた少女同士の会話が挙げられます。それは、大小差はあれども、異変自体はそこまで深刻なものではなく、悪意が少ないことから、クリア後は和解して仲良くなる場合が多いからです。ですが、本作はいつもと違い、幻想郷が侵略されているというかなり深刻な状況なので、物語全体で見ると雰囲気自体はいつもと違い、少し深刻です。しかし、そんな中でも、いつもどおりとぼけた少女たちの会話は楽しめます。

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 また、本作の舞台は月や夢の中の空間なため、古い日本の風景がモチーフの普段の幻想郷とは異なり、宇宙空間や異次元空間など、普段とは違い、少しSFチックな背景となっています。それは、背景だけでなくBGMも少し悲しげだけど壮大なBGMとなっており、少し暗めの背景と相まって、いつもよりも、総じて、いつもと雰囲気が違い、壮大な雰囲気を醸し出しているのが本作の大きな特徴です。

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 また、今作は後述するシステムの関係で、かなり敵の密集度が高く、また弾幕が激しいため難易度は高めです。ですが、BGMと演出、また弾幕の一つ一つが綺麗に噛み合っているため、プレイしている際の爽快感はシリーズでも1位2位を争うほど気持ちいいものとなっています。

死亡可能回数無限!? 優しさと厳しさが混在したシステム

 本作は残機なしでミスしたら回数制限無しのやりなおしが出来る完全無欠モードと、従来の残機システムであるレガシーモードの2つのシステムが有ります。従来のスタイルであるレガシーモードは今回は上級者向けのモードという位置づけとなっています。

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 完全無欠モードではミスをした際、少し戻されるくらいでほとんどデメリットがありません。特にボス戦では1種類の弾幕を攻略する毎に再開地点が更新されるため、ほぼリスク無しと言えます。このミスが怖くないシステムのおかげで、従来の作品よりも気楽にプレイできることが特徴です。ですが、やり直せる前提で難易度調整がなされているため、難易度はシリーズで最難関だと思われます。特に5ステージは道中もボスもあまりに難しく、筆者は初見時クリアまでに軽く1時間以上はプレイしていたと思います。おかげでボスの曲は脳に鮮烈に記憶されています。5面のボスは戦闘中、体を振って戦うため、人によっては挑発しているのではないかとイライラする人もいるかもしれません。私はそのキャラクターを見続けていたおかげで、攻略中はアドレナリンの出過ぎで非常に魅力的に見えていました、

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 このようにミスのリスクが少ない仕様ではあるものの、難易度が極端に高いため、あまり気負いせずに気楽にプレイすることをオススメします。あまり本腰を入れすぎると精神的に辛い可能性がありますし、いつでも中断し再開出来ますので、一度にクリアする必要がないのも嬉しいポイントです。幸い、試行回数を重ねればいずれクリアできますので、従来でいうところのプラクティスモード(練習モード)をしているつもりでプレイするといいでしょう。

 ちなみに本作をクリアする上でのコツは、終盤まで極力ボムを使わないことをオススメします。というのも、以前までのシリーズと違い、残機が減るという概念が無いため、死亡して残機の代わりにボムを補充するということが出来ません。なので、後半のボム無しでクリアできないような弾幕が来た際に、ボムが無いと終盤で詰みかねません。幸い、ミスのリスクも低いため、なるべくボムは温存し、5~6面でまとめて使うとよいでしょう。

少しハードルは上がっても、やっぱりいつもどおりの「東方」だった

 従来の東方シリーズは、普通の弾幕シューティングよりやや難易度が優しめだったおかげで幅広い層にオススメできましたし、実際に普段シューティングをやらない層もプレイしている作品です。ですが、今作はかなり難易度が高めで精神の強さを求められる仕様となっていますので、少し玄人向けのタイトルになっています。ですが、プレイしての気持ちよさや快感はシリーズでも屈指のもので、また諦めなければいつか必ずクリアできる仕様なため、シューティングの腕に自身のある方や精神力の強い方にはぜひ挑戦してもらいたいです。クリアした先には素晴らしい達成感が待っています。

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