高関 健(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 高関の審美眼をじっくりと味わえそうな2曲
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9月に通算300回目の定期演奏会を行い、2016年の後半はベルリオーズの作品を連続して取り上げることによりオーケストラとしての個性をアピールした、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団。17年の幕開けに選ばれた作品はベートーヴェン、そして武満徹という2人の作曲家であり、指揮台へ登場する常任指揮者、高関健の審美眼をじっくりと味わえそうな2曲でもある。
ベートーヴェンの「英雄」交響曲は、何度もコンサートで聴いたという方が多いだろう。それだけに新鮮で発見にあふれた演奏を期待するのは常だが、知っている曲だからこそ斬新な音が聴けたときの喜びも大きい。楽譜の精査には定評がある高関と、がっちりと引き締まったサウンドになってきている東京シティ・フィルなら、30代前半の覇気に満ちたベートーヴェン・サウンドを生き生きと提示してくれるだろう。
ソリストとして登場するチェリストの宮田大は、武満徹の協奏作品「オリオンとプレアデス」に初めて取り組む。ドヴォルザークやエルガーほかスタンダードな作品だけではなく、外山雄三や尾高尚忠らによるチェロ協奏曲も演奏し、その表現力が注目されている宮田。約25分間にわたって繰り広げられる音の瞬きと運動、そして宇宙のコラール。学生時代より武満の音楽に接していた高関との共演により、生まれてくる音楽はより深みを増すだろうと思うとますます楽しみになる。
文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ 2016年11月号から)
高関 健(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
第303回 定期演奏会
2017.1/13(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問合わせ:東京シティ・フィル
http://www.cityphil.jp