元タカラジェンヌ・春野寿美礼が2枚の新譜『想~スミレノーツ~』&『越路吹雪に捧ぐ』発売、年明けには2つのコンサートも!
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初のカバーアルバム『想~スミレノーツ~』を発売した春野寿美礼
2007年、宝塚歌劇団を退団した元花組トップスター春野寿美礼。2015年にデビュー25周年を迎えた女優、実力派シンガーである彼女が妊娠、出産を経た2016年12月に2枚の新譜をリリースする。6年ぶりのソロアルバム『想~スミレノーツ~』(12月14日発売)は、故テレサ・テンのために書かれた幻の曲「黄昏に傷ついて」と、名曲のその後を描いた「時の流れに身をまかせ~パート2~」を中心に杏里、岩崎宏美ら70~80年代のヒット曲で構成した”Jスタンダード”と銘打つ初のカバーアルバム。もう一枚は、宝塚歌劇団OGによる越路吹雪三十七回忌トリビュート・アルバム『越路吹雪に捧ぐ』(12月21日発売)。2017年にはそれぞれに新譜を携えたコンサートも開催される。久々のファンとの対面に胸踊らせる大阪での発売記念イベント当日、本番前の春野を訪ね新譜への想いやライブへの意気込みを伺った。
「全国の頑張っているお母さんたちに届けたい、癒し系のアルバムです」(春野)
大阪での『想~スミレノーツ~』発売記念イベント会場に張り出されたサイン入りポスター
----まずは、ご出産&新譜発売おめでとうございます。数分後には『想~スミレノーツ~』発売記念イベントでファンの皆様とご対面されますが、いまのご心境は?
すごく嬉しいです。妊娠中からずっと、「アルバムはこの時期に出して…」と、そこを目標に頑張ってきたので。新譜の発売日やコンサートが決まっていたからこそ元気よく前に進めたというか、育児も頑張ることができました。
----2015年発売の元宝塚トップスターらによるCD企画『麗人 REIJIN –Showa Era』でテレサ・テンの名曲「時の流れに身をまかせ」をカバーしたことで、ソロアルバムの企画が動き出したそうですね。美声と表現力が認められ新譜『想~スミレノーツ~』では荒木とよひさ作詞、三木たかし作曲の名コンビがテレサのために書き下ろした未発表曲「黄昏に傷ついて」が収録されています。”Jスタンダード”というコンセプトは、どのようにして生まれたのですか。
基本的には先行シングルでもある「黄昏に傷ついて(C/W愛に守られて)」(2016年10月5日発売)をメインに、雰囲気の合う楽曲を集めてアルバムを作ろうと企画がスタートしました。具体的には私が昔から聴いていた曲、1度歌ってみたかった曲を中心に選曲させて頂きました。全体的にしっとりとした仕上がりですね。すでに「泣ける」「胸に染みる」といったご感想も頂けているようで、癒し系のアルバムになりました。
『想~スミレノーツ~』生産限定盤(CD+DVD)VIZL-1074 4,700円+税
----とりわけ母子の愛に溢れたKiroro「未来へ」は、母になられた春野さんとリンクする部分もあり、とても感動的でした。こちらもご自身の選曲ですか。
これは周囲から勧められた1曲です。いまの私が歌う「未来へ」を聴いてみたいと仰って頂いて。確かに私自身も妊娠、出産を経験した今の自分がどんな風に母親や子供のことを想うのだろうと興味が沸きました。実際に歌うことによって自分自身を見つめ直すいい機会にもなりました。良い曲を選んでくださったことに感謝しています。一方、私が選曲させて頂いたのは、「ハナミヅキ」(一青窈)、「卒業写真」(ハイ・ファイ・セット)、「オリビアを聴きながら」(杏里)ですね。いずれも自分が昔から聴いていて、一度歌ってみたいなと思っていた楽曲です。
----レコーディングはキー合わせが妊娠中、本番の録音は出産後に行われたとか。体調の変化に伴う違いなどはありましたか。
違いましたね。キー合わせの段階から声が違っていました。妊娠していたこともあり、今よりももっと柔らかい声になっていたと思います。出産後の本録でも声が変わっていて、元に戻るというよりもまた別の声になりました。
----ご自身でも実感されるほど、変化していたのですね。拝聴させていただくと、一瞬アカペラかなと思うほど歌声がストレートに届いてきました。包み込まれるような歌唱に加え、子守唄やオルゴールにも似た安らぎを感じたのですが、何か意識された部分はありますか。
特別意識したことはないのですが、多分、出産という大きな経験をしたことで、レコーディングの時期はやさしい気持ちだったのかなと。母になったという包容力のようなものが自然と出ていたのかなと思います。実際にブースで歌っている時も、今までにない感情が沸き起こってくる瞬間がありました。なぜこの歌詞でひっかかるんだろうと。やはり今までと違うものが、自分の中に流れているんだろうなと思いました。
『想~スミレノーツ~』通常盤(CD1枚)VICL-64674 3,000円+税
----具体的にどの歌詞でというのは、覚えていらっしゃいますか。
やはり「未来へ」ですね。実際に子供を授かったことで、今までは何気なく素通りしていた歌詞にも、実際はこういう深い感情があったんだなと。母親が子供に抱く感情や、子供が母親に向ける想いなど、改めて気づかされる想いでした。自分の子供もそういう風に母親のことを思ってくれたらいいなとか、身に染みて感じました。
----宝塚歌劇の退団会見では「いつも歌が身近にあった」とのコメントが印象的でした。お話を伺っていると、役を演じるのとはまた違う意味でのドラマが、歌にはあるんですね。
そうですね。年齢や経験を重ねていくと色んな表現が出てくるんだなと思いますね。役を演じるのとは違う、リアルな自分自身の表現ですね。今回のアルバムもファンの方はもちろん幅広い世代の方に聴いて頂きたい。トラックの運転手さんとか、男性の方にも聴いて欲しいですし、中でも全国の頑張っているお母さんたちに届けたいですね。
----共に寄り添うような一枚になりそうです。また「黄昏に傷ついて」では、生産限定盤にも収録されている、ミュージックビデオの撮影にも挑戦されました。
開演前のイベント会場ではミュージックビデオのメイキング映像が流れた
なんだかね、恥ずかしかったです(笑)。例えば舞台ではステージの端から端、奥から手前まで、動きながら黄昏を表現するんですけど。ミュージックビデオの現場では、カメラの枠内という限られた場所で動かずに黄昏を表現しなければならない。リップシンクも初めてで、ミュージカルでは大きな声で歌うので、囁くように歌っていると「これでいいのかな」と、慣れていないので恥ずかしかった。なので、ミュージックビデオには、私の恥じらいが収められています。
----(笑)。年明けにはCDを携えたライブも控えています。
いま構想を練っている真っ最中です。アルバム曲はもちろん、”私らしさ”みたいなものも出せたら良いなと。元宝塚の男役出身で、女優としての経験も踏まえながら表現できればなと思います。もう退団して8、9年? どれぐらい経っているのかな。
----2017年は女優デビュー10周年の節目だと思うのですが…。
え!? そうなんだ。私、退団して10年になるんですね。それは10年も経つとやっぱり色々身に付きますよね。ライブの構想も変わってくるかもしれません(笑)。まだ練っている最中ですが、いまの私が表現できるものをライブではお見せしたい。衣装もたくさんではないですけど、色々と考えています。
インタビュー後の『想~スミレノーツ~』発売記念イベントにて
「伝説的な越路吹雪さんのアルバムに参加させて頂き、光栄です」(春野)
----12月21日にはもう一枚の新譜、宝塚歌劇団OGによる越路吹雪三十七回忌トリビュート・アルバム『越路吹雪に捧ぐ』が発売されます。宝塚の大先輩でもあり、同じカバーアルバムとはいえ、また違った想いがあったのでは?
越路吹雪さんは本当に大先輩で、もちろんお目にかかったこともないですし、実際、同じ舞台に立ったこともありません。でもやっぱり越路吹雪伝説がすごくありますので。憧れといったら失礼にあたるくらい、手の届かない存在です。素晴らしい方だと受け止めさせて頂いてますので、今回のアルバムに参加させて頂けたことは光栄ですね。まず声を掛けて頂けたことに幸せを感じています。
『越路吹雪に捧ぐ』2016年12月21日発売 UPCY-7215/8,500円(税抜)
----『越路吹雪に捧ぐ』では「ジュ・テムレ」「群衆」の2曲を披露されています。「ジュ・テムレ」は越路さん初期の代表作。パリから帰国して初めてのリサイタルでは、この「ジュ・テムレ」1曲をテーマに開催されたそうですね。
「ジュ・テムレ」は周りの方が私に歌うようにと勧めて下さいました。とても素敵な曲なので、歌っていても楽しかったです。もう一曲の「群衆」は自分で選曲させて頂きました。ちょうど「群衆」のようなドラマティックな曲を歌ってみたいなという想いがあったので。
----春野さんのスケールの大きな歌唱は、ドラマティックな楽曲にもぴったりです。
でも今回は声を広げるというよりは、自分の世界の中で語りかけるように歌いました。レコーディングも最初の方はオーケストラがどんな演奏をしてくるのか分からなかったので、聞き直すと声が固いと感じて。タイミングを合わせて歌ったり、音楽としても広がらないなと思ったので、そこから自分が納得いくまでブースの中で繰り返し歌わせて頂きました。そうやって音や歌うことに慣れていく中で、最終的には歌い上げるよりも語りかけるような歌唱に仕上がりました。自分の「群衆」になったな、という実感があります。
----2017年3月にはCDを携えた、越路吹雪三十七回忌追悼公演「越路吹雪に捧ぐ」が開催されます。こちらもソロコンサートとはまた違った楽しみがありそうです。
そうですね。やはり色んな方々と共演させて頂けるコンサートは、毎回出演していても楽しいですね。今回は宝塚OGの方々はもちろん、松本幸四郎さん、草笛光子さんといった豪華なゲスト陣もご出演されるので、素晴らしい公演になると思います。
----では最後に改めてファンの方へメッセージを。2017年はインタビュー中に発覚した(笑)女優デビュー10周年の節目でもあり、特別な一年になりそうです。
2016年は出産というすごく大きな経験をしたので、来年はまた新しい一面をお見せできると思います。自分でも早く(新しい自分が)出て来ないかな~と楽しみです。そして、アルバムを携えたツアーも実現したいですね。一人でも多くの方にアルバムを聴いて頂けるよう、活動していける一年にしたいですね。
初のカバーアルバム『想~スミレノーツ~』を発売した春野寿美礼
■日程:2017年1月22日(日)
■会場:東京・よみうり大手町ホール
■会場:日生劇場
■総合演出:植田紳爾
■出演者:寿ひずる、剣幸、杜けあき、安寿ミラ、涼風真世(29日昼公演のみ)、真琴つばさ、姿月あさと、湖月わたる、春野寿美礼、貴城けい、水夏希
■ゲスト出演:松本幸四郎(28日・夜公演)、久野綾希子(28日・夜公演)、前田美波里(28日・夜公演、29日・昼公演)、ペギー葉山(29日・昼夜公演)、草笛光子(28日・昼公演)
■ゲストMC:檀れい
■ダンス:牧勢海、月央和沙、鳳樹いち、真輝いづみ
る・ひまわり 電話 03-6277- 6622(平日 11:00から19:00)
[生産限定盤](CD+DVD)4,700円(+税) VIZL-1074